ほうれん草をゆでてから加熱するとビタミンCが約6割失われるので、グラタンに入れる際は生のまま加えると栄養を守れます。
ほうれん草をグラタンに使うとき、「必ず下ゆでしてから入れる」と思っている方は多いのではないでしょうか。実は、下ゆでの工程を省いてもおいしく仕上がるケースがあります。
ほうれん草に含まれるシュウ酸は、えぐみや苦みの原因になる成分です。シュウ酸は水溶性なので、下ゆでして流水にさらすことで約70〜80%が除去できるとされています。ただしグラタンのような加熱調理では、ホワイトソースのクリーミーさがえぐみをマスクしてくれるため、下ゆでなしでも気になりにくくなります。
とはいえ、シュウ酸は尿路結石のリスクと関係があることが知られています。毎日大量に食べる場合や結石の既往がある方は下ゆでをしたほうが安心です。下ゆでを省くかどうかは「量と頻度」で判断するのが基本です。
下ゆでをする場合のポイントは次の通りです。
下ゆで後に水気をしっかり絞ることが最も重要なポイントです。ほうれん草100gから出る余分な水分は大さじ1〜2杯分にもなるため、絞りが甘いとグラタン全体がシャバシャバな仕上がりになってしまいます。キッチンペーパーで包んでギュッと絞ると確実です。
下処理に使う調理器具として、100円ショップでも手に入る「野菜水切りスピナー」があると便利です。スピナーに入れてハンドルを回すだけで遠心力で水気が飛ぶため、手の力が弱い方や時短を優先したい場面で重宝します。
材料を揃えたら、手順はとてもシンプルです。これが基本です。
【材料】
【作り方】
ホワイトソース缶を使えば、牛乳とバターと薄力粉を計量する手間がゼロになります。市販品を上手に使うのが原則です。カゴメやハインツのホワイトソース缶は290g入りが多く、スーパーで150〜200円前後で手に入ります。1缶でちょうど2〜3人分のグラタンが作れるボリューム感です。
ほうれん草が大量にある場合は、通常のレシピより1.5〜2倍量(1束半〜2束分、300〜500g)をそのまま追加してOKです。加熱するとかさが大幅に減るため、生の状態で「多すぎるかな」と感じる量でも焼き上がりはちょうどよくなります。ほうれん草1束(250g)を炒めると、仕上がりは約80〜100g相当まで縮むイメージです。つまり大量消費には最適な調理法です。
焼き色をより濃くきれいにしたい場合は、最後の2〜3分だけオーブンをグリルモード(上火のみ)に切り替えると、レストランのような仕上がりになります。オーブントースターでも代用でき、1000Wで10〜15分が目安です。
作り置きを活用すれば、忙しい平日の夕食準備が一気にラクになります。これは使えそうです。
グラタンは冷凍保存に向いている料理のひとつですが、注意点が1つあります。それは「じゃがいもを入れないこと」です。じゃがいもは冷凍すると組織が壊れて解凍後にパサパサ・スカスカになってしまうため、冷凍前提のグラタンにはじゃがいもを入れないのが基本ルールです。
冷凍する場合の手順は次の通りです。
作り置きの時短ワザとして、アルミカップ(マフィン型サイズ)を使った「グラタンカップ」が便利です。1人分ずつ小分けにして冷凍しておけば、食べたい分だけオーブントースターで焼けます。子どもの朝食やお弁当のおかずにもそのまま使えるため、1回の調理で複数の場面をカバーできます。
冷蔵保存の場合は、焼いた後にラップをして冷蔵庫で2〜3日が目安です。再加熱は電子レンジ600Wで2〜3分、その後オーブントースターで2〜3分焼くとチーズが再び溶けてできたての食感に近づきます。冷蔵保存なら翌日のランチにも使えます。
ほうれん草が大量にある週は、グラタンの具材だけ(ほうれん草+鶏肉+玉ねぎを炒めたもの)を冷凍ストックしておくのも効率的です。食べたい日にソースと混ぜて焼くだけなので、調理時間を通常の半分以下に短縮できます。
