「ゼロカロリー」の甘味料を毎日使っていると、実は腸内細菌が乱れて太りやすくなることがあります。
低カロリー甘味料の中で「体に優しそう」というイメージを持たれやすいのが、植物から抽出した天然甘味料です。代表的なものはステビア、羅漢果(ラカンカ)、甘草(カンゾウ)の3種類で、いずれも自然界に存在する植物が原料です。
ステビアはキク科の植物「ステビア・レバウディアナ」の葉から採れる成分で、砂糖の約200〜300倍という非常に強い甘さがあります。カロリーは砂糖と同じ1gあたり4kcalですが、甘さが桁違いに強いため使う量がほんのわずかで済み、結果として摂取カロリーはごく少なくなります。これが天然甘味料が「低カロリー」と呼ばれる理由です。
羅漢果(ラカンカ)はウリ科の果実から採れる甘味成分「モグロシド」を主成分とし、砂糖の約300倍以上の甘さを誇ります。市販のラカントSなどで知られるラカント商品は、エリスリトールに羅漢果エキスを加えたもので、カロリーゼロ・糖類ゼロを実現しています。これが天然原料ながらカロリーがほぼゼロという特性の理由です。
甘草は古くから漢方薬にも使われるマメ科の植物で、主成分のグリチルリチンは砂糖の約100〜500倍の甘さを持ちます。ただし甘草由来の甘味料は加工食品に少量加えられることが多く、家庭でそのまま使う機会はあまり多くありません。
天然甘味料の安全性については、ステビアが特に詳しく研究されています。日本の食品安全委員会の評価でも安全性が確認されており、世界130カ国以上で食品添加物として認められています。つまり天然だから危険、ということはありません。ただし天然甘味料も食べすぎには注意が必要で、1日の適正摂取量を守ることが基本です。
ステビアには独特の後味(わずかな苦み)があると感じる人もいます。そのため、白湯やお茶などシンプルな飲み物に少量加える使い方や、ヨーグルトにかけるといった用途が特に向いています。これが料理に使う場合の向き・不向きを把握するポイントです。
食品安全委員会(日本)|ステビアや各種甘味料の安全性評価に関する公式情報が掲載されています
人工甘味料はいわゆる「合成甘味料」で、化学的な方法で製造された甘味成分です。代表的なものはアスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK(アセスルファムカリウム)、サッカリンの4種類で、いずれも日本の食品衛生法で指定添加物として認可されています。
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸を結合させた合成甘味料で、砂糖の約200倍の甘さを持ちます。注目すべきは2023年7月のWHO(世界保健機関)の発表で、IARC(国際がん研究機関)がアスパルテームを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類したことです。ただし、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は体重60kgの成人で1日あたり2,400mgまでの摂取は安全と評価しており、通常の使い方で心配しすぎる必要はないとされています。
スクラロースは砂糖の約600倍の甘さを持つ合成甘味料で、消化管でほぼ吸収されずそのまま排泄されるためカロリーはほぼゼロです。加熱しても甘さが安定していることから、焼き菓子にもよく使われます。これは調理への応用がしやすい点です。ただし、2023年以降の複数の研究では、スクラロースが腸内細菌のバランスを乱す可能性があることが指摘されています。
アセスルファムKも砂糖の約200倍の甘さを持ちます。1967年にドイツで開発された合成甘味料で、単独で使うよりアスパルテームと組み合わせて使われることが多く、缶コーヒーやダイエット飲料に広く使われています。複数の甘味料を組み合わせることで、それぞれの使用量を抑えられるという工夫が背景にあります。
注意が必要なのは、これら人工甘味料が「腸内細菌叢を乱す可能性がある」という点です。2022年にネイチャー誌に掲載された研究では、スクラロース・サッカリン・アスパルテーム・アセスルファムKを摂取した被験者の腸内細菌に変化が見られ、血糖値の調整機能に影響が出た例が報告されています。つまり、ゼロカロリーだから何でも安心、とは言えない状況です。
人工甘味料が含まれる食品を毎日複数摂取しているご家庭では、原材料表示を一度確認してみてください。缶コーヒー、ゼロカロリー飲料、ノンシュガーガムなど、意外と多くの食品に複数の人工甘味料が組み合わせて使われています。
日本WHO協会|アスパルテームの発がん性評価に関するWHOと国際がん研究機関の見解が確認できます
糖アルコールは、果物・きのこ・発酵食品などに自然に含まれる成分をもとに製造された甘味料で、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなどが代表的です。「天然由来」というイメージが強いグループですが、注意すべき最新情報があります。
エリスリトールはカロリーゼロ・血糖値への影響なし・自然由来という三拍子そろった特性で、ラカントSをはじめとする人気甘味料の主成分として広く使われています。ところが2023年と2024年にクリーブランドクリニック(米国)が発表した研究では、エリスリトールの血中濃度が高い人は低い人と比べて心臓発作や脳卒中のリスクが約2倍になることが示されました。特に糖尿病や肥満などの心血管疾患リスクを抱える人には注意が必要とされています。
これは驚きの情報ですね。「安全な天然甘味料」として家庭の定番になっているエリスリトールに、こうした懸念が示されたのは2023年以降のことで、まだ広く認知されていません。現時点では「エリスリトールが直接原因で心臓発作を起こす」という結論ではなく、あくまでリスクの関連が示された段階です。ただ、1日に大量に摂取し続けることは避けたほうが賢明と考えられています。
