じゃがいも以外にかけると、むしろ美味しさが3倍になります。
「ラクレット(raclette)」という言葉を初めて聞くと、聞き慣れない響きに少し戸惑う方もいるかもしれません。実はこの言葉、フランス語の動詞「racler(ラクレ)」に由来しており、日本語にすると「削る・こそぎ取る」という意味になります。その名の通り、溶かしたチーズをナイフで削ぎ取って食べることから、この名前がついたのです。
特筆すべき点は、「ラクレット」という言葉が料理名とチーズ名の両方を指すという点です。つまり、①スイス・フランス産の半硬質チーズそのものを「ラクレット(チーズ)」と呼び、②そのチーズを溶かして食べるスタイルの料理も「ラクレット」と呼びます。これは世界でも珍しいケースで、食材と料理の名前が完全に一致している例のひとつです。
チーズとしてのラクレットは、スイス南西部のヴァレー州(フランス語でワリス州とも呼ぶ)が原産地です。表皮は茶褐色でしっとりとした質感があり、中身はクリーム色で弾力性があります。味わいはまろやかでやさしく、ほんのりナッツのような香りが特徴。くせが少ないため、チーズが苦手という方でも食べやすいのが人気の理由のひとつです。
つまり「ラクレット」は料理名でもありチーズ名でもあります。
コトバンクでも「ラクレット」の意味・使い方が詳しく掲載されています。辞書的な定義を確認したい方はこちらも参考になります。
ラクレットの歴史は、中世のアルプス山岳地帯にまで遡ります。当時、スイスやフランスのサヴォア地方で山の羊飼いや牧童たちが、厳しい冬の寒さをしのぎながら焚き火を囲み、チーズの塊を半分に切って火にかざし、溶けた部分をそぎ取って食べていたのが始まりとされています。チーズを火で溶かして食べるという記録は、すでに16世紀(1574年)の文献に残っており、その歴史は約450年にもなります。
日本でラクレットが親しまれるきっかけのひとつになったのが、アニメ「アルプスの少女ハイジ」です。ハイジがおじいさんの家の暖炉でチーズをあぶって食べる場面は多くの方の記憶に残っているはずですが、あのチーズこそがラクレットだと言われています。スイス政府観光局もこの事実を公式に紹介しているほどです。
20世紀に入ると農村部から都市部へと広がり、スイスを代表する国民食のひとつとなりました。さらに、ラクレットの本場であるヴァレー州産チーズは2003年にスイスのAOC(原産地呼称管理)、2013年にはEU統一の産地保護制度「AOP(原産地名称保護)」の認定を受けています。
AOPの認定とは何でしょうか?
これは「特定の地域で、特定の製法で作られたものだけがその名称を名乗れる」という品質保証制度です。ワインのシャンパーニュと同じ考え方で、ヴァレー州産の本物のラクレットチーズには、チーズの側面に産地を証明するスタンプが押されています。スーパーで購入する際はこのマークを確認すると、正規品かどうかの目安になります。
スイス政府観光局によるラクレットの公式情報(スイスの食文化として紹介)。
スイス政府観光局 公式ラクレット紹介ページ
ラクレットチーズの最大の特徴は「溶けやすさ」と「くせのない濃厚なコク」です。牛の生乳を原料とし、乳酸菌とレンネット(凝乳酵素)で固めた後、最低3か月以上かけて熟成させます。直径約30センチのホール(円盤型)で作られ、重さはおよそ5〜6キロにもなります。
スライスしたものをホットプレートやフライパンで溶かすだけで、見違えるほど香りが豊かになります。これはラクレットチーズに含まれる脂肪分が熱を加えることで香気成分を放出するためです。これが正原則です。
気になるカロリーと栄養素も確認しておきましょう。
| 栄養素 | ラクレットチーズ(100gあたり) |
|---|---|
| エネルギー | 約328〜382kcal |
| タンパク質 | 約23〜25.5g |
