実は、日本のクラムチャウダーに入っているアサリは本場では使われていません。
チャウダーとは、魚介類や野菜、ベーコンなどを小さめに切って煮込んだ、具だくさんのスープ料理のことです。アメリカ発祥の料理で、英語では「chowder(チャウダー)」と書きます。
その語源には、大きく分けて2つの説があります。一つは、フランス語で「大鍋・煮込み」を意味する「chaudière(ショーディエール)」から来たとする説です。もう一つは、米語で「食事」を意味する俗語「chow(チャウ)」が元になったとする説で、どちらの説にも一定の根拠があります。現在では、フランス語に由来するという説のほうが広く知られており、ハウス食品などの食品メーカーも公式にこの語源を紹介しています。
つまり、チャウダーは「大鍋でじっくり煮込んだ料理」という概念から生まれた言葉です。
日本で最もなじみ深いのは「クラムチャウダー」ですが、「チャウダー」はクラムチャウダー専用の名前ではありません。使う主材料によってさまざまな種類があり、コーンを入れれば「コーンチャウダー」、白身魚を入れれば「フィッシュチャウダー」、スイートコーンを入れれば「コーンチャウダー」と呼び方が変わります。これが基本です。
チャウダーはアメリカ東海岸のニューイングランド地方が発祥とされており、歴史は約400年前にまで遡ります。17世紀にヨーロッパから渡ってきた移民たちが、現地で豊富に採れる貝や魚介類を大鍋で煮込んだことが起源とされています。開拓時代の「食材を無駄なく使う知恵」が詰まった料理なのです。
参考:チャウダーの語源・定義についてハウス食品が解説しています。
ハウス食品 よくあるご質問「チャウダーとは何ですか。シチューやスープとの違いは何ですか。」
チャウダーとスープ、そしてシチューはどう違うのでしょうか?これは多くの人がぼんやりとしか理解していない部分です。
まず「スープ」は、具材が少なめでさらりとした液体の料理全般を指す広い言葉です。コンソメスープや味噌汁のようなさらっとしたものから、少し濃度があるものまで含みます。一方「シチュー」は、具材をひと口大(3〜4cm角ほど)に大きくカットし、とろみのあるソースでじっくり煮込んだ料理です。食卓でよく見るクリームシチューでは、じゃがいもや鶏肉がごろっと入っているのが特徴ですね。
チャウダーはその中間に位置します。具材はシチューよりも小さく(1cm角が目安)、とろみはスープよりはあるがシチューほど濃くない、という独特のポジションです。ハウス食品では「スープとシチューの中間ぐらいに位置する煮込み料理」と表現しています。
| 種類 | 具材の大きさ | とろみ | 代表例 |
|---|---|---|---|
| スープ | 少なめ〜小さめ | 少ない | コンソメスープ、ミネストローネ |
| チャウダー | 1cm角ほど(小さめ) | 中程度 | クラムチャウダー、コーンチャウダー |
| シチュー | 大きめ(ひと口大) | 多い・濃厚 | クリームシチュー、ビーフシチュー |
チャウダーはシチューよりも煮込み時間が短く、具が小さいぶん火の通りが早いのも特徴です。これが家庭での調理のしやすさにつながっています。これは使えそうです。
また、ポタージュはフランス語で「ブイヨンをベースにしたスープ全般」を指す言葉で、日本では「具をなめらかにすりつぶしたクリームスープ」として知られています。チャウダーとポタージュの最も大きな違いは「具材が残っているかどうか」。チャウダーは具がしっかり残った状態で食べる料理です。具があるかどうかが条件です。
チャウダーには複数の種類があり、代表的なものだけでも覚えておくと料理の幅が広がります。
まず、最も有名な「クラムチャウダー」から見ていきましょう。「クラム(Clam)」は英語で「二枚貝」を意味します。クラムチャウダーとは「二枚貝を使った具だくさんスープ」という意味になります。
クラムチャウダーにはさらに地域ごとのスタイルの違いがあり、大きく2つが有名です。
- ニューイングランド風(白):牛乳や生クリームをベースにした、白くてまろやかなクリームスープ。日本でイメージされる「クラムチャウダー」はほぼこれです。ボストンを中心にアメリカ東海岸で愛されています。
- マンハッタン風(赤):牛乳を使わず、トマトをベースにした赤いスープ。イタリア移民が多いニューヨーク・マンハッタンで発展したスタイルです。ミネストローネに近い爽やかな酸味が特徴です。
この2スタイルを巡っては、かつてボストンとニューヨークの間で激しい論争があったほどです。1939年にはメイン州で「チャウダーにトマトを入れることを違法にする」法案が実際に提出されたという記録が残っています。この論争は「チャウダー戦争」とも呼ばれています。意外ですね。
