フムスは「おしゃれな外食メニュー」だと思っているなら、実は毎日食べるほど簡単に作れる家庭料理です。
「中東料理」という言葉を聞いたとき、多くの方が「ケバブ」だけを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし実際には、中東料理は非常に幅広いジャンルと地域にまたがる豊かな食文化です。まずは「中東」というエリアの定義から整理しましょう。
中東とは、西アジアから北アフリカにかけての広大なエリアを指します。トルコ・レバノン・パレスチナ・ヨルダン・イラン・イスラエル・エジプト・サウジアラビア・アラブ首長国連邦などがその代表的な国々です。一口に「中東料理」といっても、国によって使う食材やスパイス、調理法が大きく異なります。
つまり「中東料理=ケバブ」ではありません。
以下に、地域別の代表的な中東料理を整理します。
| 地域・国 | 代表的な料理 | 特徴 |
|---|---|---|
| 🇹🇷 トルコ | ケバブ・シシカバブ・メネメン・バクラヴァ | 世界三大料理の一つ。野菜と肉のバランスが良く日本人の口にも合いやすい |
| 🇱🇧 レバノン・パレスチナ | フムス・タッブーレ・ファラフェル・シャワルマ | ひよこ豆や野菜を多用したヘルシーな料理が中心 |
| 🇮🇱 イスラエル | シャクシュカ・フムス・ファラフェル | トマトと卵を使った家庭料理が豊富 |
| 🇮🇷 イラン(ペルシャ) | ゴルメ・サブジー・フェセンジャーン・ポロウ | ザクロや乾燥果実を使ったコク深い煮込み料理が特徴 |
| 🇪🇬 エジプト | コシャリ・モロヘイヤスープ・フール | 豆とパスタを組み合わせた庶民的な国民食が多い |
| 🇸🇦 サウジアラビア | カブサ・マンディ・ハリース | 米と肉を大鍋で炊き込む豪快なスタイル |
| 🇲🇦 モロッコ | タジン・クスクス・ハリラ | シナモンやサフランなどの香辛料が豊かで甘みのある料理も多い |
中東料理全体に共通するのは、豆・野菜・オリーブオイルを豊富に使うこと、そしてイスラム教やユダヤ教の戒律に基づいて豚肉を使わないことです。宗教と食文化が密接に結びついているのが、中東料理の大きな特徴といえます。
「中東料理=辛い」と思われることもありますが、辛さより香りを楽しむ料理がほとんどです。これが基本です。
中東料理の中でも、近年の日本でとくに知名度が上がってきた3つの料理を詳しく見ていきましょう。業務スーパーやカルディでも市販品が並ぶほど、日本の食卓に近づいてきています。
🫘 フムス(Hummus)
フムスは、ゆでたひよこ豆をタヒニ(白練りごまペースト)・にんにく・オリーブオイル・レモン汁と合わせてペースト状にした料理です。レバノンやヨルダン、パレスチナの家庭では毎朝の朝食に登場するほど日常的な存在で、「中東の味噌汁」ともいえます。
日本では業務スーパーで215g入りのフムスが267円(税込)で購入でき、気軽にお試しできます。ピタパンや野菜スティックにつけて食べるのが基本的な楽しみ方です。
フードプロセッサーがあれば自宅で5〜10分で作れます。これは使えそうです。
🧆 ファラフェル(Falafel)
ファラフェルは、ひよこ豆かそら豆をすりつぶしてクミン・コリアンダー・パセリなどのハーブやスパイスと混ぜ、丸めて揚げた料理です。見た目はコロッケに近く、外はカリッと中はほんのりスパイスが香るヴィーガン料理の代表格です。
動物性食品を一切使わないのに、食べ応えがある点でヴィーガンやベジタリアンの方から世界的に人気が広まっています。
🍳 シャクシュカ(Shakshuka)
シャクシュカは、フライパン1つで完成するトマトソースの卵煮込みです。チュニジア発祥とされますが、現在はイスラエルの家庭料理として広く知られています。パプリカと玉ねぎを炒め、トマト缶で煮込んで卵を落とすだけという手軽さが魅力です。
日本でいう「目玉焼き定食」のような感覚で、毎日の朝食に出てくる家庭料理です。作り方がシンプルなため、中東料理初心者にとっての入門メニューとしておすすめです。
さらに一歩踏み込んで、肉料理と野菜料理それぞれの代表的なメニューを掘り下げていきます。「どれも同じ感じがする」と思っていたなら、それぞれの個性に驚くはずです。
🥩 ケバブの種類と特徴
「ケバブ」は実は料理の名前ではなく、肉・野菜・魚などをローストして調理する料理の総称です。日本でよく見かけるのは「ドネルケバブ」で、回転させながら焼いた肉をスライスしてピタパンに挟んだもの。この形は1972年にトルコからドイツへ移民したカディル・ヌルマンさんがベルリンで考案したとされており、発祥はドイツという説もある意外な歴史があります。
