冷凍しないで漬けた梅シロップは、砂糖が溶けるのに最短でも2週間以上かかります。
梅仕事の第一歩は、青梅の選び方と下処理です。梅シロップに使う青梅は、なるべく傷がなく、ふっくらとしたものを選びましょう。皮が破れていたり、大きく傷んでいたりするものは、漬けている途中で発酵の原因になるので避けるのが基本です。
まず、買ってきた青梅を流水でやさしく洗います。このとき水に長時間浸けると梅が水分を吸いすぎてしまうため、2〜3時間程度のアク抜きにとどめてください。洗い終えたら、キッチンペーパーで1個ずつ丁寧に水気を拭き取りましょう。水気が残ったままだと冷凍中に余分な氷がつき、シロップの仕上がりに影響します。これが基本です。
次に、竹串などを使って梅のヘタ(なり口のつまった黒い部分)を取り除きます。ヘタはえぐみの原因になります。すべてのヘタを取り終えたら、ジッパー付きの冷凍用保存袋に入れて口をしっかり閉め、冷凍庫へ。少なくとも一晩(24時間以上)、しっかり中まで凍らせてください。丸一日以上冷凍すれば問題ありません。
| 工程 | ポイント | 注意事項 |
|---|---|---|
| 🫧 洗い・アク抜き | 流水でやさしく洗う、水に2〜3時間浸ける | 長時間の水浸けは厳禁 |
| 💧 水気を取る | キッチンペーパーで1個ずつ丁寧に | 水気が残ると品質低下の原因に |
| 🪡 ヘタ取り | 竹串でペロッと取り除く | 残るとえぐみの原因に |
| 🧊 冷凍 | 冷凍用袋に入れ、24時間以上冷凍 | 中まで完全に凍らせること |
冷凍すると青梅の細胞膜が壊れ、エキスがしみ出しやすくなります。これが時短と発酵防止の両方につながる理由です。なお、冷凍梅は購入後すぐに処理して冷凍しておけば、梅の旬が終わった後も漬けることができるという嬉しいメリットもあります。
【参考】ニチレイフーズ「梅シロップの作り方・冷凍梅なら6日で完成」(管理栄養士監修の詳しい工程解説)
砂糖の選び方で、梅シロップの味・色・完成スピードが変わります。これは意外と知られていないポイントです。基本の割合は、冷凍梅1kgに対して砂糖1kg(同量)が目安です。
氷砂糖は粒が大きくゆっくり溶けるため、梅のエキスをじっくり引き出します。透明感のある淡い琥珀色に仕上がり、雑味のないすっきりした甘さが特徴です。ただし溶けるのに時間がかかるため、発酵リスクが若干高くなります。冷凍梅と組み合わせれば、このデメリットをある程度カバーできます。
白砂糖(上白糖)やグラニュー糖は粒が細かく早く溶けるので、冷凍梅との相性は非常に良いです。溶けやすいということですね。グラニュー糖は氷砂糖と同じくすっきりした甘さに、上白糖は少しコクのある仕上がりになります。発酵させたくない方や初心者には白砂糖・グラニュー糖がおすすめです。
てんさい糖や三温糖、きび砂糖を使うと、シロップはやや茶褐色になりコクのある風味になります。好みに合わせて選んでみましょう。
| 砂糖の種類 | 溶けやすさ | 仕上がりの色 | 風味 |
|---|---|---|---|
| ❄️ 氷砂糖 | 遅い | 淡い琥珀色・透明 | すっきり・雑味なし |
| ⚪ グラニュー糖 | 早い | 淡い琥珀色・透明 | すっきり甘い |
| 🤍 上白糖 | 早い | やや濃い琥珀色 | コクあり |
| 🟤 てんさい糖・きび砂糖 | 中程度 | 茶褐色 | 深いコク・風味豊か |
砂糖の量を梅の80%以下(梅1kgに対して砂糖800g未満)にしすぎると、浸透圧が弱まって梅のエキスが出にくくなります。発酵リスクも上がるので、初回は1:1を守るのが条件です。甘さを控えたい場合も、最低800g程度は入れましょう。
いよいよ漬け込みの工程です。ここでは保存袋(ジッパーバッグ)を使う、ニチレイフーズ監修の方法をベースに紹介します。
1日目:下処理して一晩冷凍する
前述の下処理を行い、青梅を冷凍用保存袋に入れてひと晩冷凍庫へ。ヘタを取ってから凍らせるのがポイントです。
