テンペの作り方を簡単に大豆と菌だけで自宅で

テンペの作り方は難しそうに見えて、実は大豆とテンペ菌さえあれば自宅で簡単に作れます。発酵時間や温度管理のコツ、失敗しないポイントを詳しく解説。あなたも手作りテンペに挑戦してみませんか?

テンペの作り方を簡単に自宅でマスターする全手順

食物繊維が納豆の約1.7倍なのに、毎日食べている主婦はほぼゼロです。


🫘 この記事でわかること
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テンペの基本材料と道具

大豆・テンペ菌・酢の3つが基本。ジップロックとヨーグルトメーカーで代用できる道具も紹介します。

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失敗しない発酵のコツ

温度管理・水分の飛ばし方・菌の混ぜ方など、初心者がつまずきやすいポイントをわかりやすく解説します。

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完成後の保存と活用レシピ

冷蔵・冷凍の使い分けと、照り焼き・炒め物など日常の食卓に取り入れやすい食べ方を紹介します。


テンペとは何か:大豆とテンペ菌だけで作るインドネシア発の発酵食品


テンペとは、インドネシアで500年以上前から食べられてきた伝統的な大豆の発酵食品です。煮た大豆にテンペ菌(クモノスカビの一種)を接種し、30〜32℃で24時間前後発酵させることで、白いふわふわした菌糸に覆われたブロック状の食品に仕上がります。


見た目は白いカビに包まれていて少し驚くかもしれませんが、これが正常な完成形です。チーズや納豆のような強いにおいやクセはほとんどなく、ほのかな甘みとうま味があります。「大豆のカマンベールチーズ」とも呼ばれるほど、マイルドな風味が特徴です。


食材としての使い勝手の良さも大きな魅力です。和食・洋食・中華・エスニック料理のどれにも合うため、日常の献立に取り入れやすい食材といえます。


注目したいのはその栄養価です。日本食品標準成分表(八訂)によると、テンペ100g当たりの食物繊維は10.2g、納豆は5.9gと、テンペが約1.7倍多く含んでいます。腸活や便秘予防に関心のある方にとって見逃せない数値です。また、タンパク質は15.8g(納豆は16.5g)とほぼ同等でありながら、脂質はテンペ9.0g・納豆10.0gとテンペのほうがわずかにヘルシーです。これが基本情報です。


さらに発酵の過程でビタミンB群が増加し、大豆のタンパク質が消化しやすい形に変わります。女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも体に吸収されやすい形になるため、更年期が気になる女性にも注目されています。コレステロール値の低下や血圧降下作用なども期待できる食品です。


テンペの栄養素と健康効果|かわしま屋(テンペの栄養成分と生活習慣病予防の働きを詳しく解説)


テンペの作り方に必要な材料と道具:大豆・テンペ菌・ジップロックを用意する

まず材料から確認しましょう。基本の材料は3つだけです。


材料 分量の目安 備考
🫘 乾燥大豆 120〜500g(お好みの量) 国産大豆がおすすめ
🧫 テンペ菌(粉末) 大豆500gに対し約2〜3g ネット通販で購入可能
🍶 酢 水1リットルにつき50ml程度 雑菌の増殖を防ぐ目的
🌾 片栗粉(または米粉 テンペ菌の9倍量 菌を均一に混ぜるために必要


次に道具です。


  • 🥣 大きめのボウル(浸水用):乾燥大豆は水を吸うと重量が約2.2倍、容積は2.6倍以上に膨らむため、余裕のあるサイズを使いましょう
  • 🍳 鍋(煮るため):圧力鍋があれば10分加圧でOK
  • 🌡️ 発酵器またはヨーグルトメーカー:31〜38℃をキープできるものが理想。タニカ電器の「ヨーグルティア」などが実績あり
  • 🧊 ジップロック(Sサイズ):発酵用の袋として代用できる
  • 🪡 爪楊枝または竹串:袋に空気穴を開けるために使う


テンペ菌についていえば、市販品は1袋10g前後の商品が多く、価格は700〜1,500円程度です。かわしま屋などの発酵食品専門店やAmazonで購入できます。1gで大豆500g分のテンペが作れるため、コスパは非常に高いといえます。


「テンペ菌を冷凍保存してもよいか?」と思う方もいるかもしれませんが、テンペ菌の粉末自体は冷凍厳禁です。冷暗所(冷蔵庫など)での保管が正しい方法です。菌は眠っているだけの状態なので、表示の賞味期限を数年過ぎても発酵力が残っているケースもありますが、なるべく新鮮なうちに使うのが安心です。これだけ覚えておけばOKです。


