野菜くずをそのまま捨てると、栄養素の約80%を無駄にしていることになります。
ベジブロスとは、野菜の皮・根・芯・種・葉といった、ふだん捨ててしまいがちな部位を水から煮出して作る「野菜だし」のことです。「ベジ(vege)」は野菜、「ブロス(broth)」は英語で「煮出しスープ」を意味し、フランス料理では古くからブイヨン(野菜や肉の煮出し汁)として活用されてきた調理法が起源です。
日本では2010年代ごろから自然食・マクロビオティックの文脈で注目を集め始め、近年はフードロス削減や節約志向の高まりとともに主婦層を中心に広がっています。特別な材料を買い足す必要がない点が、多くの家庭に受け入れられた大きな理由です。
つまり「いつも捨てているもの」がだし素材になります。
玉ねぎの皮・にんじんの皮・セロリの葉・キャベツの外葉・長ねぎの青い部分・ブロッコリーの茎・きのこの石づき——これらはすべてベジブロスの材料になります。市販のだしパックや顆粒だしと異なり、添加物ゼロで作れるため、小さな子どもがいる家庭や食品添加物を気にする方にも安心です。
色は薄い黄金色から深みのある琥珀色まで、使う野菜の組み合わせによって変わります。香りはおだやかで「野菜の旨みが溶け込んだお湯」といったイメージです。
ベジブロスのだしはどんな野菜でも入れればよいわけではありません。これは押さえておきたいポイントです。
使える(おすすめ)野菜の例
| 野菜 | 使える部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 玉ねぎ | 皮・根 | 黄金色のだしが出る。甘みとコクあり |
| にんじん | 皮・頭・葉 | β-カロテン豊富。甘みが出る |
| セロリ | 葉・茎の端 | 香りが強く、スープの深みに |
| キャベツ | 外葉・芯 | 優しい甘みでクセが少ない |
| 長ねぎ | 青い部分・根 | 旨み成分アリシンが豊富 |
| ブロッコリー | 茎・葉 | ビタミンCが芯にも多い |
| きのこ類 | 石づき・軸 | グアニル酸のうまみが出やすい |
| しょうが | 皮・薄切り残り | 風味付けに少量で効果的 |
避けたほうがよい野菜・注意が必要なもの
アクが非常に強い野菜はだしを濁らせたり、えぐみや苦味の原因になります。具体的にはほうれん草の根・ゴーヤの種と白い部分・ナスの皮(大量)などは少量にとどめるか省くのが無難です。また、じゃがいもやさつまいものでんぷん質の多い皮を大量に入れると、だしが濁ってとろみが出ることがあります。
腐敗している部位・農薬が心配な場合は除外が基本です。
慣れないうちは玉ねぎの皮・にんじんの皮・セロリの葉の3種類からスタートすると、クセが少なくどんな料理にも合いやすいだしが取れます。
野菜くずは調理のたびに密閉袋やタッパーに入れて冷凍保存しておくと、500ml〜1Lのだしが取れる量(200〜300g程度)がたまった時点で作れます。冷凍なら2〜3週間は保存可能なので、毎日少しずつストックする習慣が身につきやすいです。
作り方はとてもシンプルです。必要な道具は鍋とざる(またはキッチンペーパー)だけです。
基本の材料(仕上がり約600〜800ml分)
- 野菜くず:200〜300g(だいたい片手で軽くひとつかみ×2〜3回分)
- 水:1〜1.2L
- 塩:ひとつまみ(任意)
手順
1. 🫙 冷凍保存していた野菜くずは解凍不要。そのまま鍋に入れる
2. 💧 水を加えて中火にかける
3. 🔥 沸騰したら弱火にして20〜30分煮る
4. 🧺 ざるやキッチンペーパーで野菜くずを濾す
5. ✅ 冷ましてから清潔な容器に入れて保存
火加減は「弱火でじっくり」が原則です。強火でぐつぐつ煮続けるとえぐみが出やすく、だしが濁る原因になります。沸騰したら必ず弱火に落とすことを忘れないでください。
煮る時間は20分でも十分ですが、30分煮るとより深みが出ます。
アクが出た場合はその都度取り除きましょう。特に玉ねぎの皮が多いと茶色いアクが浮きやすいですが、取り除けば問題ありません。
完成したベジブロスは常温で冷ましてから、冷蔵保存なら3〜4日、冷凍保存なら1ヶ月を目安に使い切りましょう。製氷皿に入れて凍らせると、1キューブ=約15mlの「だしキューブ」として必要な分だけ取り出して使えて便利です。
完成したベジブロスは、ひとことで言えば「水の代わりに使うだし」です。特別なレシピを覚える必要はありません。
使い方の具体例
- 🍜 みそ汁の水の代わり:旨みが増し、薄味でも満足感が出る
- 🍚 炊き込みご飯の水の代わり:野菜の香りと甘みがご飯に移る
- 🍛 カレーや煮物の水の代わり:コクが増してルーのおいしさが引き立つ
- 🥘 リゾットやスープパスタのベース:洋風料理にも違和感なく合う
- 🥗 スムージーに少量加える:野菜の栄養を飲み物にプラス