2日目:砂糖を加えて冷蔵庫で漬ける
翌日、冷凍梅の入った袋に同量の砂糖を加えます。新品の保存袋を使う場合、袋自体が清潔なので煮沸消毒は不要です。これは使えそうです。袋の口をしっかり閉じて、冷蔵庫の冷蔵室で保管します。保存瓶を使う場合は、熱湯または焼酎で消毒してから使いましょう。
3〜6日目:1日1回軽くもんで混ぜる
漬けた翌日から1日1回、袋ごと軽くもんで全体を混ぜます。砂糖と梅が均一に触れることで、エキスがよく出ます。梅がシワシワになってきて、氷砂糖が8割以上溶けてきたら、取り出すタイミングです。
仕上げ:加熱殺菌してアクを取る
梅を取り出し、シロップと残った砂糖を鍋に移します。弱火でアクを取りながら15分ほど、80℃以上を保ちつつ沸騰させないように加熱します。沸騰させると梅の香りが飛んでしまいます。冷めたら新しい保存袋か清潔な瓶に移し替えて完成です。
梅の風味が飛ぶので沸騰させないこと、これが最重要です。また、シロップを煮る際にアルミ鍋を使うのは厳禁です。梅の酸でアルミが溶け出し、鍋が傷む原因になります。
【参考】もやし工房「発酵しにくい簡単な梅シロップ・梅ジュースの作り方」(発酵対策の具体的な手順と写真付き解説)
梅シロップ作りで一番多い失敗が「発酵」です。発酵してしまうと、シロップが白く濁ったり、泡立ったり、アルコールのような独特の臭いが出ます。梅が膨らんでいる場合も発酵のサインです。
発酵の主な原因は3つあります。砂糖が溶けるのに時間がかかること、室温が高い場所に放置すること、そして梅自体に傷や熟しすぎた部分があることです。
砂糖を早く溶かすためには、氷砂糖よりグラニュー糖や白砂糖を使うか、仕込み時に酢を50cc程度加えるのが効果的です。酢は完成品の味にほとんど影響しません。これだけ覚えておけばOKです。また冷凍梅を使うことで、エキスが早く出て砂糖が溶けやすくなるため、発酵リスクが自然に下がります。
もし漬けて3〜4日で泡立ちや濁りが出てきた場合は、梅をすべて取り出してシロップだけを鍋に移し、弱火で15分ほど加熱しましょう。煮た後は氷水で急冷し、完全に冷めてから梅を再び入れて1〜2日おきます。その後もう一度加熱殺菌すれば、発酵臭を和らげて飲める状態に戻せる場合があります。
なお、完全に発酵が進んでしまってカビが生えた場合は、残念ながら全量廃棄が必要です。カビは見た目で生えていない部分も汚染されている可能性があるため、飲むと腹痛を起こすリスクがあります。腹痛を避けるための廃棄、と割り切ることが重要です。
【参考】東京ガス「ウチコト」梅シロップが発酵した場合の対処法や失敗しない作り方(対処法の詳細と専門家のアドバイス)
梅シロップが完成したら、シワシワになった残り梅も捨てないでください。梅の果肉にはまだ栄養素やうまみが残っています。梅ジャムにするのが最もポピュラーな活用法です。種を取り除いて果肉と砂糖で煮詰めるだけで、パンや豆腐にも合う爽やかなジャムが作れます。ヨーグルトに混ぜたり、かき氷のシロップに原液を使ったりするのもおすすめです。
梅シロップそのものの健康効果も見逃せません。青梅には有機酸(クエン酸・リンゴ酸など)が豊富に含まれており、疲労回復への効果が期待されています。クエン酸は体内に蓄積した乳酸(疲労物質)を分解・排出する手助けをすることが知られています。夏の暑い日に炭酸水で割った梅ジュースを飲むと、さっぱりするだけでなく身体的な疲れにもアプローチできます。
また、梅シロップ100mlには2,700mgの摂取が推奨されているクエン酸に近い量が含まれているとされており(種抜き処理をした場合)、効率よく摂取できる飲み物として注目されています。いいことですね。
梅シロップは冷蔵庫で3〜4ヶ月保存できますが、加熱殺菌をしっかり行って密封した場合は最長1年程度も保存できます。梅の旬(5〜6月)に多めに作って、秋冬も楽しめる保存食として活用するのがおすすめです。1年を通して使えるということですね。