実はヘーゼルナッツプードルをアーモンドプードルと同じ量で代用すると、マカロンが仕上がらないことがあります。
ヘーゼルナッツプードルとアーモンドプードルは、名前に共通して「プードル」という言葉がついています。これはフランス語で「粉末」を意味する単語です。つまり「ヘーゼルナッツプードル=ヘーゼルナッツの粉」「アーモンドプードル=アーモンドの粉」というシンプルな意味になります。
なお、「パウダー」は英語で同じく「粉」を意味するため、「ヘーゼルナッツパウダー」「アーモンドパウダー」という呼び方も同じものを指します。名前だけが違うのです。
ヘーゼルナッツはカバノキ科ハシバミ属の落葉低木の果実で、ドングリに似た見た目をしていますが、ブナ科のドングリとは植物の種類が異なります。原産国はトルコ北部で、現在も世界の生産量の約75%をトルコが占めています。日本に輸入されているヘーゼルナッツのほとんどはトルコ産です。
アーモンドはバラ科スモモ属の落葉高木の果実です。桃の仲間で、皮・果肉・核・仁の構造を持ちます。食用になるのは一番内側の「仁」を乾燥させた部分で、果肉は食べません。現在の最大産地はアメリカのカリフォルニア州で、日本に流通しているアーモンドプードルもアメリカ産が多数を占めます。
つまり原料が基本です。ヘーゼルナッツプードルはヘーゼルナッツ、アーモンドプードルはアーモンド、と覚えておけばOKです。
どちらも「皮あり」と「皮なし」の2種類があり、皮ありの方が風味やコクが強く、皮なしはクセが少なくてほかの素材に馴染みやすい特徴があります。日本のスーパーで販売されているアーモンドプードルは皮なしが主流ですが、ヘーゼルナッツプードルは皮ありが多いため、風味が比較的力強くなる傾向があります。
ヘーゼルナッツプードルの最大の特徴は、栗とナッツを合わせたような甘い香りとコクです。焼くと一層際立ち、チョコレートやクリームとの相性が抜群に良いとされています。ヌテラなどのヘーゼルナッツペーストをイメージするとわかりやすいかもしれません。あのリッチで甘い香りです。
アーモンドプードルの風味は、香ばしくてスッキリとしたナッツの香りが特徴です。クセがなく、どんな素材とも調和しやすいため、お菓子のベースとして非常に使いやすい素材です。フィナンシェやタルト、マカロン、クッキーなど幅広いお菓子のレシピに登場する理由がここにあります。
意外ですね。同じ「ナッツパウダー」でも、風味の方向性はまったく異なります。
ヘーゼルナッツプードルは強い香りを「プラスしたい」ときに使うのが向いており、アーモンドプードルは「素材を邪魔したくない」ときや「生地の食感と風味を底上げしたい」ときに使うのが向いています。たとえばチョコレートケーキにヘーゼルナッツプードルを混ぜると、チョコとナッツの濃厚な香りが重なり深みのある味わいになります。一方でフルーツタルトにはアーモンドプードルのクレームダマンド(アーモンドクリーム)が定番で、果物の酸味を引き立てるベースになります。
料理のようにサラダにふりかけたり、コーヒーや温かい飲み物に少量混ぜたりする使い方もあります。ヘーゼルナッツプードルはカフェラテやホットチョコレートに加えると、贅沢なカフェ風の味わいになります。これは使えそうです。
ナッツパウダーはどちらも高カロリー・高脂質な食品です。脂質が多いことは知られていますが、その脂質の中身に注目することが大切です。
アーモンドプードル100gあたりの主な栄養素は下記の通りです。
| 栄養素 | アーモンドプードル(100g) |
|--------|---------------------------|
| たんぱく質 | 約18g |
| 脂質 | 約54g |
| 炭水化物 | 約20g |
| 食物繊維 | 約9.5g |
| ビタミンE | 約30.3mg |
| マグネシウム | 約290mg |
ヘーゼルナッツ100gあたりの主な栄養素(パウダーもほぼ同等)は下記の通りです。
| 栄養素 | ヘーゼルナッツ(100g) |
|--------|-------------------------|
| たんぱく質 | 約13g |
| 脂質 | 約69g |
| 炭水化物 | 約14g |
| 食物繊維 | 約7.4g |
| ビタミンE | 約19.6mg |
| マグネシウム | 約160mg |
比べるとアーモンドプードルの方が食物繊維・ビタミンE・マグネシウムが多く含まれています。一方でヘーゼルナッツプードルの方が脂質が高い傾向があります。どちらも小麦粉とは比べ物にならないほど栄養密度が高い食品で、グルテンを含まないためグルテンフリーのお菓子作りにも活用されています。
カロリーはどちらも100gあたり600kcal前後と高いため、一度に大量に食べるものではありません。ただ、お菓子のレシピで使う量は20〜50g程度が一般的で、一食当たりの摂取量は限られます。ナッツの脂質が高いのは事実です。