みそ汁に使う場合の比率は「ベジブロス:水=1:1」から始めると扱いやすいです。慣れてきたら全量ベジブロスに替えてみると、だしパックなしでも十分な旨みが出ることに気づきます。
これは使えそうですね。
また、ベジブロスは色が薄いため、仕上がりの色に影響しにくいという点も使いやすさのひとつです。白いスープや淡色の煮物でも色が崩れません。洋風・和風・中華風と料理のジャンルを選ばないのが大きなメリットです。
市販の「野菜だし」パックと比較すると、コストはほぼゼロ。顆粒コンソメや和風だしの素(1袋あたり約5〜15円)を1日1〜2袋使っている家庭なら、月に150〜450円前後の節約につながる計算になります。地味な金額に見えますが、年間では1,800〜5,400円分の節約効果になります。
ベジブロスが健康面で注目される最大の理由は、「ファイトケミカル」という栄養成分にあります。ファイトケミカルとは植物が外敵(紫外線・害虫・酸化)から身を守るために作り出す化学物質の総称で、ポリフェノール・カロテノイド・イソフラボン・アリシンなどがこれに含まれます。
意外なことに、このファイトケミカルは野菜の「皮」や「外葉」「根」に特に多く含まれています。つまり、私たちが普段捨てている部分こそが、最も栄養価の高い部位であるケースが少なくないのです。
栄養が濃いのは皮側ということです。
例えば、玉ねぎの茶色い皮に含まれる「ケルセチン」はポリフェノールの一種で、抗酸化作用・抗炎症作用があるとして研究されています。にんじんの皮には実の部分よりも高濃度のβ-カロテンが含まれており、皮ごと使うことで体内でビタミンAに変換される栄養素を無駄なく摂れます。
ファイトケミカルは加熱によって壊れにくい成分が多いため、煮出して液体として取り込めるベジブロスは、理にかなった摂取方法と言えます。また、水溶性であるため、煮汁の中にそのまま溶け出すという性質も、だしとして活用することと相性が良いです。
ただし「飲めば病気が治る」「がんを予防できる」といった過度な効能を期待するものではありません。あくまで毎日の食事でバランスよく栄養を底上げするための習慣として捉えるのが適切です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも野菜の摂取目標は1日350g以上とされており、その観点からも捨ててしまいがちな野菜部位を「だし」として活用することは、家族の食事の質を高める実践的なアプローチです。
参考:農林水産省「食品ロスについて知る・学ぶ」ページでは、家庭から出る食品ロスの現状と削減のヒントが掲載されています。
ベジブロスを日常に取り入れると、野菜の使い方そのものへの意識が変わっていきます。これは単なる節約テクニックではありません。
従来の料理習慣では「使う部分」と「捨てる部分」がはっきり分かれていました。にんじんは皮をむいて可食部だけ使い、玉ねぎは外皮をすぐゴミ箱へ。この習慣は多くの家庭で当然のこととして繰り返されてきましたが、ベジブロスの発想が加わると「捨てる前にだし袋へ入れる」というワンアクションが加わるだけで、廃棄物の扱い方が変わります。
取り入れやすくなる3つの習慣の変化
| 変化前 | 変化後 |
|---|---|
| 野菜くずをそのまま捨てる | 密閉袋に入れて冷凍ストック |
| だしは市販パックや顆粒に頼る | ベジブロスをベースに使い、不足分を補う |
| 冷蔵庫の使い残し野菜が萎れて廃棄 | 萎れる前にベジブロス用に冷凍 |
環境省の調査によると、日本の家庭から出る食品ロスの年間量は2022年度で236万トンにのぼり、そのうち野菜・果物類が大きな割合を占めています。家庭レベルで野菜くずを活用するベジブロスの習慣は、この数字を減らす具体的な行動のひとつとして位置づけられます。
参考:環境省の食品ロス削減に関する情報ページは、家庭での取り組みヒントとして役立ちます。
また、ベジブロスを習慣化するにあたって便利なアイテムとして、「野菜くず専用の冷凍保存袋(ジッパー付き保存袋)」をキッチンの決まった場所に常設しておく方法がおすすめです。袋を開けたままキッチンに置いておくと、調理のたびに手を止めずに皮や切れ端を入れられます。行動を1ステップにすることが、長続きのコツです。
まとめると、「捨てる前の冷凍ひと手間」が全体の習慣をつなぐ鍵です。
食品ロス削減と節約と栄養アップが同時に実現できる習慣は多くありません。ベジブロスはその数少ない例のひとつで、特別な調理技術も高額な食材も不要という点が、忙しい主婦層にとって継続しやすい最大の理由です。冷蔵庫を開けるたびに「この野菜くず、まだ使える」と思える視点が身につくと、日々の料理に対するストレスも自然と減っていきます。
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