生のトマトをサラダで食べても、リコピンはほとんど吸収されません。
「体が錆びる」という表現を聞いたことがあるでしょうか。これは比喩ではなく、体内で起きる「酸化」をわかりやすく言い表した言葉です。私たちが呼吸によって取り込んだ酸素の一部は、体内で「活性酸素」に変わります。
活性酸素は少量であれば細菌やウイルスを撃退する免疫の働きをします。問題なのは、それが過剰になったときです。活性酸素が増えすぎると、正常な細胞や遺伝子、血管まで酸化させてしまい、シワ・シミ・たるみ、そして動脈硬化・がん・糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因になります。
つまり老化の原因です。
活性酸素を増やす要因は実は身近にあふれています。紫外線・タバコ・アルコール・ストレス・睡眠不足・食品添加物・激しい運動などが挙げられます。特に「普通に生活しているだけで老化は進んでいる」というのが現実です。
ここで頼れる味方が「抗酸化物質」です。抗酸化物質とは、活性酸素を無害化し、体の酸化を食い止める成分のこと。そしてその抗酸化物質を豊富に含む食べ物が「抗酸化食品」です。
代表的な抗酸化成分は以下の4種類に分けられます。
| 抗酸化成分 | 主な食品 | 特徴 |
|---|---|---|
| ビタミンC | パプリカ、ブロッコリー、キウイ | 水溶性。毎日補給が必要 |
| ビタミンE | アーモンド、ひまわり油、かぼちゃ | 脂溶性。細胞膜を守る |
| カロテノイド(β-カロテン・リコピン・アスタキサンチン) | 緑黄色野菜、トマト、鮭 | 色鮮やかな食材に多い |
| ポリフェノール | 緑茶、赤ワイン、チョコレート | 種類が多彩で相乗効果あり |
抗酸化成分が条件です。次のセクションでは、特に強力な食品を具体的に見ていきましょう。
参考:健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/kousanka-zai.html
多くの専門家が最強クラスの抗酸化食品として挙げるのが「鮭」「緑黄色野菜」「ブロッコリースプラウト」の3つです。それぞれの理由を詳しく見ていきます。
🥇 第1位:鮭(アスタキサンチン)
鮭の鮮やかなオレンジ色は、「アスタキサンチン」というカロテノイド系色素によるものです。この成分の抗酸化力は驚くべき数値を示しています。
1日の推奨摂取量は約6mgとされており、アスタキサンチンの含有量が比較的多い「紅鮭」であれば1日2切れが目安です。これはちょうど小皿2枚ほどのサイズ感。毎日の夕食に鮭を1切れ取り入れるだけでも、継続すれば十分な効果が期待できます。
🥈 第2位:緑黄色野菜(ビタミンA・C・E)
ほうれん草・小松菜・ブロッコリー・かぼちゃ・パプリカなどの緑黄色野菜は、抗酸化ビタミンの「A・C・E」をまとめて摂れる優秀な食品群です。いいことですね。
特に赤パプリカはビタミンC含有量が100gあたり170mgとレモンを上回り、同時にビタミンAも含まれることで相乗的な抗酸化効果を発揮します。「彩りのある食卓を意識する」だけで、自然と抗酸化力は高まります。
🥉 第3位:ブロッコリースプラウト(スルフォラファン)
ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの新芽のことです。注目されているのは「スルフォラファン」という成分で、体内の解毒酵素を活性化し、持続的な抗酸化作用を持つことが研究で明らかになっています。
その含有量は成熟したブロッコリーの約10倍。つまりブロッコリーを1株食べる相当の成分が、スプラウト1パック(約50g)で摂れるということです。スーパーで100円前後で購入でき、洗ってそのまま食べられる手軽さも魅力です。
これは使えそうです。
参考:管理栄養士監修「抗酸化作用の高い食品ランキング8選」
https://brands.naturaltech.jp/lifestyle/columns/rimenba-antioxidant-food
抗酸化食品を選ぶことと同じくらい大切なのが「どう食べるか」です。実は調理法を変えるだけで、同じ食材でも吸収できる抗酸化成分の量が大きく変わります。
トマトのリコピンがその代表例です。生のトマトをサラダで食べたとき、リコピンの体内吸収率は非常に低くなります。理由はリコピンがトマトの細胞壁の中に閉じ込められているため。ところが加熱することで細胞壁が壊れ、さらに油と一緒に調理すると脂溶性であるリコピンの吸収率が最大3〜4倍にアップします。
