エビの殻を剥いてから煮ると、スープの旨味が7割落ちます。
トムヤムクンは、タイ語で「トム=煮る」「ヤム=混ぜる」「クン=エビ」を意味します。つまり文字どおり「エビを煮て混ぜたスープ」のことで、フランスのブイヤベース、中国のフカヒレスープと並ぶ世界三大スープのひとつとして知られています。
材料をそろえるのが難しそうに見えますが、実は基本的な作り方は非常にシンプルです。市販のトムヤムペーストを使えば、下記の材料で2人分が10〜15分で完成します。
| 材料 | 分量(2人分) |
|------|--------------|
| 殻つきエビ(無頭でも可) | 6〜8尾 |
| 玉ねぎ | 1/4個 |
| マッシュルームまたはしめじ | 4〜5個 |
| ミニトマト | 4個 |
| にんにく | 1片 |
| トムヤムペースト | 大さじ1〜2 |
| ナンプラー | 大さじ1 |
| レモン果汁またはライム果汁 | 大さじ1〜2 |
| 水 | 400ml |
| 牛乳またはココナッツミルク | 大さじ3〜大さじ5 |
| 砂糖 | 小さじ1 |
エビは「殻つき」で使うのが正解です。殻と頭から染み出るグルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分がスープ全体に広がり、むき身だけで作るよりも明らかに奥行きのある味になります。
スーパーで売っている冷凍の殻つきエビで十分です。
解凍後は竹串を背中に沿って差し込み、背わたを引き抜くだけで下処理は完了します。難しい工程はありません。
市販のトムヤムペーストを使った基本の作り方を順を追って説明します。ここでは業務スーパーやカルディで買えるペーストを使った最もシンプルな手順です。
① エビの下処理をする(所要時間:約3分)
殻つきエビの背中に竹串を刺し、背わたを取り除きます。このとき殻は絶対に剥かないでください。殻をつけたまま調理することで、スープにエビのコクが溶け込みます。エビ全体に片栗粉と塩ひとつまみをまぶして軽くもみ込んだ後、水で洗い流すと臭みが軽減されます。
これが基本です。
② 野菜を炒める(所要時間:約3分)
鍋にサラダ油大さじ1を入れ、つぶしたにんにくと薄切り玉ねぎを中火で炒めます。玉ねぎが少し透き通ってきたら、スライスしたマッシュルームと半分に切ったミニトマトを加えてさらに1〜2分炒めてください。
③ 煮込む(所要時間:約5〜7分)
水400mlと下処理済みのエビを加えて沸騰させます。沸騰したらアクをすくい取り、トムヤムペーストを小さなボウルに出してスープを少し加えながら溶かして鍋に投入します。ペーストを直接鍋に入れるよりも均一に溶けて風味が安定します。
砂糖・ナンプラーを加えて中弱火で5分ほど煮たら、最後にレモン果汁(またはライム果汁)と牛乳もしくはココナッツミルクを加えてひと煮立ちさせたら完成です。
牛乳で代用しても風味がマイルドになって食べやすくなります。
お好みでパクチーをのせて完成です。業務スーパーのトムヤムペースト(230g・375円前後)なら大さじ1〜2で2人分のスープが完成し、コストパフォーマンスも非常に優れています。
業務スーパーのトムヤムペーストを使ったレシピ詳細(kufura)
「トムヤムペーストが手元にない」「わざわざ買いに行けない」という場面でも、自宅にある調味料でトムヤムクンは作れます。ペーストなしでも驚くほど本格的な味に仕上がるので、ぜひ覚えておいて損はありません。
ペーストなしで作る場合の代替調味料の組み合わせは以下のとおりです。
| ペーストの役割 | 代用できる食材 |
|--------------|--------------|
| 酸味 | レモン汁・ライム汁(大さじ2) |
| 辛味 | 赤唐辛子1〜2本、または豆板醤小さじ1 |
| 旨味・塩味 | ナンプラー大さじ1.5 |
| 香り | しょうが薄切り3〜4枚・セロリ少量 |
| まろやかさ | 牛乳またはコンデンスミルク大さじ2〜3 |
これらを水400mlと一緒に煮込むだけです。
レモングラスがあれば香りがより本格的になりますが、なければしょうがで代用して問題ありません。セロリの茎を1本加えると、レモングラスに近いさわやかな風味が加わり、一気に「タイ料理らしさ」が出ます。これは意外と知られていないコツです。
ナンプラーを持っていない場合は、薄口しょうゆ大さじ1+鶏ガラスープの素小さじ1/2+レモン汁少々で代用できます。これなら問題ありません。
ペーストなしでもできる、という知識があるだけで料理の幅が広がります。
料理研究家・荻野恭子さんによるペーストなしのトムヤムクンレシピ(レタスクラブ)
トムヤムクンをせっかく作ったのに「なんとなく臭みが気になる」「スープが薄い」という失敗は、ほとんどがエビの扱い方に原因があります。ここでは主婦が実際につまずきやすいポイントを具体的に解説します。
エビは必ず殻つきのまま煮ること
