里芋を茹でると、ぬめりが栄養ごと全部流れてしまいます。
里芋グラタンを作るとき、最初の壁になるのが「下処理」です。泥を洗い、皮をむき、下ゆでをして……という工程を思い浮かべるだけで、取りかかる気力が失せてしまう方も多いはずです。
実はこの工程、電子レンジを使うことで大幅に短縮できます。まず里芋をよく洗い、ラップに包んで500〜600Wで3分ほど加熱します。取り出したら天地をカットし、皮と実の間に指を入れてつるっと押し出すだけで、スムーズに皮がむけます。加熱後はかなり熱いので、必ずキッチンペーパーやふきんを使って持つようにしてください。
その後、むいた里芋をもう一度レンジで2〜3分追加加熱すれば、下ゆでと同等の火通し完了です。鍋を使わないので洗い物も減りますね。
生の里芋が手に入りにくいときは、冷凍里芋を使う方法もあります。冷凍里芋はすでに皮がむいてあるため、解凍後にレンジで2〜3分温めるだけでそのまま使えます。下処理の手間がゼロなので、平日の夕食にもすぐ対応できます。これは時短の強い味方です。
下処理のポイントをまとめると、「加熱→皮むき→追加加熱」の3ステップが基本です。
里芋の量の目安としては、2人前でだいたい300g(中サイズ4〜5個)が適切です。300gというのは、スーパーの1袋の約半分ほどのイメージです。多めに下処理しておいて冷蔵庫に保管しておくと、翌日の副菜としても活用でき、使い回しが利いて便利です。
里芋グラタンの魅力は、ホワイトソースを手作りしなくてもコクのある仕上がりになること。これが里芋グラタンの最大の強みです。
その理由は、里芋に含まれる「ガラクタン」と「グルコマンナン」という水溶性食物繊維にあります。これらが加熱によって溶け出し、ソース状のとろみを自然に作り出してくれます。小麦粉やバターで一から乳化させる手間が省けるので、失敗のリスクもほぼゼロです。
基本の作り方は次の通りです。
| 材料(2人分) | 分量 |
|---|---|
| 里芋(下処理済み) | 300g |
| ベーコンまたはウィンナー | 2〜3枚(本) |
| 玉ねぎ | 1/2個 |
| 牛乳(または豆乳) | 150〜200ml |
| コンソメ | 小さじ1 |
| 塩こしょう | 少々 |
| ピザ用チーズ | 50〜60g |
| パン粉 | 大さじ1〜2 |
作り方のポイントは、下処理した里芋を「半分潰す・半分はそのまま」に分けることです。潰した里芋がソースのとろみ役を担い、残りの里芋がほくほく食感をプラスしてくれます。フライパンにベーコンと玉ねぎを炒め、コンソメと牛乳、マッシュした里芋を加えて混ぜ合わせます。ソース状になったら残りの里芋を投入し、耐熱容器へ移してチーズとパン粉をのせます。
あとはオーブントースターで焼き色がつくまで5〜8分焼けば完成です。つまり、鍋不要でフライパン1つで仕上げられます。
仕上げにパセリや黒こしょうをふるとビジュアルも格段にアップします。おもてなし料理としても十分な見栄えになりますよ。
参考:里芋の特性を活かしたホワイトソース不要グラタンのレシピ詳細はこちら
ホワイトソースのいらない里芋グラタンのススメ|キュラピー
里芋グラタンのベースができたら、あとは具材を変えるだけでバリエーションが広がります。飽きずに毎週作れる点も、里芋グラタンが主婦に支持される理由のひとつです。
🍗 鶏もも肉×長ねぎの和風グラタン
豆乳をベースにして、だし本つゆで味を調えると和風グラタンに仕上がります。牛乳よりもさっぱりと仕上がるため、胃もたれしにくい点が特徴です。鶏肉の旨味がたっぷりのソースに里芋がよくなじみ、煮物が苦手な子どもでも食べやすい一品になります。
🐟 ツナ×コーンの子ども向けグラタン
ツナ缶(70g)とコーン缶を使った組み合わせは、子どもに大人気です。特別な具材を買い足す必要がなく、常備しているストック食材だけで作れます。里芋をほぼ全量潰してマッシュ状にすると、なめらかな食感でさらに食べやすくなります。これは使えそうです。
🍜 味噌×豆乳の和風グラタン
白みそ大さじ1〜2を豆乳に溶かしてソースを作ると、和風の深いコクが生まれます。胃腸にやさしく、発酵食品の効果も期待できます。ご飯のおかずとしても違和感なく食卓に並びます。洋食が苦手なご家族にもすんなり受け入れてもらいやすい味です。
