アセスルファムk(アセスルファムカリウム)は、1967年にドイツの製薬会社で発見された人工甘味料で、砂糖の約200倍の甘味度を持っています。この甘味料は酢酸由来のジケテンとスルファミン酸を反応させ、無水硫酸を加えてアセスルファム環を生成し、水酸化カリウムで中和することで製造されます。日本では2000年4月に食品添加物として指定され、2008年には医薬品添加物にも指定されました。
アセスルファムkの最大の特徴は、熱や酸、塩素に強く安定していることです。このため、パンやクッキーなど加熱が必要な食品や、長期保存を前提とした清涼飲料水などに多く使用されています。甘みの立ち上がりが早く後味が少ないため、スッキリしたキレのある甘さが特徴ですが、高濃度では苦味を感じることもあります。
体内では消化されず未変化体のまま吸収され、ほとんど代謝を受けずに尿中や便中に排泄されるため、カロリーはゼロとされています。分子量が小さく消化管で分解されないため、肝臓と腎臓に負担をかける可能性が指摘されており、体にとっては異物として認識されることもあります。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸が結合した人工甘味料で、砂糖の100~200倍の甘さがあります。カロリーは砂糖と同じ1グラム当たり4キロカロリーですが、砂糖の200倍の甘みがあるため、少量で甘みを実現できます。日本では1983年から食品添加物としての使用が認められており、現在では世界125以上の国と地域で使用されています。
アスパルテームの重要な特徴として、熱・酸・塩素に弱いという点があります。このため、加熱される食材よりも、冷たい飲料やチューインガム、ゼリーなどに多く使用されています。また、摂取すると体内でメタノールと2つのアミノ酸(アスパラギン酸とフェニルアラニン)に分解されます。
重要な禁忌として、フェニルケトン尿症の患者はアスパルテームを避けなければなりません。フェニルケトン尿症は遺伝的疾患で、フェニルアラニンを代謝できないため、アスパルテームの摂取がリスクとなります。このため、アスパルテームを含む製品には「L-フェニルアラニン化合物を含む」旨の表示が義務付けられています。
参考)https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/chemical/aspartame/aspartame_4.pdf
興味深いことに、アセスルファムkとアスパルテームは相性が良く、併用することで相乗効果が得られます。同量のアスパルテームを添加すると甘味度が40%強化され、キレとコクのある甘みとなるため、多くの食品でこの2つの甘味料が組み合わせて使用されています。
海外の研究でも、アスパルテームとアセスルファムkのブレンドによる代謝への影響が調査されており、血糖値やインスリン分泌、インクレチンホルモンには一般的に影響を与えないという結果が示されています。健常人を対象とした研究では、これら人工甘味料の投与で血糖値、インスリン値、GLP-1値に変化は認められませんでした。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9776645/
しかし、併用による長期的な影響についてはさらなる研究が必要とされており、特に日常的な摂取レベルでの影響については追加の短期・長期試験が求められています。現在、多くのダイエット飲料やカロリーオフ商品でこの組み合わせが採用されているため、意図せず両方の甘味料を摂取している可能性があることを認識しておく必要があります。
参考)https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S2161831323000807
アセスルファムkの安全性で最も懸念されるのが、製造工程で発がん物質の塩化メチレン(ジクロロメタン)を溶媒として使用していることです。塩化メチレンは有機溶媒としてさまざまな物質を溶かす性質を持っていますが、毒性が強く印刷工場などで働く人に胆管癌を発生させたことから、厚生労働省も正式に発がん物質として認めています。
国際がん研究機関(IARC)の発がん性リスク評価では、2014年にGroup2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)からGroup2A(ヒトに対する発がん性がおそらくある)に降格され、発がんの危険性が高い物質として分類されています。塩化メチレンは肺や消化管から吸収され、体内では代謝を受けず、肝臓から胆汁として便中に、腎臓から尿中に排泄されます。
さらに問題なのは、現在市場に出回っているアセスルファムkの約6割が中国産であるという点です。しかし、消費者には真の原産国がわからないため、発がん物質「塩化メチレン」の混入や残留について不安が残ります。製造過程で使用される溶媒が不純物として製品に混入する可能性は完全には否定できないため、特に毎日継続的に摂取する場合には注意が必要です。
2023年7月、WHO(世界保健機関)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、アスパルテームについて「発がん性がある可能性がある」との見解を明らかにしました。IARCは4段階ある評価で下から2番目の「Group2B」にアスパルテームを分類しており、これはガソリンを使用したエンジンの排気ガスや鉛などと同じレベルです。youtube
参考)https://japan-who.or.jp/news-releases/2307-29/
IARCは特に肝臓がんへの可能性について懸念を示していますが、同時にWHOの専門家会議は、アスパルテームの1日摂取許容量を体重1キロあたり40ミリグラムと設定しています。体重70キロの人の場合、アスパルテーム入りの飲み物を1日に9本から14本に相当する量となるため、WHOは「一般的な摂取量では安全性に大きな懸念はないが、さらなる研究が必要だ」としています。youtube
この評価では、ヒトにおける発がん性の「限定的なエビデンス」に基づいての分類であり、通常使用される量での安全性には大きな懸念はないとされています。しかし、潜在的な影響が報告されているため、より多くの優れた研究によって調査する必要があるとされており、特に長期的な影響については継続的な研究が求められています。
