油抜きしたオイル漬けでも、水煮より約3倍のカロリーが子どもの消化器官に負担をかけていることをご存じですか?
ツナ缶には大きく分けて「水煮タイプ(ノンオイル)」と「オイル漬けタイプ」の2種類があります。スーパーで見かけるシーチキンのほとんどがこのどちらかに当てはまります。
水煮タイプは可食部100gあたり約70〜100kcalほどなのに対し、オイル漬けタイプは約265〜280kcalと、実に約3倍の差があります。カロリーが高い理由はシンプルで、大豆油やなたね油などの植物油が調味液の半分以上を占めているためです。一般的な小缶(70g)1缶で考えると、オイル漬けは約180〜200kcalほどになり、大人でも「脂っこいな」と感じる油分量です。
たんぱく質の量はほぼ同じです。水煮・オイル漬けともに100gあたり18g前後と変わらないので、栄養面でたんぱく質を摂ることだけを目的にするなら水煮で十分ということになります。
一方で、オイル漬けには油ならではのコクと旨味があります。はごろもフーズは公式で「ツナ缶の油には旨みが溶け出しているため、油を切らずに使うことでよりおいしく仕上がる」とすすめているほど。大人の料理に使うぶんには何の問題もありません。
つまり問題は「大人にとっては美味しい油分」が、消化機能が未発達な乳幼児には負担になりうる、という点です。これが「オイル漬けは何歳から?」という疑問の核心になります。
参考:管理栄養士監修の離乳食ツナ缶解説(まなべび)
https://manababy.jp/lecture/view/846/
複数の管理栄養士・離乳食インストラクターの情報を総合すると、ツナ缶のオイル漬けを子どもに与えてよい時期の目安は以下の通りです。
| 時期 | 月齢・年齢の目安 | オイル漬けの可否 |
|------|----------------|----------------|
| 離乳食初期 | 生後5〜6ヶ月 | ❌ NG(ツナ自体まだ早い) |
| 離乳食中期 | 生後7〜8ヶ月 | ❌ NG(水煮のみ) |
| 離乳食後期 | 生後9〜11ヶ月 | ❌ NG(水煮のみ) |
| 離乳完了期 | 1歳〜1歳半 | 🔺 油抜きすれば可 |
| 幼児食移行期 | 1歳半〜2歳 | 🔺 油抜きして少量なら可 |
| 幼児食安定期 | 2歳以降 | ✅ 油抜き後ならOK |
離乳完了期(1歳ごろ)から「油抜きをすれば」オイル漬けを使えるようになると言われています。これが条件付きの理由です。
「1歳になったからオイル漬けでも大丈夫」と思ってそのまま使ってしまうのは要注意です。1歳〜1歳半のあいだはまだ消化酵素の分泌量が少なく、脂質を分解・吸収する力が大人の5〜6割程度しかありません。油分が多いと消化に余分なエネルギーを使い、下痢や腹痛の原因になることがあります。
1歳ごろから可能であっても、「油抜きした上で少量から」が条件です。
一方で、オイル漬けをそのまま(油抜きなし)使えるようになるのは、幼児食が安定してくる2歳以降が目安とされています。ただしこれもあくまで目安で、体調や個人差があります。
参考:離乳食専門サイト HugKum によるツナ缶の選び方解説
https://hugkum.sho.jp/24493
「油抜き」と聞くと面倒に感じる方も多いと思いますが、実際はとても簡単です。離乳完了期から使う場合は必須の工程なので、正しいやり方を覚えておきましょう。
お湯をかける方法(湯通し)
もっとも手軽な方法です。茶こしかザルにツナを入れ、熱湯を全体に回しかけます。これだけで油分をある程度落とせます。
鍋で茹でる方法(下茹で)
お湯を沸かした小鍋にツナを入れ、約1分ほど茹でます。湯通しよりも塩分と油分が落ちやすく、月齢が低いうちはこちらがおすすめです。
キッチンペーパーで吸い取る方法
缶を開けて油を切ったあと、キッチンペーパーの上にツナを広げて油を吸い取らせます。お湯を使わない分、ツナの風味は残りやすいですが、塩分はあまり落ちません。2歳以降の幼児食で使う場合はこちらでも十分です。
ただし、油抜きをすると風味が落ちるのも事実です。はごろもフーズが「油は切らずに使って」とすすめるほど、ツナ缶の油には旨みが凝縮されています。子ども向けに油抜きをすると若干淡白な味になりますが、だしやソースで補うと食べやすくなります。
