じゃがいもをオーブンで焼かないと、グラタンはおいしくならないと思っていませんか?
グラタンといえばオーブンで焼くイメージが強いですが、じゃがいもを使う場合はフライパンのほうが実は理にかなっています。じゃがいもは中までしっかり火を通すのに時間がかかる食材で、オーブンでは表面が焦げる前に中が生になりやすいという欠点があります。フライパンなら蓋をして蒸し焼きにすることで、中まで均一に火を通しながら表面にも香ばしさを出せます。
時短になります。
オーブンの予熱時間(一般的に10〜15分)が不要なので、調理開始から完成まで約20〜25分で仕上がるのも大きなメリットです。平日の夕食準備にもじゅうぶん対応できる時間帯です。
また、じゃがいもにはビタミンCが豊富で、加熱しても壊れにくいという特徴があります。文部科学省の食品成分データベースによると、じゃがいも100gあたりのビタミンC含有量は約35mgで、同量のりんごの約7倍です。フライパンで短時間調理することで、栄養素の損失も最小限に抑えられます。これは使えそうです。
フライパンは底が平らで熱が均等に広がりやすいため、チーズを溶かして焼き色をつける工程にも向いています。特にテフロン加工のフライパンは焦げ付きにくく、後片付けが楽なのも主婦にとってはうれしい点です。
文部科学省 食品成分データベース(じゃがいもの栄養素を確認できます)
基本材料は4人分で、じゃがいも3〜4個(中サイズ・約400g)、玉ねぎ1/2個、ベーコン60g、バター10g、薄力粉大さじ2、牛乳300ml、塩・こしょう少々、ピザ用チーズ80〜100gです。じゃがいもはメークインよりも男爵いもが向いています。男爵いもはでんぷん質が高く、加熱するとホクホクした食感になり、ソースとのなじみもよいからです。
つまり男爵いもが正解です。
手順はシンプルで、次の流れで進めます。
ポイントはじゃがいもを5mm以下に薄く切ることです。厚さ1cm以上にすると中まで火が通らず、生っぽい食感になります。はがきの厚みの約3〜5倍を目安にした薄さが理想です。牛乳は一度に加えるとダマになりやすいため、3回に分けて加えながらその都度混ぜることが失敗しないコツです。
フライパングラタンで最も多い失敗は「じゃがいもに火が通らない」か「ソースが焦げる」かのどちらかです。この2つを同時に防ぐには、火加減と蓋の管理が全てといっても過言ではありません。
火加減が命です。
じゃがいもを加えたあとは、必ず中火から弱火の間(IHなら4〜5段階中の3)に落としてください。強火のまま加熱すると底のソースだけが焦げてしまい、肝心のじゃがいもの中は生のままという状態になります。蓋をして蒸し焼きにすることで、フライパン内の温度を均一に保ちながら、じゃがいも全体にゆっくりと熱を伝えられます。
蓋はガラス製がおすすめです。中の様子が見えるため、焦げの確認や蒸気の状態をチェックしやすく、頻繁に開け閉めせずに済みます。蓋を開けるたびに蒸気が逃げて温度が下がるため、確認は最小限にとどめることが均一な仕上がりにつながります。
チーズを乗せる工程では、弱火に落として蓋をし、2〜3分待つだけです。バーナーやトースターがなくても十分とろけます。これだけ覚えておけばOKです。もしチーズの焦げ目をしっかりつけたい場合は、最後の1〜2分だけ蓋を外して中火に上げると、表面がカリッとした仕上がりになります。
基本レシピをマスターしたら、具材のアレンジで飽きずに楽しめます。じゃがいもグラタンは具材の組み合わせ次第で味わいが大きく変わる料理です。意外ですね。
人気のアレンジをまとめると、次のような組み合わせが特に好評です。
チーズは「ピザ用チーズ」以外に、カマンベールチーズを一口大にちぎって乗せるとまろやかでリッチな風味になります。カマンベール1個(約100g)をじゃがいも4個分のグラタンに使うのが目安です。いつもとひと味違う仕上がりになります。
スパイスも活用できます。仕上げにナツメグをひとふりするだけで、市販のグラタンに近い「本格感」が出ます。ナツメグはホワイトソースを作る段階でほんのひとつまみ加えるのがコツで、加えすぎると苦みが出るため注意が必要です。
グラタンは作り置きに向いていない料理と思われがちですが、正しく保存すれば翌日以降もおいしく食べられます。ここが多くの人が見落としているポイントです。
