市販のカリカリ梅を毎回買っているあなた、1粒あたり約0.7gの塩分が含まれているため、3粒食べただけで女性の1日の塩分目標量の約3割を超えてしまいます。
カリカリ梅を手作りするために必要な材料はとてもシンプルです。ただし、材料の質と種類によって仕上がりが大きく変わるため、各アイテムの選び方を理解しておくことが重要です。
まず一番大切なのが、青梅の選び方です。熟す前の「真緑で硬い」小梅を使うことがカリカリ食感の絶対条件です。梅農家によると、光の当たっていない部分(真下)が真緑になっているものがベスト。少しでも黄みがかっているとすでにペクチンの分解が始まっており、漬けてもふにゃふにゃになってしまいます。これが基本です。
次に、塩は精製塩ではなく天然塩(粗塩・自然塩)を選んでください。精製塩はミネラル分が除去されており、梅のペクチンとの反応が弱くなります。天然塩に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも、カリカリ食感を助ける役割を果たします。「海の精あらしお」などのミネラル豊富な塩がおすすめです。
| 材料 | 目安量(梅500g) | ポイント |
|---|---|---|
| 青小梅 | 500g | 真緑・固いものを当日仕込む |
| 天然塩(粗塩) | 50〜55g(梅の10〜11%) | 精製塩はNG・ミネラル豊富なものを |
| 卵の殻 | 1〜2個分 | 薄皮を除いてレンジ消毒必須 |
| 焼酎(35度)または梅酢 | 大さじ1〜2 | 殺菌・カビ防止に必須 |
| 赤しそ(お好みで) | 50〜100g | 色と風味づけ・なくてもOK |
卵の殻はカリカリ梅の「カリカリ」を作る最重要素材です。必ず使用前に薄皮(内側の白い膜)を丁寧に剥がし、600Wで約1分レンジ加熱するか、熱湯で5分茹でて殺菌してください。薄皮を残すとカビの原因になります。お茶パックに入れておくと、漬け込み時に殻が散らからず便利です。
卵アレルギーが心配な場合や卵の殻が用意しにくい場合は、にがり(豆腐を固める成分)で代用できます。梅の重量の20〜30%を目安に加えましょう。なお、にがりを30%使用するとより強いカリカリ感になりますが、わずかに苦みを感じることがあります。これは使えそうですね。
道具はジップロック(Lサイズ)2枚、まな板か平たいトレー、重石代わりになるもの(塩1kg袋やペットボトルでOK)があれば十分です。
参考:カリカリ梅のカルシウムとペクチンの関係を科学的に解説している神奈川県農業技術センターのページです。
下準備さえ丁寧に行えば、あとはジップロックに入れて冷蔵庫で待つだけです。簡単に仕込めます。
まず、青梅を洗ってアク抜きをします。大粒の青梅は5〜6時間、小梅であれば1時間が目安です。ただし、水に長く浸けすぎると梅が水分を吸い込んで軟らかくなるため注意してください。水につけすぎはNGです。アク抜き後はザルにあげ、30分以上おいて水分を切ります。
次に、爪楊枝や竹串でヘタ(なり口)を1つずつ取り除きます。ヘタが残っていると苦味の原因になりますが、固い梅はヘタが取りにくく果実に傷がつくこともあります。無理に取ろうとして傷がついた部分はカリカリになりにくいため、取れないヘタはそのままにしておくのが正解です。
完全に水気を拭き取ったら、焼酎か梅酢を表面にまとわせて殺菌します。この工程でカビを90%防ぐことができます。
🥚 卵の殻の準備(重要!)