一方、キシリトールはガムや歯磨き粉でもおなじみの糖アルコールで、カロリーは砂糖の約70%程度です。厳密にはカロリーゼロではありませんが、砂糖と同じ甘さで使えてカロリーが低い点、そして虫歯菌(ミュータンス菌)が代謝できないため虫歯になりにくい点が大きな特徴です。子どもへのおやつや料理で使う際にも比較的安心して使えます。
糖アルコール全般の注意点として、過剰摂取による下痢・軟便があります。エリスリトールは比較的消化器への負担が少ないとされますが、ソルビトールやマンニトールは特に腸に影響が出やすいです。製品の使用目安量を超えないことが条件です。
料理に使う場合、エリスリトール系甘味料(ラカントなど)は加熱しても甘さが変わりにくく、砂糖と同じ感覚で使えるため使い勝手が良いのが特徴です。ただし冷えると結晶化しやすい性質があるため、冷たいスイーツよりも温かい料理や焼き菓子に向いています。
CNN日本版|エリスリトールと心血管リスクに関するクリーブランドクリニックの研究結果の詳細が確認できます
多くの主婦が見落としがちな重要な事実があります。食品に「カロリーゼロ」「ノンカロリー」と書いてあっても、それは本当に0kcalという意味ではありません。
日本の食品表示基準(厚生労働省)では、飲料100mlあたり5kcal未満、または食品100gあたり5kcal未満であれば「カロリーゼロ」と表示することが法律上認められています。つまり実際には多少のカロリーが含まれているにもかかわらず「ゼロ」と書かれている食品が、スーパーの棚に数多く並んでいるわけです。これが仕組みです。
では具体的にどのくらいの差があるのでしょうか?たとえば500mlのゼロカロリー飲料が1本あたり最大24kcal含んでいる可能性があります。1本だけなら誤差の範囲ですが、1日3〜4本のゼロカロリー飲料を飲む習慣がある場合、実は70〜100kcal程度を毎日摂っている可能性があります。これはご飯約半膳分のカロリーに相当します。毎日続ければ積み重なりますね。
さらに注意が必要なのは「カロリーオフ」「低カロリー」という表示です。これらは飲料100mlあたり20kcal未満という基準が適用されており、「ゼロ」よりさらにカロリーが高い場合があります。食品の前面に大きく「低カロリー」と書かれていても、砂糖をたっぷり使ったお菓子の数倍のカロリーを含むケースも珍しくありません。
甘味料を使ったゼロカロリー製品を選ぶ際は、商品パッケージ裏面の「栄養成分表示」の数字を習慣的に確認することが重要です。表の見方は簡単で、エネルギー(kcal)欄の数字を一人分の摂取量と照らし合わせるだけです。これが正しい選択のための確認方法です。
また、食品の原材料表示に「アセスルファムK」「スクラロース」「アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物」のいずれかが書いてあれば、人工甘味料が使われているサインです。知っておくと商品選びで役立ちます。
済生会|食品表示に関する「カロリーゼロ」「カロリーオフ」などの表示基準をわかりやすく解説しています
ここまで種類ごとの特徴を見てきましたが、実際に毎日の料理や飲み物に使うとき、どれを選べばよいかをまとめます。目的別に使い分けることが基本です。
まず、焼き菓子やお料理に砂糖の代わりとして使いたい場合は、ラカントS(エリスリトール+羅漢果エキス)が最も使い勝手が良いです。砂糖と同量で代替でき、加熱しても甘さが安定しており、カロリーゼロで血糖値への影響もほとんどありません。煮物・炒め物・焼き菓子など幅広い料理に対応できます。
次に、飲み物に少しだけ甘さをつけたい場合は、少量で強い甘さが出るステビア系がおすすめです。ステビアは砂糖の200〜300倍の甘さがあるため、1杯のコーヒーや紅茶に1〜2滴程度の液体ステビアを加えるだけで十分な甘さが得られます。結果的にコストも抑えられます。
糖尿病やダイエットを意識している場合は、人工甘味料よりも天然甘味料・糖アルコール系を優先的に選ぶのが一般的な考え方です。ただし前述のとおりエリスリトールにも最新研究でリスクが示されていることから、1種類に集中して大量に使い続けるより、甘味料の種類を分散して使う意識が健康管理につながります。
虫歯が心配なお子さんのおやつには、キシリトールを使った製品が向いています。キシリトール100%のガムは、食後に噛む習慣をつけることで虫歯予防効果も期待できます。砂糖ゼロで甘みがある点が子どもに受け入れられやすいです。
一方、妊娠中・授乳中の方は人工甘味料(アスパルテームなど)の過剰摂取には注意が必要です。一部の研究で、妊婦が人工甘味料を多く摂取すると生まれた子どもが肥満になりやすいというデータが報告されています。妊娠中に甘味料を使いたい場合は、かかりつけ医に相談するのが安全です。
料理に使う甘味料を選ぶ際の簡単なチェックポイントをまとめると、①加熱するかしないか、②1回の使用量、③毎日使うかどうか、④家族の健康状態(糖尿病・心疾患など)の4点です。これらを確認して選べば失敗が少なくなります。
市販の甘味料で具体的な商品を選ぶ際は、サラヤの「ラカントS」(天然甘味料・カロリーゼロ)や、大正製薬の「パルスイート」(人工甘味料・カロリーゼロ)、シュガーカットシリーズ(エリスリトール+スクラロース系)などが代表的です。複数の甘味料を比較するときは、成分表示と1回あたりの使用量を確認するだけで判断しやすくなります。
大阪健康安全基盤研究所|甘味料で糖質オフを行う際のメリットとデメリットについて医学的な視点からまとめられています