近年の研究により、人工甘味料が腸内細菌叢のバランスを崩すことが明らかになってきています。2025年の研究では、人工甘味料として広く使用される糖アルコール「ソルビトール」の摂取が、腸内細菌叢およびその代謝物を介して腸管の炎症性免疫応答を活性化し、大腸炎を悪化させることが判明しました。
参考)https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2025/7/8/250708-1.pdf
人工甘味料は腸内細菌のバランスを崩すだけでなく、炎症を促進し、腸のバリア機能を損なうことが動物実験で示唆されています。さらに、人工甘味料は食欲やエネルギー摂取を調節する体の機能を妨害し、間接的に腸の健康に影響を与える可能性もあります。食欲調節の変化は食事パターンや栄養素の吸収に影響を及ぼすため、腸全体の機能が侵害される恐れがあります。
参考)https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-healthyfood/g60932224/artificial-sweeteners-gut-health-24-0705/
すでに消化器系の問題を抱えている人にとって、人工甘味料が症状を悪化させる可能性があることも指摘されています。ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの人工甘味料は腸内細菌によって発酵されるため、特に消化器系が繊細な人はガスや膨満感、腹部の不快感が起こる可能性があります。クローン病のように腸のバリア機能がすでに低下している病気の場合、透過性が高まることで炎症や症状が悪化する恐れもあります。
食品にアセスルファムkやアスパルテームが含まれているかどうかを確認するには、食品表示の原材料欄をチェックすることが重要です。原材料表示では、食品添加物は使用量の多い順に記載されており、多くの場合スラッシュ(/)の後に添加物が記載されています。
参考)https://pantry-lucky.net/blogs/column/processedfood
アセスルファムkは「アセスルファムK」「アセスルファムカリウム」として、アスパルテームは「アスパルテーム」として表示されます。特に「カロリーゼロ」「シュガーレス」「ノンカロリー」「低カロリー」などの表示がある商品には、これらの人工甘味料が含まれている可能性が高いです。
人工甘味料が多く含まれる食品の例:
参考)https://possim.co.jp/preventive-medicine/uncategorized/1426/
参考)https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/health-food/g64070983/foods-should-never-eat-250328-hns/
原材料表示を確認する際は、砂糖や人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムKなど)が多く入っているものは避けることが推奨されます。複数の人工甘味料が組み合わせて使用されていることも多いため、表示全体をしっかり確認することが大切です。
参考)https://www.mix-nuts.ichoice-coop.com/organic/syokuhintenkabutsu_ohi-9/
子どもや家族の健康を考えると、人工甘味料に頼らない甘味料の選択が重要です。人工甘味料は脳機能障害や認知障害、満腹中枢の機能異常による体重増加、脳腫瘍のリスクを上げるなどの研究報告があり、特に成長期の子どもへの影響が懸念されています。
参考)https://kodomo-manabi-labo.net/conditioning-selfcare3
子どもに推奨される安全な甘味料の選択肢:
参考)https://shimojima.jp/staffblog/blog/b-know-sugarsubstitute/
人工甘味料を含む製品を選ぶ場合でも、適量を守ることが重要です。「国が安全試験を行って許可した成分だから安全」とは限らず、食品添加物の安全性には賛否両論があることを認識しておく必要があります。特に、アセスルファムk、スクラロース、アスパルテームは避けたい人工甘味料として挙げられています。
参考)https://mikami-naika-clinic.jp/column/3408/
低カロリー商品やお菓子だけでなく、お弁当や惣菜に使われるたれやつゆなどにも人工甘味料が含まれていることがあるため、日常的な食材選びでも注意が必要です。子どもには、できるだけ自然由来の甘味料を使用し、甘いものを食べる頻度や量を親子で話し合いながら調整していくことが推奨されます。
参考)https://part.shufu-job.jp/news/solution/2460/
人工甘味料は砂糖の代替甘味料として血糖値の上昇や摂取カロリーを抑制する効果が期待され、肥満や糖尿病の予防や治療に有用と考えられてきました。実際に、健常人にアスパルテーム、アセスルファムk、スクラロースなどの人工甘味料を投与した研究では、血糖値、インスリン値、GLP-1値に変化は認められませんでした。
参考)https://aikawa-minna.com/2016/02/05/1051426092/
しかし、アメリカ糖尿病学会とアメリカ心臓病学会の共同声明では、砂糖の代替甘味料として人工甘味料を使用することは有用な可能性があるものの、その糖代謝に及ぼす影響についてはまだ十分わかっていないとしています。最近では、人工甘味料が血糖上昇を介さずに糖代謝に影響を与えるのではないかという指摘も出てきています。
習慣的な人工甘味料の利用が糖尿病発症に及ぼす影響についても研究が進められていますが、結論は出ていません。低カロリーだからといって人工甘味料入りの食品を食べ過ぎることは避けるべきです。実際、人工甘味料が含まれている飲料水を定期的に飲んでいる人については、さまざまな健康リスクが報告されています。
参考)https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001494.html
家族の食事を管理する主婦としては、「カロリーゼロ」「糖質オフ」という表示に安心せず、人工甘味料の種類や量を確認し、長期的な健康への影響も考慮して食品を選ぶことが大切です。特に糖尿病の家族がいる場合は、医師や栄養士に相談しながら適切な甘味料を選択することが推奨されます。

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