チコリコーヒーはノンカフェインなのに、飲みすぎると腸に不調が出ることがあります。
チコリとは、ヨーロッパや北アフリカを原産とするキク科の多年生野菜です。和名は「キクニガナ(菊苦菜)」といい、その名のとおり葉に独特の苦みがあります。フランスやベルギーでは古くから食卓に上る身近な野菜で、葉の部分はサラダや炒め物に使われています。日本では明治初期に伝わりましたが、長らくなじみが薄い食材でした。
チコリコーヒーとは、この野菜の「根」の部分を使った飲み物です。根を細かく刻み、乾燥・焙煎した「ローストチコリ」を抽出することで、見た目も色もコーヒーにそっくりな飲み物ができあがります。つまり、コーヒー豆は一切使っていません。
「コーヒー」という名がついているのは、見た目と香ばしい風味がコーヒーに近いからです。ヨーロッパでは18〜19世紀の戦時中、コーヒー豆が不足した際にチコリの根が代用品として広まったという歴史があります。特にフランスやベルギーでは今でも日常的に飲まれており、スーパーでも手軽に入手できるほどポピュラーな飲み物です。
日本でも近年、健康志向の高まりやノンカフェインブームの流れを受けて、カルディや成城石井などで取り扱いが増え、じわじわと注目を集めています。これは使えそうです。
| 項目 | チコリコーヒー | 普通のコーヒー |
|---|---|---|
| 原料 | チコリの根(野菜) | コーヒー豆 |
| カフェイン | 0mg(ゼロ) | 約90mg/1杯 |
| 主な産地 | フランス・ベルギーなど | ブラジル・エチオピアなど |
| 味の特徴 | 香ばしくまろやか・ほんのり甘み | 苦味と酸味が強い |
| 分類 | ハーブティー・穀物コーヒー | 嗜好飲料 |
チコリコーヒーはキク科の植物から作られたハーブティーの一種です。「コーヒー」と名乗っていても、本質的には野菜系の健康飲料だということを覚えておけばOKです。
参考:チコリの植物特性・栄養・歴史について詳しく解説されたページ
チコリ | 成分情報 – わかさの秘密
チコリコーヒーを初めて飲む方が最初に感じるのは「コーヒーとは似ているけれど、どこか違う」という印象です。その違いは一体どこから来るのでしょうか?
チコリコーヒーの香りの主役は「ピラジン類」という成分で、焙煎されたナッツや香ばしいパンを焼いたときのような香りを生み出します。研究によると、焙煎チコリの香り成分のうち約75%がこのピラジン類でできているといわれています。さらに「フルフラール類」が加わることで、砂糖を焦がしたようなキャラメル香も漂います。
味わいは苦味よりも「まろやかさ」が前に出ます。コーヒーのような鋭い酸味がほとんどなく、後味がすっきりしているのが特徴です。麦芽飲料やほうじ茶に近い感覚と表現する方も多いです。意外ですね。
ミルクとの相性は抜群です。酸味がないぶん牛乳や豆乳と混ざっても風味がぶつからず、キャラメルラテのようなまろやかな甘みが楽しめます。カルディで販売されている「ルルー インスタントチコリ」の場合、ティースプーン3杯(約6g)を温めたミルク250mlに溶かすだけで、本格的なカフェ風ドリンクが完成します。
「ストレートだとちょっとクセを感じる」という場合も、ミルクラテ風にするだけで飲みやすくなります。蜂蜜やメープルシロップを少量加えれば、デザート感覚の一杯にもなります。ミルクアレンジが基本です。
一方、深煎りコーヒーの強い苦味やエスプレッソのような濃厚さを期待すると、物足りなく感じるかもしれません。チコリコーヒーは「コーヒーの代替品」というより「香ばしい健康飲料」として楽しむのが正解です。
チコリコーヒーが健康飲料として注目されている最大の理由は、「イヌリン」という成分にあります。イヌリンはチコリの根に豊富に含まれる水溶性食物繊維の一種で、腸内の善玉菌のエサになる「プレバイオティクス」として働きます。
腸内の善玉菌(ビフィズス菌・ラクトバチルス菌など)が増えると、腸内フローラのバランスが整い、便通のリズムが安定してきます。研究では、毎日10〜12gのイヌリンを摂取することで排便リズムの改善が確認されています。腸が整うと、免疫機能や肌の調子にも好影響が出るといわれています。いいことですね。
さらに注目したいのが血糖値ケアへの作用です。49人の女性糖尿病患者を対象とした研究(Farhangi MA et al, Prim Care Diabetes, 2016)では、毎日10gのチコリイヌリンを2か月間摂取したグループで、空腹時血糖値が有意に低下したという結果が報告されています。これはイヌリンが水に溶けるとゲル状になり、食後の糖の吸収速度をゆるやかにするためです。血糖値スパイク対策に役立つということですね。
