「純粋はちみつ」と書いてあっても、あなたの体に届く栄養はほぼゼロかもしれません。
はちみつを選ぶとき、多くの方が「国産なら安心」と感じているのではないでしょうか。確かに国産はちみつは産地が明確で、品質管理が行き届いているイメージがあります。しかし、産地と同じくらい重要なのが「非加熱かどうか」という視点です。
はちみつには本来、約150種類もの栄養成分が含まれています。ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンK、カルシウムや鉄などミネラル27種類、22種類のアミノ酸、そして80種類以上の天然酵素——これらが奇跡のバランスで詰まっているのが、自然のままの生はちみつです。
ところが、これらの栄養素は熱に非常に弱いという特性を持ちます。45℃を超えると成分の破壊が始まり、60℃に達するとほぼすべての酵素・ビタミンが失活するとされています(出典:クラヤ株式会社「はちみつ~非加熱処理って?」)。
つまり非加熱が条件です。加熱された時点で、はちみつは「栄養豊富なスーパーフード」から「甘いだけの砂糖液」に近い存在に変わってしまうのです。
無添加という点も同様に重要です。「加糖はちみつ」にはとうもろこし由来の異性化糖(水あめ)が加えられており、カロリーだけが高い状態になっています。「精製はちみつ」は香りや色素などを人工的に取り除いた加工品。いずれも天然の風味・栄養とはかけ離れたものです。
国産であることに加え、「非加熱」「無添加」の2つを同時に満たすことで初めて、はちみつ本来の恵みを受け取ることができます。これが条件です。
非加熱・無添加の国産はちみつには、どんな具体的な健康効果が期待できるのでしょうか。主なポイントを深掘りしてみましょう。
腸内環境の改善効果が代表的です。非加熱はちみつには「グルコン酸」と「オリゴ糖」が熱によって破壊されず生きたまま含まれています。グルコン酸は、なんと大豆や味噌の約30倍もの量が含まれるとも言われています。これが大腸まで届き、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内フローラを整えます。腸内環境が整うと、花粉症・アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の緩和や、生活習慣病の予防にも波及効果が期待できます。
腸は体の免疫の約70%を担うと言われており、毎日の食卓にこのはちみつを取り入れることは、家族全員の免疫ケアにつながります。これは使えそうです。
疲労回復の速効性も見逃せません。主成分であるブドウ糖と果糖は「単糖類」と呼ばれ、消化分解なしにそのまま血液に吸収されます。砂糖(二糖類・ショ糖)がいったん分解される工程が不要なため、運動後や育児で疲れを感じたとき、スプーン一杯のはちみつが素早くエネルギーに変換されます。胃腸への負担がほぼゼロな点も、体が疲れているときには大きなメリットです。
殺菌・抗菌作用もはちみつならではの特徴です。80%前後という高い糖度が、細菌の体液を浸透圧で奪い取るため、菌が生きられない環境を作ります。喉の痛みや咳に対する効果は古くから民間療法として知られていましたが、現代の研究でもその根拠が裏付けられています。非加熱であればこそ、このネイティブな殺菌力が保たれています。
ダイエット・美容への作用も注目されています。砂糖と同量の甘みを出すのに、はちみつは約1/3の量で済むとされています。カロリーに換算すると大さじ1杯あたり砂糖の約40%オフが可能です。さらに非加熱はちみつはGI値(血糖上昇指数)が砂糖よりも低く、血糖値の急上昇が起きにくい性質があります。また、ビタミンB群・ポリフェノールが豊富なため、抗酸化・アンチエイジングへの効果も期待されています。
参考:TSUKUMOZA「5分で分かる非加熱はちみつ!99%のはちみつが加熱されているという事実」
「非加熱・無添加と書いてあるから大丈夫」とは言い切れないのが、はちみつ市場の現状です。ここを押さえておけばOKです。
① ラベルの原材料表示を確認する
最初に確認すべきは「品名」と「原材料名」の2か所です。品名の欄に「純粋はちみつ」または「純蜂蜜」と書かれていること、そして原材料名の欄に「はちみつ」以外の成分が記載されていないことが条件です。「異性化糖」「加糖」「精製蜂蜜」などの表示がある場合は、純粋なはちみつとは言えません。また注意すべきは、「純粋はちみつ」という表示が国産・輸入を問わず「加熱してもOK」という意味しか保証しない点です。日本の基準では、加熱処理しても「純粋はちみつ」と表示できます。意外ですね。
② 結晶化の有無で判断する
本物の非加熱はちみつは、15℃前後の低温になると白く固まる「結晶化」が起きます。これははちみつに含まれるブドウ糖が自然に析出する現象であり、品質の証です。冬場や冷暗所に保管したとき、容器の底から白くなっていたら本物の可能性が高い。ただし、アカシアはちみつのように果糖の比率が高い品種は結晶化しにくい特徴があります。結晶化しないから偽物、とは限りません。