1. 卵の殻の内側の薄皮を丁寧に剥がす(水に5分浸けるとスルッと剥がせます)
2. 600W・1分レンジ加熱して除菌する
3. お茶パックに入れてしっかり口を閉じる
🫙 漬け込みの手順
1. ジップロック(Lサイズ)に梅を入れる
2. 天然塩(梅重量の10〜11%)を加えてコロコロと転がし、全体に馴染ませる
3. 用意した卵の殻パックを入れる
4. 空気をしっかり抜いて密封する
5. ジップロックをもう1枚重ねて二重にする(梅酢が漏れ防止)
6. まな板などの平らな板を上に乗せ、同量の重石(例:塩1kg袋)をかける
7. そのまま冷蔵庫へ入れる
冷蔵庫に入れてから毎日1回、天地返し(ひっくり返す)をして梅酢を全体に行き渡らせましょう。2〜3日で梅酢が上がり始め、2週間ほどで食べられるようになります。つまり、仕込みから約2週間が目安です。
白梅酢が上がったタイミングで赤しそ(任意)を加えると、鮮やかな赤色のカリカリ梅に仕上がります。赤しそは塩もみしてアクを2回抜いたものを使ってください。赤しその量は梅の1〜2割が目安で、多めに使うほど色が濃くなります。
参考:梅農家によるカリカリ小梅の作り方(ジップロック使用)の詳細手順が掲載されています。
梅農家おすすめ・ご家庭でできるカリカリ小梅の作り方|梅ボーイズ
「ちゃんと漬けたのにカリカリにならなかった…」という失敗の原因は、ほぼ5つのポイントのどれかにあります。梅農家が長年かけて導き出したコツを押さえておきましょう。
① 梅が柔らかかった(最多の原因)
青くても収穫から時間が経った梅は、梅自体のペクチン分解が進んでいます。ペクチンとは梅の果肉の中にある糖分が鎖状につながった成分で、収穫後に酵素によって分解が進むと果肉が軟化します。色が緑でもプニプニしているならすでに遅いです。梅を入手したらその日のうちに仕込むのが原則です。
② 水に長く浸けすぎた
アク抜きで長時間水に浸けすぎると、梅が余分な水分を吸い込んで軟らかくなります。小梅は1時間、大梅でも5〜6時間が上限の目安です。時間が不明なときはこまめに確認しましょう。
③ カルシウムが十分でなかった
卵の殻の量が少なすぎた、または薄皮を取らずにカルシウムの溶け出しが遅れた場合に起こります。薄皮の除去は必須です。卵の殻の代わりにカルシウム液(神奈川県農業技術センターが紹介している手法)を使うと、より確実にカルシウムを果肉に浸透させられます。にがりで代用する場合は梅の重量の20〜30%と多めに使うのがポイントです。
④ 精製塩を使った
ミネラルを除去した精製塩はペクチンとの反応が弱く、カリカリ感が出にくくなります。天然塩が条件です。
⑤ 常温で保存した
漬け上がった後も常温で置いておくと、じわじわと果肉が軟化していきます。白梅酢が上がったら速やかに冷蔵庫へ移すことが長期間カリカリを保つ鍵です。冷蔵保存なら1年間カリカリが続くというデータもあります。
| 失敗の原因 | 対策 |
|---|---|
| ⚠️ 時間が経った梅を使った | ✅ 購入当日に仕込む |
| ⚠️ 水に長く浸けた | ✅ 小梅1時間・大梅6時間以内 |
| ⚠️ 卵の殻の薄皮を残した | ✅ 薄皮を必ず除去してから加熱 |
| ⚠️ 精製塩を使った | ✅ 天然塩・粗塩に変更する |
| ⚠️ 漬け上がりを常温保存した | ✅ 白梅酢が上がったら冷蔵庫へ |
「カリカリにならない」の8割以上はこれらのどれかが原因です。厳しいところですね。ただし、これを最初から知っていれば失敗はほぼゼロに抑えられます。もし梅を入手した後に数日置いてしまった場合は、カリカリ梅ではなく梅シロップや梅ジュースに転用する方が賢明です。
参考:カリカリにならない理由とポイントが有機農家の視点から詳しく解説されています。
1年経ってもカリカリが続く「カリカリ梅」のつくり方|有機野菜のぶどうの木