つまりトマトソース・ミネストローネ・オリーブオイルで炒めたトマトは、生食よりもはるかにリコピンを効率よく摂れるということです。
ビタミンCについては逆の注意が必要です。水溶性のため茹でると煮汁に溶け出し、加熱でも一部失われます。ほうれん草や小松菜のビタミンCを活かしたいなら、スープにして煮汁ごと飲む・さっと炒める・電子レンジを活用するのが効果的です。
ここでもうひとつ意外な情報があります。加熱することで抗酸化成分が「増える」食材も存在します。例えばゆでたり炒めたりしたナスは、加熱によってPPO(ポリフェノールオキシダーゼ)が失活するため、抗酸化成分の減少が抑制されます。生食が必ずしも正解ではないということです。
調理のポイントをまとめると以下のようになります。
| 食材 | おすすめの調理法 | 理由 |
|---|---|---|
| トマト | 加熱+油(炒める・スープ) | リコピン吸収率3〜4倍アップ |
| ブロッコリースプラウト | 生のまま | スルフォラファンは熱に弱い |
| ほうれん草・小松菜 | 炒める・スープ(煮汁ごと) | ビタミンCの溶出を最小限に |
| 鮭 | 焼く・蒸す(生食も可) | アスタキサンチンは加熱に比較的強い |
調理法に注意すれば大丈夫です。
参考:カゴメ株式会社「トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法」
https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/201704/6751/
抗酸化食品は単品で摂るよりも、組み合わせることで効果が倍増するケースがあります。特に有名なのが「ビタミンC+ビタミンE」の組み合わせです。
ビタミンEは細胞膜の脂質を守る脂溶性の抗酸化ビタミンですが、活性酸素を中和した後は自身が酸化されてしまいます。ここでビタミンCが登場し、酸化したビタミンEを「再生」してくれるのです。結果として、ビタミンEが長く効き続けられるようになり、抗酸化ネットワークが強化されます。
具体的な食べ合わせの例を挙げると次のようになります。
「食べ合わせ」が基本です。
ポリフェノールも見逃せません。緑茶のカテキン・ダークチョコレートのカカオポリフェノール・赤ワインのレスベラトロールは、それぞれ異なる種類のポリフェノールです。これらは同時に摂ることでより幅広い種類の活性酸素に対応できます。
特に緑茶のカテキンは、80℃以上の高温で淹れることで多く抽出できます。毎日のお茶タイムを「ちょっと熱めのお湯で」にするだけで、抗酸化効果は変わってきます。これは取り入れやすいですね。
参考:日本経済新聞「ビタミンやミネラルの相乗効果、食べる組み合わせ6選」
「サプリで抗酸化成分を大量に摂ればいい」と考えている方は多いかもしれません。しかし、抗酸化成分の過剰摂取には思わぬリスクが潜んでいます。
2022年、金沢大学などの研究チームが発表した研究では、抗酸化サプリの過剰な服用が基礎代謝の低下を引き起こし、糖尿病や肥満症につながる恐れがあることが明らかになりました。また、16万人を対象にした研究では、高用量のビタミンAやビタミンEのサプリメント摂取が、かえって死亡率を上昇させるという結果も報告されています。
厳しいところですね。
活性酸素にはそもそも「善玉」の働きもあります。細菌やウイルスを撃退する免疫機能として、また運動時の筋肉の修復に関わる「善玉活性酸素」が存在するのです。サプリで活性酸素を過剰に除去してしまうと、この善玉活性酸素まで消されてしまい、免疫力の低下や運動記憶の妨害につながる可能性があります。
一方、食品から抗酸化成分を摂る場合は吸収量に自然な上限があるため、過剰摂取のリスクははるかに低くなります。毎日の食事でバランスよく摂ることが、最も安全で持続可能な方法です。
サプリメントを活用したい場合は、あくまで食事の補助として位置づけることが重要です。特に気になる場合は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談するのが確実な方法です。アスタキサンチンを含むサプリであれば、1日の摂取目安量(6mg程度)を守って使用しましょう。
食品から摂るのが原則です。
参考:日経「過剰な抗酸化作用、基礎代謝低下を誘因 金沢大などが発見」
参考:国立がん研究センター「食事由来の抗酸化能と死亡との関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8391.html