ケバブの主な種類を確認しましょう。
肉料理が中心ですが、使う肉は鶏・羊・牛が主で、豚肉は使いません。これが原則です。
🥗 タッブーレとクスクスの違い
タッブーレはレバノン発祥のパセリをたっぷり使ったサラダで、細かく刻んだパセリ・ミント・トマト・玉ねぎ・ブルグル(挽き割り小麦)にレモン汁とオリーブオイルを和えて作ります。実際にはほぼ「パセリのサラダ」といっても過言ではないくらい、パセリが主役の料理です。さっぱりとした味わいで、肉料理の付け合わせとしてもよく登場します。
クスクスはモロッコなど北アフリカで主食として食べられる粒状のパスタです。粒の大きさはゴマ粒程度(直径1〜2mm)で、お湯をかけて5分で戻せる手軽さが特徴。シチューや野菜の煮込みと合わせて食べる主食ポジションの食材です。日本のご飯にあたるものと考えると、イメージしやすいですね。
参考:中東・北アフリカ料理の特徴と食文化について詳しく解説されています
中東料理(アラブ・トルコ・イラン料理)のおすすめメニューとお店 | Ethnic Search
中東料理が「ヘルシー」「美容に良い」と言われる理由は、使われるスパイスと食材の栄養価の高さにあります。ただ「スパイス=辛い」ではない点がポイントで、中東料理では香りを楽しむスパイスが中心です。
中東料理で多用される主なスパイスと効能
これらのスパイスを毎日の料理に少量取り入れるだけでも、健康面のメリットが期待できます。スパイス使いが上手になれば、塩分を抑えても満足感のある味わいが作れるため、減塩の観点でも中東料理は理にかなっています。
また、中東料理の主食的存在であるひよこ豆には、100gあたり約20gの植物性たんぱく質が含まれています。これは同量の絹ごし豆腐(約5g)と比べると4倍以上という驚きの数値です。さらに食物繊維はごぼうの約2倍ともいわれ、腸内環境の改善・コレステロール低下・血糖値の安定など、女性にとって嬉しい効果が期待できます。
食物繊維・たんぱく質・ミネラルが揃う、という点が中東料理の大きな強みです。
中東のスパイスを手軽に取り入れるなら、エスビー食品やハウス食品が販売している「クミン」「コリアンダー」「ターメリック」の単品スパイスを揃えておくのが第一歩です。スーパーの調味料コーナーで100〜200円程度から購入できます。
参考:スパイスが持つ健康効果を医療的・栄養学的な視点から解説
中東スパイスでご自宅が異国に早変わり! | 西馬込あくつ耳鼻咽喉科 栄養士ブログ
ここまで読んで「食べてみたいけど、自分で作れるかな?」と思った方のために、家庭で手軽に再現できる中東料理を3つ厳選してご紹介します。どれも特別な器具不要で、普通のスーパーで手に入る食材だけで作れます。
① フムス(5〜10分)
フムスに必要な材料はひよこ豆の缶詰・白練りごま(タヒニ)・にんにく・レモン汁・オリーブオイル・塩のみです。フードプロセッサーまたはミキサーにすべて入れてなめらかになるまで撹拌するだけ。「白練りごまが手に入らない」という場合は、日本の白ねりごまで代用できます。
② シャクシュカ(15〜20分)
シャクシュカの基本材料は玉ねぎ・にんにく・パプリカ・カットトマト缶・卵・クミン・パプリカパウダー・オリーブオイル・塩です。いずれも近所のスーパーで揃います。
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で炒め、香りが出たら玉ねぎとパプリカを加えます。透明になったらカットトマト缶を加えてスパイスと塩で味を調え、卵をそっと割り入れてふたをして半熟になるまで加熱したら完成です。
仕上げにフレッシュパセリやフェタチーズを散らすと本格的な見た目になります。これはシンプルなのに映えますね。
③ タッブーレ(15分)
タッブーレはパセリ・ミント・トマト・きゅうり・クスクス(またはブルグル)・レモン汁・オリーブオイル・塩で作ります。クスクスは100g程度をお湯で戻し、冷ましてから細かく刻んだ野菜とハーブを混ぜ、レモン汁とオリーブオイルで和えるだけです。
ポイントはパセリをとにかくたっぷり使うこと。一般的な日本のパセリレシピの5〜10倍を目安に使うと、本場の味に近づきます。パセリが主役、という点を覚えておけばOKです。
エスビー食品の公式サイトでは、フムスやタッブーレなど中東料理の家庭向けレシピが無料で公開されています。
参考:フムス・タッブーレなど家庭で作れる中東料理の詳しいレシピが掲載
お家でカンタン!中東料理 特集 | エスビー食品