漬け上がったカリカリ梅の保存方法を誤ると、せっかくのカリカリ食感があっという間に失われてしまいます。保存がカリカリを維持する最後の砦です。
漬け上がりのタイミング(白梅酢が上がって約2週間後)を目安に、ジップロックから清潔なガラス瓶や密封容器に移し替えましょう。このまま冷蔵庫で保存すると、1年間カリカリを保てることが実証されています。常温に置くと徐々に軟らかくなり、2〜3週間で食感が失われるため要注意です。
長期保存する場合は、小さな容器に小分けして保存するのがおすすめです。頻繁に開け閉めをする容器は空気に触れる回数が増えるため、100g程度ずつ分けておくと無駄がありません。さらに長く保存したい場合は冷凍保存も可能で、食べるときに自然解凍すると食感は多少変わりますが塩味と酸味はしっかり楽しめます。
🍑 手作りカリカリ梅の1日の適量について
手作りカリカリ梅は市販品より塩分を自分で調整できる点が大きなメリットです。ただし塩分管理は重要です。市販のカリカリ梅1個(約10g)には塩分が0.6〜0.7g含まれており、3個食べると約2g近い塩分を摂取することになります。
成人女性の1日の食塩摂取目標量は6.5g未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)のため、食事でも塩分を摂ることを考えると、カリカリ梅の目安は1日2〜3個が適切です。塩分が気になる場合は、梅重量に対する塩の比率を10%程度(標準的な梅干しは18〜20%)に抑えた手作りなら、塩分を3割以上カットできます。健康のために作るなら低塩で仕込むのが得策です。
なお、お子様や妊婦の方、高血圧・腎疾患のある方は特に塩分に注意が必要です。1日1〜2個を目安にしてください。
参考:カリカリ梅1日の適量と塩分について詳しく解説されています。
カリカリ梅は一日に何個まで食べても安全か?塩分とカロリーの観点から解説
カリカリ梅は漬けるだけで終わりにするのはもったいないです。ご飯のお供だけでなく、さまざまな料理にアレンジすると食卓がぐっと豊かになります。
🍙 ① カリカリ梅としらすのおにぎり(定番)
カリカリ梅の酸味としらすの旨みは相性抜群で、子どもから大人まで喜ばれます。
- ご飯(茶碗2杯)に刻んだカリカリ梅(2〜3個分)、しらす大さじ2、白ごまを混ぜる
- ラップで握って完成
梅の塩気があるため、塩は不要またはごく少量でOKです。お弁当にも最適ですね。
🥒 ② カリカリ梅ときゅうりの即席漬け(5分)
あと1品ほしいとき、5分で仕上がる副菜です。夏の食欲不振の時期にも重宝します。
- 叩いてひと口大に切ったきゅうり(1本)、刻んだカリカリ梅(2個)、醤油小さじ1、ごま油小さじ1、白ごまを袋に入れて揉む
- 10分ほど置いたら完成。冷やすとより美味しいです
🍝 ③ カリカリ梅の和風パスタ(10分)
梅×大葉×ごま油の組み合わせは和パスタの定番。食欲がない日でもさっぱり食べられます。
- 茹でたパスタ(100g)に、刻んだカリカリ梅(2〜3個)、大葉5枚(千切り)、ごま油小さじ2、醤油小さじ1、白ごまを和える
- 冷製パスタにしても◎
🥚 ④ カリカリ梅タルタルソース(唐揚げに合う!)
マヨネーズ大さじ2、つぶしたゆで卵1個、玉ねぎみじん切り大さじ1、みじん切りにしたカリカリ梅2個を混ぜるだけで、爽やかな和風タルタルが完成します。フライや唐揚げとの相性が抜群で、梅の酸味がこってりした揚げ物をさっぱりさせてくれます。
🍱 保存中の梅酢も捨てないで!
カリカリ梅を仕込んだ後に残る白梅酢・赤梅酢は、野菜の浅漬けや寿司飯の酢の代替、ドレッシングのベースとして使えます。塩と酸が凝縮されているため、料理に少量加えるだけで旨みが増します。梅酢を活用するのが賢い使い方です。
参考:カリカリ梅のアレンジレシピと梅酢の活用方法が詳しく紹介されています。
お家でできるカリカリ梅の作り方!アレンジレシピも|プラムレディ