テンペの作り方ステップ別解説:浸水・煮る・菌付け・発酵の4工程

ここからが本番の作り方です。工程を4つに分けて説明します。


【工程1】大豆を洗い、酢入りの水に一晩浸水させる


まず大豆をボウルに入れ、皮が破れない程度にゴシゴシこすり合わせながら洗います。大豆表面の汚れに雑菌が多く付着しているため、ここは丁寧にやりましょう。洗った大豆を、大豆の重量の4倍量の水(大豆500gなら水2L)に浸し、水1Lに対して酢を50ml加えます。浸水時間の目安は季節によって変わります。夏(水温20〜25℃)は6時間、春・秋(水温10〜15℃)は15時間、冬(水温0〜5℃)は24時間が基本です。


大豆中心部のくぼみがほぼ平らになったら十分に浸水した合図です。


【工程2】薄皮をむき、大豆を煮る


浸水した大豆をこすり合わせて薄皮をむきます。薄皮が残ると菌糸の食い込みが悪くなり、崩れやすいテンペになるためです。皮むきには30〜60分かかることもありますが、仕上がりに大きく影響します。


皮をむいた大豆を鍋に入れ、弱火で30〜60分煮ます。煮上がりの目安は「指でギュッと押すと、やや潰れにくいくらい」の硬さです。柔らかすぎても硬すぎてもいけません。圧力鍋なら10分加圧後、冷水で圧力を下げると時短できます。


【工程3】水切りをし、テンペ菌を付ける


煮上がった大豆をザルにあけ、大豆の表面をしっかり乾かしながら40℃前後まで冷ましましょう。水分が残っていると発酵が遅れる原因になります。ザルを優しく振って上下を返しながら蒸気を逃がすのがコツです。


冷めたらテンペ菌と片栗粉を9:1で混ぜたものを大豆全体にまぶします。大きめのポリ袋に大豆を入れ、袋をよく振ってまんべんなく菌が行き渡るようにします。片栗粉でかさを増やすことで均一に混ざりやすくなる上、デンプンがテンペ菌のエサにもなります。


【工程4】袋に入れて発酵させる


爪楊枝で3cm四方に1箇所の割合で穴を開けたジップロックに、菌付きの大豆を入れます。テンペ菌は酸素が必要な好気性菌なので、空気穴は必須です。袋に入れた大豆を平らに押し広げ、板状に整えてから発酵器またはヨーグルトメーカーにセットします。設定温度は31〜32℃、時間は24時間が目安です。


約16〜20時間後に白い菌糸が見え始め、大豆がブロック状に固まれば完成です。白いふわふわで全体が覆われたら発酵完了のサインです。夏場に常温放置する方法もありますが、温度管理ができる発酵器の方が安定した仕上がりになります。


大豆の発酵食品「テンペ」は手作りできる!レシピや作り方のコツ|haccola(詳しい手順と作り方のコツをまとめた記事)


テンペの作り方でよくある失敗と原因:発酵しない・黒くなる・納豆臭がする

初めて作ると失敗しやすいポイントがいくつかあります。トラブル別に原因と対策を整理しました。


❌ 失敗①:白い菌糸が出ない(発酵しない)


原因として最も多いのは「温度が低すぎる」ことです。テンペ菌が最も活発に働くのは30〜32℃の環境で、これを下回ると発酵が極端に遅くなります。ヨーグルトメーカーの設定を32℃にきちんと合わせることが重要です。また、大豆の水分が残っていた場合も菌の繁殖が妨げられます。水切り工程で十分に乾かすことが条件です。


❌ 失敗②:表面が黒くなる


発酵が進みすぎた(過発酵)サインです。テンペ菌が胞子を出して黒く変色しますが、これ自体は毒ではなく食べることができます。ただし風味が落ち、渋みが出ることがあります。白くふわふわに覆われた時点で冷蔵庫に入れて発酵を止めるのが、タイミングとしての正解です。夏場や気温が高い日は特に早めのチェックが必要です。


❌ 失敗③:納豆のようなにおいと糸引き


これは納豆菌が混入したケースです。納豆菌は大気中や土壌にも広く存在しており、テンペ作りの最大の敵のひとつとされています。対策として、テンペを仕込む前後24時間は納豆を食べない・触れないことを徹底しましょう。道具もしっかり洗浄し、清潔な環境で作業することが重要です。


❌ 失敗④:大豆がバラバラになる(固まらない)