同じグラタンでも食材を少し変えるだけで、飽きずに毎週食べられます。意外ですね。
ツナとほうれん草のグラタン
鶏肉の代わりにツナ缶(ノンオイルタイプ)を使うと、さらに手間が省けます。ツナ缶はそのままソースに混ぜるだけなので、炒め工程がなくなり調理時間が約5分短縮されます。油漬けタイプのツナはカロリーが高くなるため、カロリーが気になる場合はノンオイルが条件です。ツナのうまみがホワイトソースにしみてコクが出るため、シンプルながらも満足感のある仕上がりになります。
豆腐入りほうれん草グラタン
木綿豆腐を1丁(300g)加えると、ボリュームが増してタンパク質量もアップします。豆腐は水切りしてから手でちぎって入れるだけでOKです。豆腐とほうれん草の組み合わせはカルシウム吸収の観点から見ると注意点があります。ほうれん草のシュウ酸と豆腐のカルシウムが結合して体外に排出されやすくなるため、豆腐を入れる場合はほうれん草を必ず下ゆでしてシュウ酸を減らしてから使うことが推奨されています。
豆乳ホワイトソースのグラタン
牛乳の代わりに豆乳で作るホワイトソースは、乳糖不耐症の方や牛乳が苦手なお子さんがいる家庭にも向いています。豆乳は無調整タイプを使うと味が安定します。無調整豆乳200mlで作ったホワイトソースは、牛乳で作ったものより若干さらりとした仕上がりになるため、薄力粉を小さじ1だけ多めに加えてとろみを補うと良いです。
マカロニ不使用のグラタン
「グラタンにマカロニは必須」と思いがちですが、マカロニなしでも立派なグラタンになります。マカロニの代わりにご飯(冷やご飯でOK)を使うと和風ドリア風に、食パンを底に敷くとボリュームたっぷりのグラタントーストになります。冷蔵庫の余り食材を一緒に消費できるので、食品ロスの削減にもつながります。
グラタンの失敗には、ほぼ共通した原因があります。結論は「水分管理」です。
水っぽくなる原因と対策
グラタンが水っぽく仕上がる最大の原因は、ほうれん草の水切り不足です。ゆでたほうれん草を軽く絞っただけで加えると、加熱中に水分が大量に出てソースが薄まります。対策はシンプルで、ゆでたほうれん草をキッチンペーパーで包み、両手でギュッと力強く絞ることです。絞ったときにキッチンペーパーがしっとり濡れる程度までしっかり水気を飛ばすのが基本です。
チーズが焦げすぎる・焼き色がつかない
焦げすぎる場合はアルミホイルをかぶせて焼き、最後の3〜5分だけ外すと均一に焼き色がつきます。逆に焼き色がつかない場合はオーブンの温度が低すぎるか、チーズの量が少ない可能性があります。ピザ用チーズは最低50g以上を使うと見た目も食欲をそそる仕上がりになります。
ソースが分離してしまう
市販のホワイトソース缶を使う場合、冷たいままフライパンに加えると分離しやすくなります。缶のソースを室温に少し戻してから、弱火でゆっくり温めながら具材と混ぜるとなめらかに仕上がります。また、チーズを混ぜ込みすぎると油分が分離するため、チーズはトッピング専用にして焼く直前に上にのせるだけにするのが原則です。
パン粉を使うとひと工夫できる
最後にパン粉大さじ2〜3杯をチーズの上にふりかけて焼くと、表面がサクッとした食感になりカフェ風の仕上がりになります。パン粉にオリーブオイルをほんの少し混ぜてからのせると、より均一に焼き色がつきます。普通のグラタンに飽きたときに試してみると印象が変わります。
参考:ほうれん草のシュウ酸と栄養素に関する情報(文部科学省・食品成分データベース)
文部科学省 食品成分データベース|ほうれん草の栄養成分詳細
参考:ほうれん草の下処理とシュウ酸低減に関する研究データ
農林水産省|野菜の適切な調理・保存方法について