オーガニックを全部買い替えなくても、食費は年間6万円以上節約できます。
「サステナブルフード」とは、地球環境・生産者の生活・社会的公正に配慮しながら、長期的に持続可能な方法で生産・消費される食品のことです。農業や漁業の方法、食品の輸送・保存の仕方、消費者の選択まで、食に関わるあらゆる過程を見直した考え方です。
では、なぜ今これほど注目されているのでしょうか?
1つ目の理由は、日本の食品ロス問題です。 日本では年間約464万トンもの食品ロスが発生しており(令和5年度・環境省)、そのうち約233万トンが一般家庭から出ています。1人あたりに換算すると、毎日おにぎり1個(約102g)を捨てているのと同じ計算になります。これは目に見えない大きな損失です。
2つ目の理由は、食肉生産における環境負荷です。 牛肉を1kg生産するのに排出される温室効果ガスは、豆類の約50〜100倍とも言われています(各種研究報告)。家庭の食卓の選択が、地球温暖化に直接つながっているのです。
3つ目の理由は、市場の急成長です。 富士経済グループの調査によると、2021年の国内サステナブルフード市場規模は1兆6,104億円(前年比13.7%増)。2030年には2兆6,556億円に達すると見込まれています。つまり、企業も消費者の意識変化を見越して、スーパーでの取り扱いが急速に増えているということです。
難しく考えなくて大丈夫です。日常のお買い物の中で「何を選ぶか」を少し意識するだけで、立派なサステナブルな行動になります。
農林水産省:持続可能性に配慮したマークをチェック(認証マーク一覧)
オーガニック食品とは、化学農薬・化学肥料を原則使用せずに育てられた農産物や加工食品のことです。日本では「有機JASマーク」がついている商品だけが、正式に「有機」「オーガニック」と表示できます。これが基本です。
スーパーで「無農薬」「自然栽培」と書かれた商品を見かけることがありますが、有機JASマークがなければ、厳密にはオーガニック食品とは言えません。実は認証を受けていない商品が「オーガニック」と書くのは法律で禁止されているため、マークの有無だけチェックすれば問題ありません。
「オーガニックは高い」とよく言われますが、一般的な食品に比べて卵・牛乳・葉物野菜は60%以上、リンゴやにんじんは7〜30%高い程度とされています。加工食品ではさらに価格差が出ることもあります。全部をオーガニックにする必要はなく、子どもに食べさせる野菜・毎日使う卵・米など、摂取頻度が高いものから少しずつ切り替えるのがおすすめです。
たとえば、農薬が残りやすいとされるほうれん草やいちごをオーガニックにして、皮を厚くむく根菜類は通常品にするという分け方もできます。「全部切り替えなきゃ」と思わなくてOKです。
オーガニック食品を定期的に届けてくれる「らでぃっしゅぼーや」や「大地を守る会」などの宅配サービスを利用すると、スーパーより割安になるケースもあります。週1回の利用でも十分効果があります。
農林水産省:有機食品の検査認証制度(有機JASマークの詳細)
代替肉とは、動物を使わずに大豆・小麦・えんどう豆などの植物を原料として、肉の味・食感・見た目を再現した食品です。「大豆ミート」「ソイミート」「プラントベースドミート」などとも呼ばれます。これがサステナブルフードの中でも特に注目されている食材です。
環境面の効果は数字を見ると驚くほど大きいです。牛肉1kgを生産するのに排出される温室効果ガスは、豆類の約50〜100倍にもなります。水の使用量でも大きな差があり、牛肉1kgの生産には約20トンの水が必要なのに対し、大豆は2.5トン程度で済みます。ペットボトル2L換算で、牛肉は1万本分、大豆は1,250本分という差です。
健康面でのメリットも見逃せません。大豆ミートは低脂質・低カロリーでありながら、タンパク質・食物繊維・大豆イソフラボンが豊富です。ある調査では、大豆ミートを使うメリットとして「低脂質・低カロリー・ノンコレステロール」を挙げた人が84%に上っています(PR TIMES, 2023年)。
スーパーでは乾燥タイプ・レトルトタイプ・冷凍タイプの3種類が流通しています。
乾燥タイプを使う場合は、戻した後にしっかり水気を絞り、醤油・みりん・生姜など少し濃いめの味付けにすると格段においしくなります。最初は「ひき肉の半分を大豆ミートに置き換える」ところから始めると無理がありません。