🥬 ほうれん草×しめじのシンプルグラタン
具材をベーコン・しめじ・ほうれん草だけに絞ったシンプル版は、材料費を抑えながらも栄養バランスがとれた一品です。しめじからうまみが出るため、コンソメの量を少し減らしても十分においしく仕上がります。節約の日に活躍するレシピです。
具材の組み合わせを変えるだけで、洋風・和風・子ども向けと自在に対応できる点が里芋グラタンの強みです。
「グラタンはカロリーが高い」というイメージを持っている方も多いですが、じゃがいもの代わりに里芋を使うだけで、かなりヘルシーな一品になります。意外ですね。
まず注目したいのがカロリーです。里芋の100gあたりのカロリーは約53kcal。じゃがいもの約59kcalよりも低く、さつまいもの約127kcalと比べると半分以下です。「いも類はカロリーが高そう」と思いがちですが、里芋はいも類の中でも最もカロリーが低いグループに入ります。
次に注目すべきは食物繊維の種類です。前述のガラクタンとグルコマンナンは、どちらも水溶性食物繊維の一種で、腸内環境を整えたり、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたりする働きがあります。同じいも類のじゃがいもやさつまいもは不溶性食物繊維が中心であるのに対し、里芋はいも類の中では珍しく水溶性食物繊維を多く含んでいます。
腸内環境が気になる方や血糖値を意識している方には、里芋グラタンが理にかなった選択といえます。
さらに、里芋にはむくみや高血圧に効果があるとされる「カリウム」も豊富に含まれています。野菜やいも類の中でもカリウム含有量が多い部類に入るため、塩分が多くなりがちな食事が続いたときの調整食材としても優秀です。
参考:里芋の栄養成分とガラクタン・グルコマンナンの働きについて詳しく解説
里芋のネバネバは栄養たっぷり!知られざる栄養素と食べ方を紹介|ふるなび
ただし、カリウムは腎臓に疾患のある方は摂りすぎに注意が必要な成分でもあります。里芋を多く食べる場合は、かかりつけ医に相談するのが安心です。腎臓に問題がない方であれば、積極的に取り入れたい食材です。
里芋グラタンをより完成度高く仕上げるために、チーズの選び方と使い方にも少しこだわってみましょう。この一手間が、家族から「また作って!」と言われる料理に変わるポイントになります。
チーズの選び方には大きく2つのパターンがあります。
まず「ピザ用チーズ」は、モッツァレラをベースにした混合チーズが多く、溶けやすくて焼き色もつきやすいのが特長です。スーパーでどこでも手に入り、1袋200g前後で200〜250円程度と安定したコスパを誇ります。初めて里芋グラタンを作る場合は、まずピザ用チーズから始めるのが安心です。
次に「モッツァレラチーズ」は、加熱すると糸を引くように伸び、トロトロ感が際立ちます。ホワイトソースの代わりにもなるほどの溶け出し具合で、グラタン全体がまろやかにまとまります。市販の水入りパックのモッツァレラを水気をよく切ってから使うと、水っぽくならずにきれいに仕上がります。水気が残っていると、焼いたときに水が出てべちゃっとした仕上がりになるので注意が条件です。
チーズを乗せるタイミングは「オーブントースターで焼く直前」が原則です。フライパンで加熱している段階でチーズを入れると、焼き色がつかないまま溶けてしまい、グラタン特有の「こんがり感」がなくなります。
焼き加減の目安は、チーズに薄く焦げ色がつき始めた時点です。オーブントースターの機種によって火力が違うため、5分を目安に様子を見ながら加減してください。焦げすぎると苦みが出るので、仕上がり直前は離れないようにしておくと安心です。
パン粉をチーズの上に薄くふると、サクサクした食感が加わりグラタンのおいしさがワンランク上がります。パン粉に少量のオリーブオイルやバターをひとかけらのせてから焼くと、よりこんがりした色に仕上がります。これだけ覚えておけばOKです。
仕上がり後は粗熱をとらずにすぐテーブルに出すと、チーズのとろとろ感が最高の状態で楽しめます。時間が経つと冷めてチーズが固まってしまうため、焼き上がりのタイミングに合わせて食卓の準備を整えておくのが理想です。