毎日「無添加」と書いてあるものを選んでいても、ADIの範囲内なら添加物入りの食品の方が安全なことがあります。
「食品添加物」という言葉を聞くと、なんとなく避けたくなる気持ちになる方も多いのではないでしょうか。しかし、食品添加物には国際的・国内的に厳格な安全基準が設けられており、その中心にあるのが「ADI(エーディーアイ)」という指標です。
ADIとは「Acceptable Daily Intake(アクセプタブル・デイリー・インテイク)」の日本語訳で、「一日摂取許容量」と呼ばれます。つまり、ある物質を毎日一生涯にわたって摂り続けたとしても、健康に悪影響を及ぼさないと科学的に判断された1日あたりの摂取量の上限です。単位は体重1kgあたりのmg(ミリグラム)で表されます。
たとえば「ADIが0~5 mg/kg体重/日」と設定されている場合、体重50kgの人なら1日最大250mgまで摂取しても安全とされています。この数字は「絶対にこれ以上食べてはいけない」という危険ラインではなく、「毎日一生食べ続けても問題ない上限」です。つまり安全です。
ADIの概念はWHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)が合同で設置する「JECFA(食品添加物専門家委員会)」によって国際的に策定されており、日本では内閣府の食品安全委員会がこれをもとに評価を行い、厚生労働省が使用基準を決定します。これが原則です。
日常の買い物でよく目にする「保存料」「甘味料」「着色料」なども、すべてADIに基づいた使用量規制のもとで使われています。これは知っておくと安心ですね。
ADIがどのように決まるのかを知ると、その数字の信頼性がぐっと高まります。まずラットやマウスなどの動物を使った毒性試験が行われます。これが出発点です。
試験では複数の投与量グループを設けて長期間観察し、「どの量から健康への影響が現れるか」を詳細に調べます。その結果から、健康影響がまったく観察されなかった最大量を「NOAEL(無毒性量:No Observed Adverse Effect Level)」と呼びます。一般的なガイドラインでは、このNOAELが数十mg/kg体重/日から数千mg/kg体重/日の範囲で得られることが多いです。
ここで重要なのが「安全係数(不確実係数)」です。動物で安全が確認された量をそのまま人間に適用するのではなく、「種差(動物と人間の違い)」に10倍、「個人差(子ども・高齢者・妊婦など)」にさらに10倍をかけて、合計100分の1にした値がADIとして設定されます。
わかりやすく例えると、動物実験で「体重1kgあたり500mgまで安全」という結果が出た場合、100で割った「1kgあたり5mg」がADIになるイメージです。これは使えそうです。
この100分の1という安全マージンがあるため、仮に食品からの摂取量がADIをわずかに超えたとしても、すぐに健康被害が出るわけではありません。だからといって意図的に超えていい理由にはなりませんが、必要以上に恐れなくていい根拠でもあります。
厚生労働省「食品添加物について」(使用基準・安全評価の解説)
また、JECFAやEFSA(欧州食品安全機関)など国際機関が定期的にデータを再評価するため、ADIは一度決まったら永久に固定されるものではありません。新しい科学的知見が蓄積されれば見直しが行われます。これが条件です。
「添加物を毎日食べているけど大丈夫なの?」という不安に対しては、実際のデータが最も頼りになります。厚生労働省は「マーケットバスケット調査」と呼ばれる大規模な実態調査を定期的に実施しています。
この調査では、スーパーなどで実際に販売されている食品を購入し、1週間分の食生活をシミュレーションして、食品添加物の摂取量を測定します。結果として、調査されたほぼすべての食品添加物について、日本人の1日平均摂取量はADIの数パーセント以下にとどまっています。意外ですね。
たとえば、ソルビン酸(保存料)のADIは体重1kgあたり25mgですが、日本人の平均摂取量はADIの1~2%程度に過ぎないというデータが得られています。体重50kgの人なら1日1,250mgまで許容されているところを、実際には数十mg程度しか摂取していない計算です。
