「無添加」と書いてあるスープを毎日飲ませているのに、実は化学調味料が入っている商品が市場の約6割を占めています。
スーパーの棚に並ぶレトルトスープには「無添加」「化学調味料不使用」「保存料不使用」といった表示が目立ちます。しかし、これらの言葉が意味する内容は、実は消費者が想像しているものとかなり異なる場合があります。
日本では食品添加物の表示について、食品表示法および食品添加物公定書に基づいたルールが定められています。ただし「無添加」という言葉そのものに、法律上の明確な定義はありません。つまり、メーカーが独自の基準で「無添加」と名乗ることができるわけです。これは意外ですね。
たとえば「保存料無添加」と書いてある商品でも、保存料の代わりにpH調整剤やビタミンC(アスコルビン酸)が使われているケースは珍しくありません。これらは保存料ではないものの、保存性を高める目的で添加される成分です。つまり「保存料不使用=添加物ゼロ」ではないということです。
さらに注意が必要なのが「酵母エキス」と「たんぱく加水分解物」です。どちらも天然由来の成分に分類されるため、食品添加物の表示義務がなく、「無添加」の商品にも使用可能です。しかしこれらは、化学調味料のうま味成分(グルタミン酸ナトリウム)と非常に近い働きをします。添加物扱いされないだけで、実質的には「うま味を人工的に強化している」ともいえます。
消費者庁は2022年に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、誤解を招く「無添加」表示の規制に乗り出しました。このガイドラインでは、単に保存料だけを使っていない商品を「無添加」と大きくうたうことへの注意を促しています。完全な規制ではありませんが、ガイドライン施行後は表示内容を見直すメーカーも増えてきました。
選ぶときは「何が無添加なのか」を確認するのが基本です。パッケージ表面の「無添加」という文字だけで判断せず、裏面の原材料名を必ず確認するようにしましょう。
消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(PDF)
上記リンクは消費者庁が公開している公式ガイドラインです。「無添加」表示の具体的な注意事項が掲載されており、商品選びの判断基準として参考になります。
原材料名の表示には、見落としやすいルールがあります。まず基本として、食品の原材料は重量が多い順に並べて記載することが義務付けられています。つまり、一番最初に書かれている成分が、その商品の中で最も多く使われているものです。
スープの場合、最初に「チキンブイヨン」「野菜エキス」など食材由来の名前が並んでいるものは、素材重視の配合である可能性が高いといえます。一方で、食塩や砂糖が原材料リストの先頭近くにある商品は、味付けに依存した配合になっている可能性があります。これが原則です。
次に注目したいのが、スラッシュ(/)で区切られた部分です。この「/」以降に記載されているものは食品添加物です。たとえば「チキンエキス、玉ねぎ、にんじん/増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)」と書いてある場合、「/」後の増粘多糖類と調味料(アミノ酸等)が添加物に該当します。
「調味料(アミノ酸等)」はグルタミン酸ナトリウムが代表的な成分で、いわゆる「化学調味料」と呼ばれるものです。これが入っている商品は、どれだけ「無添加」と表示されていても、化学調味料は使われているということになります。これだけ覚えておけばOKです。
また、「加工でんぷん」も見逃せない成分です。でんぷんは食品添加物ではありませんが、化学処理を加えた加工でんぷんは食品添加物に分類されます。スープのとろみを出すために使われることが多く、11種類の加工でんぷんは特定の条件下で安全性への懸念が指摘されています。
以下が原材料ラベルチェック時のポイントです。
このリストを手元に持っておけば、スーパーでの商品選びがグっと楽になります。最初は慣れが必要ですが、2〜3回確認すれば自然と目が慣れてきます。
市販のレトルトスープの中でも、成分表示が比較的クリアな商品はいくつかあります。以下に代表的なカテゴリ別の特徴をまとめます。
| 商品タイプ | 主な特徴 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 🧅 オニオンスープ系 | 玉ねぎ・コンソメ系で比較的シンプルな配合が多い | 「酵母エキス」の有無を要確認 |
| 🥕 野菜スープ系 | ミネストローネ・ポタージュなど。増粘剤使用商品が多い | 加工でんぷん・増粘多糖類の記載確認 |
| 🐔 チキンブロス系 | 骨から取ったスープを使用するタイプ。塩分が高めのことも | 食塩相当量(1食あたり)を確認 |
