食品に発色剤を使用する最大のメリットは、「見た目」と「安全性」の両立です。発色剤として認可されているのは亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムの3種類。これらは食肉製品に含まれるタンパク質と結合し、ミオグロビンやヘモグロビンといった色素を固定化させます。
加熱調理によって食肉は本来、褐色に変わってしまいます。しかし発色剤が作用することで、その褐色化を防ぎ、ハムやソーセージは鮮やかなピンク色を保つことができるのです。この「色」は消費者の購買判断に大きく影響し、おいしそうに見える商品は実際に購入されやすくなります。
メリットの二つ目は「防腐効果」です。亜硝酸ナトリウムが微生物の増殖、特にボツリヌス菌の増殖を抑制することで、食中毒のリスクを大幅に低減します。ボツリヌス毒素は神経毒性が強く、最悪の場合死に至る危険性があります。この菌の増殖を防ぎ、食肉製品の安全性を確保することは、食卓を守る上で不可欠な役割となっています。
三つ目のメリットは、肉特有の臭みを抑え、風味を安定させることです。肉に含まれるアミノ酸の分解産物を処理することで、素材本来の臭さが減り、塩漬め特有の香ばしい風味が引き出されます。発色剤不使用の製品との食べ比べで、この違いは顕著に感じられることが多いです。
発色剤を使用する最大のデメリットは、ニトロソアミン類という発がん性物質が生成される可能性です。亜硝酸ナトリウムは、食肉に含まれる二級アミンと接触すると、体内でニトロソアミン(特にN-ニトロソジメチルアミン=NDMA)に変化する可能性があります。
ニトロソアミン類は遺伝毒性と発がん性を有することが知られており、国際がん研究機関(IARC)はNDMAとNDEAを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類しています。2015年にはIARCが加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」と判定し、特に大腸がんのリスク増加との関連が指摘されました。
しかし一方で、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の1995年と2002年の評価では、「亜硝酸ナトリウムの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はない」と結論づけられています。この矛盾する見方が、消費者の不安と混乱を招いている状況です。
さらに重要な点として、野菜に含まれる硝酸塩も体内で亜硝酸に還元され、ニトロソアミンを生成する可能性があります。つまり、発色剤からの摂取だけではなく、野菜からの自然な摂取源も存在することを理解する必要があります。
日本で認可されている発色剤は、大きく分けて3種類です。最も一般的なのが亜硝酸ナトリウムで、ハム、ソーセージ、ベーコン、いくら、たらこなどに広く使用されています。これらは食卓に頻繁に登場する食品です。
硝酸カリウムと硝酸ナトリウムは、亜硝酸ナトリウムと併用されることが多く、亜硝酸に還元されて発色効果を発揮します。ハムやソーセージ、サラミの他、チーズの発酵調整剤として用いられることもあります。
食品衛生法では、食肉製品の成分規格として「製品1kg中に亜硝酸根0.070gを超えて含有するものであってはならない」と定められています。これは使用量ではなく、残存量での規制となっており、食肉製造過程で亜硝酸は消費されて減少していくため、厳密に管理されています。
興味深いことに、「発色剤不使用」と表示されているハムやソーセージの多くは、実は岩塩を使用しているケースがあります。天然の岩塩に含まれる硝酸塩が、結果として発色効果をもたらしているという事実があるのです。
食品添加物には「一日摂取許容量(ADI)」が設定されており、これは無毒性量の1/100という保守的な基準で算出されています。亜硝酸ナトリウムの場合、この許容量内での摂取であれば、科学的に安全とされています。日本の農林水産省も、現在の使用基準は適切に設定されていると見解を示しています。
しかし、欧州食品安全機関(EFSA)の2023年のリスク評価では、ニトロソアミンについて「全ての年齢層で多食者に健康上の懸念あり」と評価しました。特に懸念されるのが、高リスク層の摂取です。妊婦や乳幼児、成長期の子どもは、加工肉製品の過剰摂取を控えることが推奨されています。
添加物の安全性は「量」に大きく左右されることに注意が必要です。毎日大量のハムやソーセージを食べることと、週に数回の適切な量での食べることでは、健康リスクは大きく異なります。アルコール摂取と同様に、「用量」が「毒性」を決めるという原則が当てはまります。
「発色剤不使用」や「無塩漬け」と表示された商品が市場に増えており、主婦層の間でも認知度が高まっています。しかし、ここで注意すべき重要なポイントがあります。発色剤を使わない製品の多くは、天然由来の岩塩に含まれる硝酸塩を利用しているため、結果として同様の成分が含まれている場合があるのです。
ヨーロッパでは、発色剤を完全に排除したハムやソーセージが原因で、ボツリヌス菌による重篤な食中毒事故が発生した歴史があります。食の安全性と利便性のバランスは、単純には取ることができない複雑な問題なのです。
代替選択肢としては、ビートやニンジンなどから抽出した天然由来の着色成分を使用した製品もあります。ただし、これらの製品でも完全に食中毒リスクを排除できるわけではなく、製造工程や保存方法がより厳密に管理される必要があります。
また、加工肉類全体の摂取量を減らし、新鮮な肉や魚をバランスよく食事に取り入れることが、最も現実的で効果的なリスク低減策といえます。
主婦目線では、「完全に避ける」のではなく、「知った上で、適切に選ぶ」というスタンスが重要です。商品の原材料表示をよく確認し、子どもの食べ盛りの時期の与え方や、家族の健康状態に応じた選択を心がけることが、食卓の安心につながるのです。
参考:農林水産省ニトロソアミン類情報ページ
https://www.maff.go.jp/j/syouan/n_nas/about.html
参考:食品安全委員会 食品中の有害物質の評価
https://www.fsc.go.jp/
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