エビの殻と頭の部分には、グルタミン酸・タウリン・アスタキサンチンなどの旨味成分が豊富に含まれています。ぐなみ食材専門店やプロ料理家が口をそろえて「殻つきで煮る」と言うのはこのためです。むき身エビでは得られないコクが、殻から溶け出します。
背わたは必ず取り除くこと
背わたはエビの消化管の部分で、苦みや臭みの原因になります。竹串を第2〜3節目あたりの背中に差し込み、ゆっくり引き出せば簡単に取れます。殻を剥かなくても背わただけは取れるので、殻はつけたまま処理しましょう。
塩+片栗粉で臭みをしっかり取ること
むき身エビでも冷凍エビでも、塩少量と片栗粉をまぶしてもみ込み、水洗いするだけで臭みが大幅に改善されます。片栗粉がエビ表面のぬめりや汚れを吸着してくれるためです。これは使えそうです。
火を入れすぎないこと
エビは加熱時間が長いほど身が縮んで硬くなります。エビを鍋に入れたら中火でせいぜい3〜5分が目安で、エビ全体がピンク色に変わったらすぐに火を止めるか弱火にしてください。プリプリ食感のためには「短時間加熱」が条件です。
これだけ覚えておけばOKです。
トムヤムクンは「疲労回復スープ」とも呼ばれ、タイでは体調を崩したときに食べる定番料理のひとつです。単においしいだけでなく、使われているスパイスやハーブに健康的なメリットが多く含まれています。主婦が積極的に取り入れたい理由が、実は複数あります。
低カロリーで栄養が凝縮されている
トムヤムクン1人前のカロリーは約100kcal前後と非常に低く、ダイエット中でも罪悪感なく食べられます。これはいいことですね。アスパラガスやブロッコリーが100g=30kcal前後であることと比べると、主役のエビ・野菜・スープ全体でこの数値はかなり優秀です。
レモングラスの脂肪燃焼効果
レモングラスに含まれるシトラールという成分は、胃の働きを助けて脂肪の分解を促す作用があるとされています。唐辛子のカプサイシンも代謝をアップして脂肪燃焼をサポートします。食後に代謝が上がりやすい状態になるため、ダイエット中の夕食としても向いています。
タイショウガ(カー/ガランガル)の抗酸化作用
トムヤムクンに使われるタイショウガ(ガランガル)、コブミカンの葉(カフィアライムリーフ)、レモングラスには高い抗酸化作用があり、アンチエイジングや免疫力アップへの効果が研究されています。日本では2016年の産経新聞系メディアが消化器系がんの予防効果についても報告しており、健康への関心が高い主婦にとって注目すべき情報です。
エビのたんぱく質と低脂質
エビはたんぱく質が豊富で、100gあたりのたんぱく質は約20gとかなり高い水準です。これは同重量の豚バラ肉(たんぱく質約15g・脂質約35g)と比べて、脂質をほとんど摂らずに良質なたんぱく質が取れるということです。筋肉の維持・代謝アップを意識している方にも適しています。
つまり、トムヤムクンは「おいしい・簡単・ヘルシー」の三拍子が揃った主婦向けの最強スープです。
トムヤムクンのスープは作り置きや残り活用もしやすく、一度スープを多めに作っておくと翌日の食事にも展開できます。主婦にとって「1度の調理で2度おいしい」使い方ができるのも、このスープの隠れた魅力です。
🍜 トムヤムクン麺(ライスヌードル/そうめん)
作ったトムヤムスープにライスヌードル(フォー)やそうめんを加えるだけで、タイ屋台風の麺料理に変わります。ライスヌードルは水に浸して戻してから熱湯にくぐらせるだけで食べられる食材で、スーパーや業務スーパーで100〜200円程度で購入可能です。そうめんを使えば常備食材だけで作れます。
🍚 トムヤムクン風雑炊
スープが残ったら、ご飯と卵を加えてひと煮立ちさせるだけでアジアン雑炊が完成します。酸っぱ辛い出汁がご飯に染み込んで、風邪気味の日や食欲がない日にもぱっと食べられる一品です。
🫕 鍋のベーススープとして使う
トムヤムペーストを鍋のだし代わりに使うと、冬の鍋メニューに変化が出ます。豆腐・白菜・えのきなど和の食材とも相性がよく、「トムヤムクン鍋」としてそのまま食卓に出せます。無印良品から「トムヤムクン鍋の素」も販売されており、ルーとして使う感覚で手軽に試せます。
🌽 アレンジ具材のすすめ
通常のエビ以外にも、以下の具材がトムヤムクンに合います。
- 🐔 鶏むね肉・鶏もも肉:低脂質でボリュームが出る。エビなしで使う場合は「トムヤムガイ」と呼ばれる別名の料理になります
- 🦑 イカ・ホタテ:魚介の旨味が増えてさらにコクが出る
- 🍄 しめじ・エリンギ:マッシュルームがなくてもOK。食物繊維もたっぷり
- 🧀 チーズトッピング:スープの辛味をまろやかに中和したいときに少量のクリームチーズをプラスすると食べやすくなります
アレンジは自由です。
基本のレシピを1回マスターしてしまえば、具材を変えるだけで無限にバリエーションが広がります。一度作ってみると、その再現性の高さと手軽さに「もっと早く作ればよかった」と感じる人が多いです。