他にも「ロードアイランド風」と呼ばれる透明なスープベースのものや、サンフランシスコ名物のサワードウパンをくり抜いて器にした「チャウダー・イン・ア・サワードウ」なども存在します。
チャウダーの種類を知っておくと、レストランや缶詰を選ぶときにも役立ちます。
| 種類 | 主な具材 | ベース |
|---|---|---|
| クラムチャウダー | 二枚貝・じゃがいも・ベーコン | クリームまたはトマト |
| コーンチャウダー | スイートコーン・じゃがいも・ベーコン | クリーム・ミルク |
| フィッシュチャウダー | 白身魚・じゃがいも・玉ねぎ | クリーム・ミルク |
| ビーンズチャウダー | 白インゲン豆・ベーコン・野菜 | クリームまたはブロス |
参考:クラムチャウダーの歴史・スタイルの違いをわかりやすく解説しています。
chefrepi「クラムチャウダーとは?アメリカ東海岸が育んだ貝の旨みたっぷりスープ」
「クラムチャウダーはアサリで作るもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。実はこれ、正確には日本独自のアレンジです。
本場アメリカのクラムチャウダーには「ホンビノス貝」という二枚貝が使われるのが伝統的です。ホンビノス貝はハマグリよりもさらに大きく、強めの歯ごたえと濃い旨みが特徴で、アメリカ東海岸に豊富に生息しています。日本では1990年代後半以降に東京湾や千葉県の沿岸に外来種として定着し、近年ではスーパーでも見かけることが増えてきました。
日本でアサリが主流になった理由は、入手しやすく価格が手ごろだからです。アサリは出汁が出やすく、クラムチャウダーに使っても十分おいしく仕上がります。ただ、ホンビノス貝で作ると旨みが段違いに濃くなると評判なので、見つけたときはぜひ試してみる価値があります。
また、「クラム=アサリ」と思いがちですが、英語の「clam」は「二枚貝全般」を指す言葉です。サザエやアワビなどの「巻貝」で作った場合はクラムチャウダーとは呼べません。二枚貝であることが条件です。
貝を選ぶときの参考として。
- 🐚 アサリ:出汁が出やすく、価格手ごろ。家庭料理では最も使いやすい。
- 🐚 ハマグリ:肉厚でふっくら。旨みが強く、ごちそう感が増す。
- 🐚 ホンビノス貝:本場の味に最も近い。身が大きく食べごたえあり。3〜4月が旬。
缶詰のあさりを使う場合も、汁ごと加えることで旨みが格段にアップします。捨てずに使うのが基本です。
参考:本場のクラムチャウダーに使う貝の種類と、ホンビノス貝を使ったレシピを紹介しています。
チャウダーは見た目以上に栄養バランスに優れた料理です。具だくさんという特性が、栄養面でもそのままメリットになっています。
クラムチャウダーを例に挙げると、主役のあさりや貝類には以下の栄養素が豊富に含まれています。
- 🌿 ビタミンB12:神経や血液の健康を守る。貧血予防に有効。
- 🌿 鉄分:貧血予防に役立ち、エネルギー代謝をサポート。クラムチャウダー1杯で鉄分約11mgを摂取できるという報告もあります。
- 🌿 亜鉛:免疫力アップ、味覚の維持、肌や髪の健康に関係する。
- 🌿 タウリン:疲労回復や肝臓の働きをサポートする。
これらは女性が不足しがちな栄養素ばかりです。特に育児や家事で忙しい主婦の方には、一皿でたんぱく質・ミネラル・野菜を同時に補えるチャウダーは理にかなった選択と言えます。
また、コーンチャウダーにすればとうもろこしの食物繊維がプラスされ、フィッシュチャウダーにすれば白身魚の低脂肪・高たんぱくが加わります。アレンジ次第でさらに栄養バランスを高められるのです。
カロリー面では、クラムチャウダー1人分(約348g)でおよそ327kcalとされています(カロリーSlism調べ)。ご飯1杯(150g)が約252kcalであることを考えると、具だくさんのわりに比較的おさえられた数値です。牛乳や生クリームを豆乳に変えることでさらにカロリーダウンが可能で、ダイエット中にも取り入れやすい工夫ができます。
栄養補給の観点から見れば、チャウダーは「汁もの」という枠を超えた準主食的な一品です。忙しい朝やランチにもう一品欲しいとき、チャウダーは一択と言っても大げさではありません。
スープジャー(フードジャー)に入れて持ち歩けば、職場やお子さんのお弁当としても活躍します。朝に作って保温しておけばランチまで温かい状態を保てるため、食べる場面を選ばないのも魅力のひとつです。