保存が基本です。
冷蔵保存の場合は、粗熱を取ってからラップをして冷蔵庫へ入れます。保存期間は2〜3日が目安で、それ以上はじゃがいもの食感が水っぽくなりやすいため推奨しません。再加熱はフライパンに少量の水(大さじ1程度)を加えて蓋をし、弱火で5〜7分蒸し焼きにする方法が最も食感を損ないません。電子レンジの場合は600Wで2〜3分を目安にしますが、チーズが硬くなりやすいため、蓋をするかラップをして加熱することを推奨します。
冷凍保存は、じゃがいもを含むグラタンの場合は要注意です。じゃがいものでんぷん質は冷凍・解凍を繰り返すと組織が壊れ、スカスカのボソボソした食感になります。農林水産省の食品保存に関するガイドラインでも、いも類は基本的に冷凍に向かない食材として挙げられています。冷凍したい場合は、じゃがいもをマッシュポテト状に潰してから冷凍するか、じゃがいもの量を通常の半量以下に減らしてソースを多めにするとよいでしょう。
農林水産省 食品保存の基礎知識(食材別の保存方法を確認できます)
作り置きとして活用するなら、ソースとじゃがいもを別々に保存しておき、食べる直前にフライパンで合わせてチーズを乗せる「分離保存」の方法がおすすめです。この方法なら最大4日間、食感を損なわずに楽しめます。
フライパングラタンは食費節約にも直結します。この視点から考えると、食材の使い方と調理の工夫次第でひとり当たりのコストを大幅に下げられます。
コストを計算してみます。
基本レシピ(4人分)の材料費を概算すると、じゃがいも(約60円)・玉ねぎ(約20円)・ベーコン(約80円)・牛乳300ml(約50円)・チーズ(約120円)・その他(バター・小麦粉)で合計約330〜350円になります。1人あたり約85〜90円という計算です。外食のグラタン1皿が平均700〜1,000円であることを考えると、家庭で作ることで1食あたり約600〜900円の節約になります。月に4回作るだけで2,400〜3,600円のコスト削減につながります。
じゃがいもは特売日にまとめ買いすると割安です。スーパーでの特売価格は1kg当たり100〜150円程度になることも多く、通常価格(200〜250円/kg)と比べて最大40%オフになります。まとめ買い後は新聞紙に包んで冷暗所で保存すると、2〜3週間は品質を維持できます。
さらに節約するには、ベーコンの代わりに「切り落としハム」や「ソーセージ」を使う方法もあります。切り落としハムはスーパーで100g当たり70〜90円程度と、スライスベーコン(100g当たり約150〜200円)の半額以下で購入できます。味のベースはホワイトソースなので、肉類の種類が変わっても風味の大きな差は出ません。つまりコスト次第で具材を替えて問題ありません。
チーズはコスパの観点からは「業務スーパー」や「コストコ」で大容量タイプを購入するのが賢明です。業務スーパーのピザ用チーズ(500g入り・約400円前後)は、一般スーパーの同量と比べて約30〜40%安く、1回の使用量(80g)換算で約64円になります。毎週グラタンを作る家庭なら年間で約3,000〜4,000円の節約になる計算です。
| 具材の種類 | 1人分コスト目安 | メリット |
|---|---|---|
| ベーコン | 約90円 | 風味が強くコクが出る |
| 切り落としハム | 約50円 | コスパ最高・さっぱり仕上がり |
| 鶏もも肉 | 約70円 | たんぱく質が豊富・食べ応えあり |
| ツナ缶 | 約45円 | 下処理不要・時短になる |
ホワイトソースを市販のルーやレトルトで代用する方法もあります。「クノールのカップスープ・コーンクリーム」を湯で溶いてソースとして使う裏技は、調理時間をさらに5〜10分短縮できます。ただし塩分量が多いため、ベーコンなどの塩気がある具材と合わせる場合は量を調整してください。
フライパングラタンは、じゃがいもという家計に優しい食材を主役にしながら、オーブンなしで本格的な味わいが楽しめる万能レシピです。火加減と蓋の使い方さえ押さえれば失敗はほぼありません。アレンジの幅も広いため、家族の好みに合わせて毎回変化をつけながら、食費の節約にも役立てていただけます。