| 🌿 オーガニック認証系 | 有機JASマークつきで農薬・化学肥料不使用の原材料を使用 | 有機JASマークが本体に印字されているか確認 |
有機JASマークは農林水産省が認定する公的な認証マークです。このマークがついている商品は、農薬や化学肥料を使わずに栽培された原材料を使っていることが第三者機関によって確認されています。「無添加」より信頼性の高い指標といえます。これは使えそうです。
通販専門の無添加食品ブランドとしては、「ムソー」「創健社」「マルサンアイ」などが比較的評価が高く、生協(コープ)のプライベートブランドでも原材料がシンプルな商品が増えています。価格帯は1袋あたり150〜350円程度が目安です。
スーパーで手軽に入手できる商品で添加物が少ないものを探す場合は、カルディや成城石井などの輸入食品系の棚が参考になります。海外(特にEU圏)の食品は規制が厳しいため、添加物の種類が少ない傾向があります。
農林水産省「有機食品の検査認証制度」公式ページ
上記は農林水産省による有機JAS制度の解説ページです。有機認証マークの意味や認証を受けた事業者の検索方法が記載されており、商品選びの参考になります。
レトルトスープをそのまま飲むだけでなく、料理のベースとして活用すると一気に時短になります。無添加スープは化学調味料が入っていないぶん、素材の味がシンプルなので、他の食材と合わせてもぶつかりにくいという利点があります。
炊き込みご飯への活用はとくに便利です。お米2合を研いでから、レトルトのミネストローネ系スープ(1袋200ml前後)を加え、水の量を調整して炊くだけで野菜の旨味が染み込んだご飯が完成します。野菜をさらに刻んで加えても相性が良く、子どもも食べやすいメニューになります。
ポタージュ系のレトルトスープは、グラタンのソース代わりに使えます。耐熱容器に茹でたマカロニとほぐしたチキン、ポタージュスープを流し込み、チーズをのせてオーブントースターで焼くだけです。工程は3ステップ以内で完結します。
以下はレトルトスープ活用の時短アイデアです。
離乳食や介護食に使う際は、食塩相当量を必ず確認してください。1食あたり0.5g以下を目安にし、必要に応じてお湯で2〜3倍に薄めて使うのが安心です。塩分が気になる場合は無塩タイプの商品を選びましょう。
アレンジ時に注意したいのは、加熱のしすぎです。レトルトスープは製造段階で高温殺菌済みのため、再加熱は温める程度で十分です。長時間煮立てると、素材のうまみ成分が揮発して風味が落ちてしまいます。温めるだけで大丈夫です。
「無添加だから健康的」と思って毎日飲んでいると、実は塩分の摂りすぎになっているケースがあります。これは主婦が見落としやすい盲点です。
厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人女性の食塩相当量の目標値は1日6.5g未満とされています。ところが市販のレトルトスープ1袋に含まれる塩分は、商品によって1食あたり1.5g〜2.8gに達するものもあります。朝・昼・夕で3食飲めば、スープだけで1日の目標値を超えてしまう計算です。塩分には注意が必要です。
「無添加」という表示は、あくまでも添加物が少ないことを示すものであり、「塩分が低い」「カロリーが低い」を意味しません。素材由来の塩(食塩や醤油)でしっかり味付けされていることも多く、化学調味料を使わないぶん塩分で味を補っている商品もあります。
一方でカロリーについては、スープ類は全体的に低い傾向があります。ポタージュ系で1袋あたり60〜120kcal程度、コンソメ・ブロス系では10〜40kcal程度が目安です。ダイエット中でも取り入れやすい食品ではありますが、ポタージュにクリームを加えたタイプは脂質が高くなるので確認が必要です。
| スープの種類 | 目安カロリー(1袋) | 目安塩分(1袋) |
|---|---|---|
| コンソメ・ブロス系 | 10〜40kcal | 1.2〜2.0g |
| ミネストローネ・野菜スープ系 | 40〜80kcal | 1.0〜1.8g |
| かぼちゃ・コーンポタージュ系 | 80〜150kcal | 0.8〜1.5g |
| クリームスープ系 | 100〜180kcal | 1.0〜2.0g |
毎日の塩分を管理したい場合は、「無塩」または「食塩不使用」と明記された商品を選ぶのが確実です。調理時に自分で塩を加える形にすれば、1食ごとに摂取量をコントロールしやすくなります。また、商品パッケージに記載されている「食塩相当量」を1日トータルで把握する習慣をつけると、健康管理に役立ちます。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」公式ページ
上記は厚生労働省が公開している食事摂取基準の解説ページです。食塩相当量の目標値をはじめ、栄養素ごとの推奨量が掲載されており、日々の食事管理の基準として利用できます。