油抜きは塩分も同時に落とすことができます。市販のオイル漬けツナ缶(小缶70g)1缶あたりの食塩相当量は約0.7gほど。離乳食期の1日の食塩摂取目安量は1〜1.5g程度ですので、ツナ缶1缶そのままだと半日分の塩分になってしまいます。油抜きと塩抜きはセットでやることで、より安心して使えます。
実はツナ缶の「オイル漬け」「水煮」という違いの他に、原材料の魚の種類にも注目が必要です。これを知らずに使っていると、アレルギーや口の違和感(ヒスタミン反応)のリスクを見逃すことになります。
ホワイトツナ(ビンナガマグロ使用)
淡白で風味が穏やかなため、離乳食にも使いやすいとされています。ただし、ビンナガは水銀含有量がやや高めという特性があります。妊婦はとくに1週間に食べる量の目安が設けられているほど。子どもには大きな制限はありませんが、毎日大量に食べさせるのは控えたほうが安心です。
ライトツナ(キハダマグロ・メバチ・カツオ使用)
一般的に流通量が多く、価格も安め。カツオが原材料の場合は「ヒスタミン」という物質に注意が必要です。ヒスタミンは鮮度が落ちた魚に多く含まれ、摂取すると口や喉に違和感・かゆみが出ることがあります。缶詰は製造段階で高温殺菌されているため基本的には安全ですが、初めて食べさせるときは少量から様子を見るのが基本原則です。
選ぶポイントをまとめると:
- 離乳食中期〜後期:食塩不使用の水煮フレークタイプ(いなば「国産ライトツナ食塩無添加」など)
- 離乳完了期〜幼児食:水煮をメインに、油抜きしたオイル漬けも少量ずつ
- 2歳以降:オイル漬けも普通に使えるが、塩分量は他の食材と合わせて調整する
「ライトツナ=低カロリー」というイメージを持っている方も多いですが、これは魚の種類の区分であってカロリーの低さを示すものではありません。ライトツナのオイル漬けは100gあたり265kcalあり、ホワイトツナのオイル漬け(279kcal)とほぼ変わりません。これは意外と知られていない落とし穴です。
参考:離乳食の下ごしらえとツナ缶の選び方(HarapekoBaby)
https://harapekobaby.com/tuna-pre-cook/
ここからは実際に「いつ・どう使うか」を年齢別に整理します。これはどの情報サイトにも書かれていない、実際の家庭料理の視点から見た独自の切り口です。
1歳〜1歳半(離乳完了期)
この時期はまだ水煮をメインに使うのが理想です。どうしてもオイル漬けしか手元にない場合は、鍋で1分ほど茹でて油と塩分をしっかり落とした上で少量から試しましょう。お粥やスープに混ぜる、かぼちゃと合わせて甘みで食べやすくする、などの工夫が有効です。
1歳半〜2歳(幼児食移行期)
徐々に食べられるものが広がる時期です。油抜きしたオイル漬けを使って、ツナとじゃがいものおやき(手掴み食べにも◎)、ツナコーンポテトサラダなどに挑戦してみましょう。塩分が気になるなら、このときも茶こしにツナを入れてお湯を回しかけるひと手間を忘れずに。
2歳以降(幼児食安定期)
油抜きなしのオイル漬けも使えるようになります。とはいえ大人と全く同じ使い方というよりは、1缶丸ごと使うのではなく半量程度をこまめに使う意識を持つと塩分コントロールがしやすいです。ツナマヨのおにぎりや、パスタに混ぜるなど、料理の幅が一気に広がります。
離乳食の冷凍ストックを作る場合
水煮のツナ缶をまとめて塩抜き・加熱し、1食分(約10〜15g)ずつラップに包んで冷凍しておくのがおすすめです。冷凍後は1週間を目安に使い切りましょう。自然解凍ではなく、必ず加熱してから使うことが大切です。オイル漬けを冷凍ストックにする場合は油抜きをしてから冷凍するようにしましょう。
ツナ缶の便利なところは、鉄分・亜鉛・ナイアシン・ビタミンB12・DHA・EPAといった子どもの発育に欠かせない栄養素が揃っていることです。DHAは脳の発育に関わるとして知られ、離乳食でも積極的に取り入れたい栄養素のひとつ。水煮でも油漬けでも、DHA・EPAはほぼ同量含まれています。油分が気になっても水煮を使えば栄養価は同様に摂れるので安心です。
参考:ツナ缶を使った離乳食の月齢別ガイド(totplate)
https://totplate.com/blogs/幼児食について教わる/baby-food-canned-tuna