また、アーモンドプードルのビタミンEは抗酸化作用が期待できる栄養素として知られており、肌や体の酸化ダメージを防ぐ働きがあるとされています。健康や美容を意識する主婦の方にとっては、ただおいしいだけでなく、日常的に取り入れる価値のある食材といえます。
アーモンドプードルの栄養成分・効果について詳しく解説(プロフーズ)
両者は原料が違うだけで用途はほぼ同じなので、基本的にはお互いに代用できます。ただし、いくつかの重要な注意点があります。
まず最大の注意点はマカロンへの代用リスクです。マカロンはアーモンドプードルと粉砂糖が生地の主成分であり、アーモンドの油分と粒子感がマカロン特有の「ピエ(足)」を作る構造に深く関わっています。ヘーゼルナッツプードルは風味こそ近いですが、粒子の細かさや油分量が異なるため、同量で代用すると生地の広がり具合やメレンゲとの合わさり方が変わってしまいます。失敗リスクが高いということです。マカロンへの代用は慎重にが原則です。
一方でクッキー、フィナンシェ、タルト台、ダックワーズ、パウンドケーキなどの焼き菓子は比較的代用しやすいです。ただし風味はヘーゼルナッツ独特の甘い香りになるため、完成品のイメージが変わります。これはデメリットにも、逆にいつもと違う風味のお菓子を作れるメリットにもなります。
代用量の目安は基本的に同量(1対1)で問題ありません。ただし、生地の状態(水分量や混ざり具合)が若干変わることがあるため、初めて代用するときは少量で試すと安心です。
もう一点、アレルギーの観点も忘れずに確認しましょう。ヘーゼルナッツとアーモンドは植物の科が異なります(カバノキ科と バラ科)。アーモンドアレルギーの方がヘーゼルナッツを食べても問題ないケースがありますが、逆にヘーゼルナッツアレルギーの方はアーモンドを食べても安全とは限りません。家族に食物アレルギーがある場合は必ず確認が必要です。また、食品表示の観点では、アーモンドは「特定原材料に準ずるもの」として表示が推奨されていますが、ヘーゼルナッツは2025年現在において義務表示・推奨表示の対象外です。加工食品を渡すときは相手にアレルギーがないか確認することをおすすめします。
価格と手に入りやすさは、両者の中で最も大きな違いのひとつです。
アーモンドプードルはイオン・西友・業務スーパー・カルディ・コストコ・製菓材料専門店・100円均一など、多くの場所で購入できます。スーパーなら製菓コーナーにあることが多く、35〜100gで200〜350円程度、業務スーパーや通販なら500gで1,000円前後と比較的コスパ良く手に入ります。小麦粉100gが20〜30円程度であることを考えると、アーモンドプードルは約6〜7倍の価格ですが、使用量が少量で済むため実際の1回あたりのコストはそれほど高くなりません。
一方のヘーゼルナッツプードルは、一般のスーパーではほとんど取り扱いがありません。製菓材料専門店の富澤商店では100gあたり730円前後で販売されており、アーモンドプードルと比べてかなり高価です。近くに専門店がない場合は、AmazonやRakutenなどのネット通販を活用するのが現実的です。
価格差と入手しやすさだけを見ると、アーモンドプードルの方が圧倒的に有利です。ただしヘーゼルナッツプードルならではの風味は代替できないため、特定のお菓子(ヘーゼルナッツのフィナンシェやダックワーズなど)を作りたい場合はネット通販でまとめ買いするのがおすすめです。
まとめ買いのコツとして、ネット通販で購入する場合は200〜500gの大容量商品を購入する方が100gあたりのコストを抑えられます。余った場合は冷蔵または冷凍保存でしっかり保管しましょう。これが条件です。
ナッツパウダーは「脂質が多い粉もの」という性質上、保存方法を間違えると風味が急速に落ちてしまいます。正しい保存方法を知っておくことが、お菓子の仕上がりを守る上でとても重要です。
最大の敵は「酸化」「湿気」「においうつり」の3つです。ナッツパウダーは粉状のため空気に触れる面積が大きく、開封後は特に酸化が進みやすくなります。酸化が進んだアーモンドプードルを使ったお菓子は、独特の苦みや不快な香りが出ることがあり、せっかくのお菓子の風味を損ねます。
開封前・開封後ともに冷蔵保存がおすすめです。開封前でも夏場や高温多湿の環境に置いておくと劣化するため、購入後はすぐに冷蔵庫へ移しましょう。開封後はジッパー付きの密封袋や蓋付き容器に移し替えて、冷蔵庫の野菜室に保存すると風味が長持ちします。
冷凍保存も可能で、密封した状態であれば3ヵ月程度の保存ができます。冷凍から取り出したあとは、使う前に室温で少し戻してから計量すると、生地への馴染みが良くなります。
アーモンドプードルは冷蔵で約2週間を目安に使い切りましょう。ヘーゼルナッツプードルはアーモンドプードルよりも脂質が高い分、さらに酸化しやすいため、開封後はできる限り早く使い切ることが理想です。使い切れない量を買うのはもったいないですね。
使い切れる量を購入するのが基本です。ヘーゼルナッツプードルは高価な上に一般スーパーでは手に入りにくいですが、ネット通販でまとめ買いした際は、半量ほどを小分けにして冷凍保存することで、長期間品質を保ちながら使うことができます。