これは安心ですね。ただし「平均値が低い」というデータは、加工食品を多く食べる一部の人や、お菓子・ジュースを大量に消費する子どもたちのケースを必ずしも代表していない点に注意が必要です。平均が低くても偏った食生活は別の話です。
食品添加物への漠然とした不安を解消したい場合、厚生労働省や食品安全委員会の公式サイトにある調査結果のpdfを直接確認することが一番の近道です。数字を確認するだけで気持ちがかなり楽になります。
厚生労働省「マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量調査」
ADIには実は「設定されていない」ケースが存在します。これは危険だから設定できないのではなく、逆に安全性が非常に高いために設定不要と判断されたケースです。これは覚えておけばOKです。
JECFAやEFSAでは、毒性がきわめて低く、食品から実際に摂取される量が安全上の懸念を生じさせないと評価された物質に対して「ADI:not specified(ADI規定不要)」という評価を与えることがあります。日本語ではしばしば「ADI設定なし」とも表記されます。
代表的な例としては「ペクチン」(果物由来の増粘剤)、「グリセリン」(保湿・乳化剤)、「寒天」(増粘剤)などがあります。これらは高い安全性が評価されているため、1日の摂取上限を数値で定める必要がないとされています。
一方で、「まだ試験データが不十分でADIが算出できていない物質」も存在します。この場合は「暫定ADI」が設定されることもあり、データが揃い次第見直しが行われます。ADIなしと暫定ADIは全く異なる意味を持ちます。この区別が大切です。
また「不検出」と書かれた物質は、微量でも毒性が強い(主に発がん性物質)場合に「検出されてはならない」という基準が適用されているものです。ADI不要とは根本的に意味が違いますので、食品ラベルや説明書きを読む際は混同しないよう注意しましょう。
ADIの知識は専門家だけのものではありません。日々の食品選びに実際に役立てることができます。これは使えそうです。
まず大前提として、食品の成分表示欄に記載されている添加物は、法律に基づいて使用量が管理されており、一般的な食生活を送る限りADIを超えて摂取することはほぼありません。したがって、食品表示を見て添加物の名前があるだけで拒否反応を示すのは、少し過剰反応と言えるかもしれません。
ただし、一つ意識してほしいのが「同じ添加物を複数の食品から同時に摂るケース(複合摂取)」です。たとえば「ソルビン酸カリウム」は明太子・チーズ・ハム・漬物など多くの食品に使われています。1食あたりの量はごく微量でも、朝・昼・夜とすべての食事でこれらを組み合わせると、摂取量が積み上がります。
一般的にその合算でもADIに達することはほぼないとされていますが、子どもは体重が軽い分だけ体重1kgあたりの摂取量が相対的に増えます。子どもの弁当や間食には少し気を配るのが賢明です。これが注意すべき点です。
食品の安全性について不安を感じたときは「食品安全委員会」のホームページにある「食品安全総合情報システム(FSIS)」が役立ちます。特定の添加物名で検索すると評価書が確認でき、ADIの値や根拠となった試験データも参照できます。一度確認しておくとかなり安心できます。
食品安全委員会「食品安全総合情報システム(FSIS)」で添加物のADIを調べる
また「無添加」「不使用」という表示に惑わされないことも大切です。食品表示基準の2023年改訂により、根拠が曖昧な「無添加」表示には規制が強化されています。「添加物ゼロ=安全」ではなく、「ADIの範囲内で管理されているか」という視点で食品を見る習慣が、長期的に見てより科学的で安心できる食品選びにつながります。
食品への安全意識は大切です。ただしその意識が必要以上の制限や不安につながらないよう、正しい知識を持つことが最大の防衛策と言えるでしょう。ADIという基準を理解することは、毎日の食卓を守るための一番シンプルで確実な第一歩です。
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