ラープはサラダなのに、もち米なしで食べると本場の食べ方から大きく外れてしまいます。
「ラープ(ลาบ)」は、タイ語で「ひき肉や魚をハーブ・唐辛子・ナンプラー・ライム・炒り米粉で和えた料理」を指します。タイ語には同じ発音の別の言葉があって、「幸運・ラッキー(ลาภ)」と全く同じ音で読みます。綴りは違うものの、「ラープを食べると幸運が訪れる」と信じられており、タイやラオスのお祝い事・ハレの日には必ずと言っていいほどテーブルに並ぶ縁起料理として親しまれています。
実はラープの起源はタイよりもラオスにあります。ラオス語の「ラープ(ລາບ)」は、仏教のパーリ語「ラーパ(ລາພະ)」に由来し、「福・幸・富・財産」という意味を持ちます。ラオスと国境を接するタイ東北部・イサーン地方に伝わり、その地域の食文化として根付いていきました。これが基本です。
2026年2月、ラオス政府はこの「ラープ」をユネスコ無形文化遺産に正式申請しました。審査は2026年末に行われる見通しで、登録が実現すれば「ガパオ」や「トムヤムクン」と並ぶ世界的な認知を得ることになります。つまり今、まさにラープは世界が注目している料理です。
JETROビジネス短信:ラオスの伝統料理「ラープ」、ユネスコ無形文化遺産登録へ向け正式申請(2026年2月)
HAPPY THAILAND:タイ料理の「ラープ/ลาบ」とは(北部・東北部の違いを含む詳細解説)
ラープには大きく2種類あります。タイ北部の「ラープ・ヌア(ลาบเหนือ)」と東北部の「ラープ・イーサン(ลาบอีสาน)」です。日本で「ラープ」として知られているのは、ほぼイーサン(東北部)スタイルです。
ラープ・イーサンの最大の特徴は「カオクア(ข้าวคั่ว)」の使用です。生のもち米をフライパンでじっくり乾煎りして黄金色になったところを粗く砕いた「炒り米粉」で、ナッツのような香ばしい風味と独特のプチプチ食感を料理に与えます。このカオクアがないと、本格的なラープとは呼べません。これが原則です。
一方、ラープ・ヌア(北部スタイル)はカオクアを使わない代わりに、「プリックラープ(พริกลาบ)」という複数のスパイスをブレンドした専用香辛料と、「マクウェン(มะแขว่น)」という山椒に似た痺れる刺激を持つスパイスを用います。また、肉をヌアよりも粘りが出るまで細かく刻む点も特徴的です。
| 項目 | ラープ・イーサン(東北部) | ラープ・ヌア(北部) |
|---|---|---|
| カオクア | 使う ✅ | 使わない ❌ |
| ライム汁 | 使う ✅ | 使わない ❌ |
| 香辛料 | 粉唐辛子 | 専用ブレンドスパイス |
| 肉の刻み方 | 細かめ | 粘りが出るまで細かく |
| 加熱方法 | 茹でてから和える | 生で和えた後に炒める |
ラープはメインに使う食材の名前をうしろに付けてメニュー名が変わります。これを知っておくだけでタイ料理店での注文がスムーズになります。これは使えそうです。
代表的な種類を以下にまとめました。
特に珍しいものとして「ラープ・カイモットデーン(ลาบไข่มดแดง)」というアカアリの卵を使ったものがあります。バンコクでは滅多に食べられない高級品で、プチッと弾けるいくらのような食感と淡いクリーミーな味わいが楽しめます。意外ですね。
「タイ料理はカロリーが高い」と思っている主婦の方も多いはずです。ところが、ラープ・ムー(豚ひき肉)は1人前およそ200〜400kcalと、タイ料理の中でもかなりの低カロリーを誇ります。パッタイの約1,050kcal、グリーンカレーの約800kcalと比べると、その差は歴然です。
ラープが低カロリーな最大の理由は、「油を使わない」点にあります。ひき肉を茹でるか少量の水で炒めて仕上げるため、余分な油脂が加わりません。また、たっぷりのフレッシュハーブ(ミント・パクチー・赤玉ねぎ)がビタミンや食物繊維を補ってくれます。高たんぱく・低脂肪が条件です。
ただし、注意点が一つあります。本場の食べ方は「カオニャオ(もち米)と一緒に」が基本です。ラープ自体のカロリーは低くても、もち米をどんどん食べてしまうと結果的にカロリーオーバーになりやすいという落とし穴があります。ダイエット目的なら、もち米の量を茶碗半分(約80g前後)に抑えることを意識するだけで、バランスが取りやすくなります。
ダイエット中におすすめ!低カロリータイ料理おすすめ5選(ラープムーのカロリー帯を含む解説)
ラープは作り方こそシンプルですが、「ナンプラーやカオクアが手に入らない」と躊躇する方も少なくありません。実は、ほとんどの材料が国内のスーパーやネット通販で揃います。これなら問題ありません。
以下に2人分の基本材料と、入手しにくい食材の代用例をまとめました。
カオクアを手作りする場合は、生のもち米大さじ2をテフロンのフライパンに入れ、中火で8〜10分ほど油なしでじっくりと乾煎りします。全体がきつね色になったらミルサーやジッパーバッグ+麺棒で粗く砕けば完成です。香ばしさが格段に違うので、ぜひ手作りを試してみてください。
作り方は至ってシンプルです。
和える工程はスピードが命です。ハーブは熱に弱いため、肉が少し冷めてから加えると香りが飛びにくくなります。また、カオニャオ(タイのもち米)の代わりに、国産のもち米を炊飯器の「おこわモード」で炊けば食感が近くなります。