薄皮が残ったまま発酵させると、皮と胚乳の間で菌糸がうまく伸びず、粒がバラバラになりやすくなります。皮むきが面倒に感じる工程ですが、仕上がりのブロック感を出すには欠かせない作業です。どうしても皮むきをしたくない場合は、菌付け後に大豆を粗く刻んでから発酵させると多少改善します。これが4つの失敗パターンです。


失敗しないテンペ作りで大切な4つのこと|note(失敗の原因と解決策をわかりやすくまとめた記事)


テンペの作り方の後:保存方法と簡単な食べ方・アレンジレシピ

完成したテンペは、常温に放置すると発酵が進み続けて黒ずんでくるため、すぐに保存方法を確定させましょう。


保存方法の使い分け


保存方法 日持ちの目安 ポイント
❄️ 冷蔵 1〜2日(自家製の目安) 密封しすぎず、炭酸ガスが逃げるよう少し開けておく
🧊 冷凍 約1ヶ月〜3ヶ月 使いやすいサイズに切ってからラップで包んで冷凍する


一度にたくさん作ったときは、食べやすいサイズ(はがきの短辺ほど=約10cm角)に切り分けてから冷凍するのがおすすめです。使いたいぶんだけ解凍できるので、日常使いがぐんと楽になります。これは使えそうです。


🍳 簡単な食べ方3選


  • 照り焼き風:フライパンで中火2分ずつ両面を焼き、醤油大さじ1.5・みりん大さじ1・砂糖小さじ1・すりおろし生姜小さじ1を混ぜたタレで絡めるだけ。鶏肉の照り焼きに近い食感でご飯が進みます。
  • エビテンペ炒め:干しエビとテンペを炒め、醤油・みりん各大さじ2で味付けます。大豆の旨みに海老の風味が合わさって、独特の深い味わいになります。
  • 唐揚げ風:1cm厚さにスライスして片栗粉をまぶし、油で揚げるだけ。外はカリッと中はしっとりした食感になり、ビールのおつまみにもなります。


テンペは鶏肉の代用としても使えるため、毎日のおかず作りのバリエーションを広げる食材としても活躍します。エスニック系の調味料(ナンプラー・カレー粉クミンなど)とも相性がよく、インドネシア料理らしい風味を楽しむことができます。


食べる量については、テンペは発酵食品とはいえ発酵度合いが味噌や納豆に比べて低めで、大豆由来の成分が残っています。一度に200gを超えるような大量摂取は避け、1日あたり50〜100g程度を目安にすると体への負担が少なくなります。摂取量に注意すれば問題ありません。


ヨーグルトメーカー活用で通年テンペを作る:季節に関係なく温度を安定させるコツ

テンペ作りでよく聞くのが「夏は作れたけれど冬になったら失敗した」というケースです。テンペ菌が活発に働くのは30〜32℃という特定の温度帯で、室温だけに頼ると季節によって大きくムラが出てしまいます。


この問題を解決するのがヨーグルトメーカーの活用です。温度設定が32℃前後に細かく調整できるモデルであれば、季節を問わず安定した環境で発酵が進みます。タニカ電器の「ヨーグルティア」は設定温度が25〜70℃まで1℃単位で調整でき、テンペ作りにも実績のある機種として発酵愛好家の間で知られています。


ヨーグルトメーカーを使ったテンペの発酵手順はシンプルです。菌付きの大豆を入れたジップロック(穴あき)を内容器にセットし、温度31〜32℃・タイマー24時間でスタートするだけです。発酵が始まると菌糸が熱を発するため(発熱反応)、庫内温度が設定より1〜2℃高くなることがあります。過発酵を避けるために、24時間以内でも白い菌糸が全体を覆ったら完成と判断して取り出しましょう。


ヨーグルトメーカーは1台あれば、テンペのほかにも塩麹甘酒・ヨーグルトと幅広く活用できます。発酵食を日常に取り入れたいと考えている方にとっては、一度の投資で長期間使えるコスパの高いアイテムです。価格は5,000円〜12,000円程度のものが多く、テンペを定期的に作ることでスーパーでの購入費を節約できることも考えると、使い始めて損はありません。


夏場に常温でテンペを作る場合は、最高気温が32℃前後・最低気温が25℃前後の環境であれば自然発酵が進みます。気温が36〜38℃を超えるような猛暑日は24時間以内に過発酵になるため、こまめな確認が必要です。季節ごとの気温の変化に合わせてアプローチを変えるのが、通年作り続けるためのコツです。


ヨーグルトメーカーでテンペを作る方法|タニカ電器公式(タニカ製ヨーグルトメーカーを使ったテンペの詳しい手順)






地域食材大百科(第10巻) こうじ,味噌,醤油,納豆,テンペ [ 農山漁村文化協会 ]