サステナブルシーフードとは、将来も魚を食べ続けられるよう、環境への影響を最小限にして適切な方法で漁獲・養殖された水産物のことです。海水魚の86%がすでに漁獲限度に達している現状を受け、世界規模で取り組みが進んでいます。
認証制度が2種類あります。
スーパーの鮮魚コーナーや缶詰コーナーで、パッケージに青い魚のマークを探すだけでOKです。これがマークの確認です。
意外と知られていないのが、マークがなくても「旬の地元産の魚を選ぶ」こともサステナブルな行動になる点です。遠くから輸送された魚より、地元の旬の魚を選ぶと輸送に伴うCO₂排出量を大きく減らせます。たとえば春のいわし・夏のあじ・秋のさんまなど、旬の魚は栄養価が高く、価格も安いので家計にも優しいです。これは使えそうです。
環境省:令和5年度食品ロス発生量推計値の公表(水産含む食品ロス最新データ)
フェアトレード食品とは、発展途上国の農家や生産者に対して、適正な価格で継続的に取引される仕組みを経た食品のことです。コーヒー・チョコレート・バナナ・ナッツ・スパイス・ハチミツなどが代表的です。
なぜこれが大切なのでしょうか?たとえばカカオの生産国・コートジボワールのカカオ農家の1日の収入は平均約0.78ドル(約120円)にすぎないとも報告されています。私たちが100円のチョコを買うたびに、その利益のほとんどが中間業者に渡り、生産者の手元には数円しか届かない構造が長年続いています。
フェアトレード認証ラベルは、生産から輸出入・製造を経た全工程でトレーサビリティが確保され、生産者に適正な価格・プレミアム(奨励金)が支払われていることの証です。
身近に手に入るフェアトレード食品の例を挙げます。
毎日飲むコーヒーや、子どものおやつのチョコレートを1つフェアトレードに切り替えるだけで十分です。価格は通常品より少し高い場合がありますが、コンビニのコーヒー1杯分の差額以内に収まることがほとんどです。
Fairtrade.net:国際フェアトレード認証ラベルの仕組みと意味
サステナブルフードの中で、今日からすぐに始められて、しかも最も経済的メリットが大きいのが「食品ロスの削減」です。京都市の試算では、家庭で食品ロスを削減することで年間約6万円の節約になるという結果が出ています。これは食費だけでなく、ごみ処理費用の削減まで含んだ試算です。
意外ですね。環境に良いことが、そのまま家計の節約にもつながるのです。
家庭系食品ロスには主に3種類あります。食べ残し・直接廃棄(賞味期限切れなど)・過剰除去(野菜の皮の取りすぎなど)の3つです。このうち主婦が特に意識しやすいのが「直接廃棄」で、冷蔵庫の奥で忘れていた食材などが該当します。
具体的な対策を3つ紹介します。
また、賞味期限と消費期限の違いも覚えておくと便利です。賞味期限は「おいしく食べられる期限」なので、過ぎても安全性がすぐに失われるわけではありません。消費期限が食べる・食べないの判断基準です。賞味期限だけ見て捨てるのはもったいない行動です。
「節約を意識したこと」がフードロス削減につながったと答えた人が51.2%に上るというデータもあります(PR TIMES, 2025年)。節約と環境への貢献が同時にできるのがフードロス削減の魅力です。
消費者庁:2023(令和5)年度食品ロス量推計値の公表について
サステナブルフードというと特別な認証商品や高級有機野菜をイメージする方も多いですが、実は「地元の旬の食材を買う」という何気ない行動が、最も手軽で効果的なサステナブルフードの選択の一つです。これが原則です。
地産地消とは、地元で生産された食材をその地域で消費することです。輸送距離が短くなるため、輸送に伴うCO₂排出量(フードマイレージ)が大幅に削減されます。たとえば、国産野菜と輸入野菜では、輸送によるCO₂排出量に数倍〜数十倍の差が生まれることもあります。
旬の食材を選ぶメリットも大きいです。
「直売所(産直)で買う」という方法も取り入れやすいです。農協の直売所やJAのファーマーズマーケット、近年増えているネット産直サービス(食べチョク・ポケットマルシェなど)を活用すると、流通コストが省かれて生産者への還元率も高くなります。スーパーより新鮮で、コスト面でも同等かそれ以下の価格で購入できるケースが多いです。
地元のものを選ぶだけでいいということですね。特別な商品でなくても、日常のお買い物が持続可能な選択になります。
Social Good Earth:食の持続可能性を高める16の方法(地産地消・フレキシタリアン他を網羅)