そのほかにも以下のような健康効果が期待されています。
注意したいのは、こうした効果はすぐに出るタイプではないということです。3〜4週間以上の継続が必要で、チコリコーヒー1杯あたりのイヌリン量はごくわずかです。腸活目的なら1日2杯を目安に、野菜や発酵食品と組み合わせることでより効果が出やすくなります。
参考:チコリイヌリンの血糖値低下作用に関する研究データ
チコリイヌリンは血糖値を減少させる – Biosis lab
妊娠中や授乳中のコーヒーが気になる方に、チコリコーヒーはよく推奨されます。その理由はシンプルで、チコリコーヒーはカフェインを0mg含まないからです。
厚生労働省や日本助産学会は、妊娠中・授乳中のカフェイン摂取量を「1日200mg未満(コーヒーならマグカップ約2杯分)」に抑えることを推奨しています。普通のコーヒー1杯には約90mgのカフェインが含まれているため、妊婦さんにとって管理が必要な飲み物です。
その点、チコリコーヒーはもともとカフェインを含む植物ではないため、デカフェ加工のようにカフェインを「除去」しているわけでもありません。最初から含まれていないのです。これは使えそうです。
参考:妊娠中のカフェイン制限に関する厚生労働省の資料
妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(厚生労働省)
ただし、いくつか注意点もあります。
妊娠中・授乳中の方が飲む場合は、原材料が「チコリ(根)」のみのものを選び、1日1〜2杯を目安にするのが原則です。心配な場合は産婦人科の担当医への相談が条件です。
チコリコーヒーは市販品の種類によって飲み方が異なります。初心者にいちばんハードルが低いのは「インスタントタイプ」です。カルディで購入できる「ルルー インスタントチコリ(100g入り)」は、普通のインスタントコーヒーと同じ要領で、ティースプーン3杯(約6g)をカップに入れてお湯や温めたミルク250mlに溶かすだけで飲めます。冷たい水やミルクにもよく溶けるため、アイスラテ風にもアレンジできます。
本格派には「ドリップタイプ」もあります。挽いたチコリ粉を普通のコーヒーフィルターにセットし、10gに対して300mlのお湯をゆっくり注ぐだけで、より深みのある風味が楽しめます。
選ぶ際のポイントをひとつ覚えておけばOKです。それは「原材料がチコリ(根)のみのもの」を選ぶことです。市場には「チコリ+コーヒー豆のブレンド」もあり、カフェイン量が変わってくるため、ノンカフェイン目的の方は必ず原材料欄を確認しましょう。
また、焙煎度合いによって風味も変わります。浅煎りは甘みとフルーティさが残り、深煎りになるほど苦味と香ばしさが強くなります。自分の好みに合ったものを選ぶと、続けやすいです。
インスタントなら箱を1つ買うだけで試せます。はじめての方はカルディのルルーシリーズ(100g・約840円前後)が入手しやすくておすすめです。
「健康に良い」というイメージのあるチコリコーヒーですが、飲む人によっては不調が出ることがあります。これは知らないと損するポイントです。
最も多い不調は腸への刺激です。チコリに豊富に含まれるイヌリンは、善玉菌のエサになる良い成分ですが、一度に大量に摂取すると腸内で急激に発酵が起き、お腹の張り・ガス・下痢・胃けいれんなどの症状が出ることがあります。医療情報サイトWebMDによると、30g以上のイヌリンを摂取すると消化不良のリスクが高まるとされています。
腸への不調が出やすいのは次のような場面です。
1日2杯程度が目安です。また、キク科植物アレルギー(シラカバ花粉アレルギーと関連する場合があります)の方は、口の中がかゆくなったりする「口腔アレルギー症候群(OAS)」に注意が必要です。初めて飲む場合は少量から始めましょう。
コスト面での注意点もあります。チコリコーヒーは通常のインスタントコーヒーより若干高く、専門店やオンラインショップが主な販売ルートのため、近所で手に入らないケースもあります。毎日飲むならネット通販のまとめ買い(Amazonや楽天での定期便)を活用すると、1杯あたりのコストを下げられます。
以下のチェックリストに当てはまる方は、少量から慎重にスタートするのが安全です。
逆に、以下の方にはとくにおすすめです。
注意点に気をつければ問題ありません。チコリコーヒーは「毎日の小さな習慣」として取り入れることで、じんわりと体質改善をサポートしてくれる飲み物です。焦らず1日1〜2杯から始めて、自分の体と相談しながら続けてみてください。