③ 色・透明度・気泡を見る
本物の非加熱はちみつは、花粉・気泡が混ざるため透明度が低く、濁った見た目をしていることが多いです。また、酵素が発酵し続けているため、細かい気泡が含まれる場合もあります。完全に透き通ってサラサラとしているものは、加熱・過熱ろ過が行われている可能性があります。ただし、花の種類によっては透明度の高いはちみつも存在するため、一つの参考指標として考えましょう。
④ 価格帯を確認する
非加熱・無添加の国産はちみつは、生産に手間と時間がかかるため、加工品と比べて価格が高くなります。国産品の場合、100gあたり600円〜1,000円以上が一般的な目安です。スーパーなどで100gあたり200〜300円程度で売られている安価な製品は、加熱や加糖が行われている可能性が高いと考えてください。高品質な国産非加熱はちみつは、価格に見合う栄養価と安全性があります。
参考:Shinobee Honey「本物の純粋はちみつを見分ける5ポイント」
せっかく本物の非加熱・無添加はちみつを手に入れても、保存や使い方を間違えると栄養が台無しになることがあります。正しい保存が原則です。
保存場所は「常温・冷暗所」が基本です。はちみつは糖度が非常に高く(約80%)、細菌が繁殖できない環境を自ら作り出しているため、冷蔵庫に入れる必要はありません。むしろ冷蔵すると結晶化が進みやすくなり、使いにくくなります。直射日光・高温多湿を避けた棚の中など、常温の冷暗所で保管しましょう。
結晶化したときの溶かし方に注意が必要です。結晶化は品質が落ちたサインではなく、非加熱の証とも言えます。問題ありません。溶かしたい場合は、50℃以下のぬるま湯で湯煎するのが正解です。電子レンジは一瞬で60℃を超えてしまい、大切な酵素やビタミンを破壊しかねません。鍋に小皿を置き、その上に容器をセットして弱火でじっくり湯煎する方法が安全です。スプーンで時々かき混ぜながら、15〜20分かけてゆっくり溶かすのが理想です。
スプーンは必ず清潔なものを使うことも重要です。唾液が混入すると雑菌が増え、発酵が進んで風味が変わったり傷んだりする原因になります。同じスプーンを口につけてそのまま瓶に戻すのはNGです。
1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えないでください。非加熱のはちみつには自然界に存在するボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあります。大人や幼児以上の子供は腸内環境が整っているため問題ありませんが、乳児の腸では毒素が産生されて乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあります。これは非加熱・加熱問わずはちみつ全般に言えることです。厚生労働省も1歳未満への使用を禁止しています。
非加熱・無添加の国産はちみつを選んだあと、「どの種類を選べばいいの?」と迷う方は多いです。実は蜜源となる花の種類によって、味・栄養成分・向いている使い方が大きく異なります。これだけ覚えておけばOKです。
| 種類 | 特徴・味 | おすすめの使い方 | 主な産地 |
|---|---|---|---|
| 🌸 レンゲ | クセなし・まろやか | 毎日のヨーグルト・パンに | 日本各地 |
| 🌿 アカシア | 上品な甘さ・結晶化しにくい | 料理・ドレッシング・飲み物に | 北海道・東北 |
| 🌼 百花蜜 | 複雑な風味・コク深い | そのままスプーン1杯で健康ケアに | 全国各地 |
| 🌰 栗 | コク強・渋みあり | チーズとの組み合わせ・お料理のソースに | 長野・岐阜 |
| 🌿 そば | 黒糖のような深み・鉄分豊富 | 貧血が気になる方の毎日の補給に | 北海道 |
特筆したいのは、毎日の「腸活」目的なら百花蜜が最もコスパ良好という点です。百花蜜は複数の花から採取されているため、栄養成分が特定の花蜜よりも多様で、腸内環境改善に関わるグルコン酸・オリゴ糖・乳酸菌をバランスよく含んでいます。
一方、料理に使いたいならアカシアが向いています。結晶化しにくいため液体のまま使いやすく、クセがないので肉・魚・野菜のどんな料理にも合わせやすい特性があります。豚バラの照り焼きや、サラダドレッシングのかくし味として活躍します。
そばはちみつは一般的な知名度は高くないですが、鉄分含有量が他の品種と比べて突出して多く、貧血ぎみの女性や育ち盛りのお子さんを持つご家庭にひそかにおすすめしたい品種です。味が個性的なため、ホットミルクに溶かしたり、パンに塗る際に少量から試してみるのがコツです。いいことですね。
非加熱・無添加の国産はちみつを選んだなら、目的と用途に合わせて花の種類も選んでみると、より暮らしの中での使いやすさと効果実感が変わってきます。
参考:かわしま屋「本物のはちみつの選び方とおすすめ|花の種類による違いも徹底解説」