| 脂質 | 約26g |
| 食塩相当量 | 約1.5g |
カロリーは100gあたり約328〜382kcalと、スライスチーズ(約300kcal)よりやや高めです。一方で、カルシウムやタンパク質が豊富で、ひとかけ(約30g)あたりのカロリーは約100kcal前後。適量を守れば栄養価の高い食品として取り入れられます。
ただし、食べ過ぎには注意が必要です。脂質が高いため過剰摂取は体重増加につながります。また塩分も含まれているため、高血圧が気になる方や減塩中の方は1食あたりの量を意識するのが賢明です。
チーズの健康効果と注意点については雪印メグミルクの専門ページが参考になります。
ラクレットの伝統的な食べ方は、チーズの断面を火(または電気ヒーター)に当てて溶かし、とろとろになった部分をナイフで削ぎ取り、茹でたじゃがいもに絡めて食べるスタイルです。付け合わせには小粒のピクルス(コルニション)や生ハム・サラミなどの肉類を合わせるのがスイスの定番です。これが基本です。
日本の家庭でラクレットを楽しむ場合、専用のラクレットグリルがなくても問題ありません。スライスされたラクレットチーズをホットプレートや小型フライパンで温めるだけで、同じような体験が味わえます。オーブントースターで茹でたじゃがいもにチーズをのせて2〜3分焼くだけでも十分です。
じゃがいもが定番ですが、実はそれ以外の食材との相性も抜群です。雪印メグミルクのチーズクラブによると、ラクレットに合う食材の幅は意外なほど広いとされています。
| カテゴリ | おすすめ食材 |
|---|---|
| 🥩 お肉 | ハンバーグ・チキンソテー・サイコロステーキ・ソーセージ・タコライス |
| 🐟 魚介 | サーモンソテー・焼き牡蠣・白身魚のソテー |
| 🥦 野菜 | 焼きなす・焼き芋(安納芋)・ブロッコリー・アスパラ・プチトマト |
| 🍞 パン・炭水化物 | バゲット・クロワッサン・パングラタン・お餅 |
中でも「焼きなすにラクレットをのせる」組み合わせは意外性がありながらも絶品との評価が多く、いつもの焼きなすが一気にご馳走になります。これは使えそうです。
また日本らしいアレンジとして、お餅にのせてオーブンで焼く食べ方も人気があります。お正月のお餅が余ったとき、ぜひ試してみてください。
「ラクレットチーズを食べてみたいけど、どこで買えばいいかわからない」という方も多いでしょう。入手方法については、実は選択肢が思ったより多くあります。
まず購入できる場所として代表的なのが、コストコ・成城石井・カルディの3つです。コストコでは「ル・ルスティック ラクレット 皮なしスライス」が400gで958円(税込)前後で購入でき、コスパが高いと人気です。成城石井やカルディでも輸入チーズコーナーに置かれていることが多く、手軽にアクセスできます。また、楽天市場やAmazonなどの通販でも幅広い種類が購入可能です。
一方、近くに専門店がない場合や試し買いしたい場合は「代用チーズ」という選択肢があります。
ラクレットチーズの代用として使いやすい種類を整理しました。
なお、プロセスチーズは溶け方が異なるため代用には向きません。液状に溶ける前に表面が固まってしまい、ラクレット特有のとろとろ感が出にくいです。これだけは例外です。
ラクレットグリルについては、卓上タイプがAmazonや楽天で3,000〜1万円程度の価格帯で販売されています。家族でのパーティーや特別な日のディナーに一台あると、食卓が一気に華やかになります。まずはスライスチーズとホットプレートで試してみるのが、費用を抑えるためのファーストステップとしておすすめです。
ラクレットチーズのおすすめ商品比較については、以下のランキング記事も参考になります(2026年3月更新)。
my best「ラクレットチーズのおすすめ人気ランキング【2026年3月】」